- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334044794
感想・レビュー・書評
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多くの日本人がそうであるように、自分もまた沖縄に対して好印象を持っていた。それは「なんとなく」の好印象で、具体的な知見があったわけではない。あくまでイメージとしての好印象だった。
本書を読むと、沖縄の実像が浮かび上がってくる。「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」が、筆者の経験と分析によって書かれている。
人によっては、目を背けたくなるような話かもしれない。事実、本書で書かれる範囲は沖縄に限定されない。日本全体の問題、日本人の心の問題までに話は波及する。本土の人間も、決して無関係ではなく、地続きの問題を抱えていることが分かる。
それでも、沖縄にどっぷりと浸かった筆者の分析は面白く読んだ。タブーを恐れず、メスを切り込んでいくような文章。終盤ではやや主観的な部分が多いものの、人の在り方まで論じたのは読み物として面白かった。
なるほど、キーは経済合理性と自尊心だったのか。
「自分を愛することは、最大の社会貢献」というのは、肝に銘じておきたい。
(引用・抜粋まで含めた詳細な書評は、書評ブログの方で宜しくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%81%8B%E3%82%89%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1_%E6%A8%8B%E5%8F%A3%E8%80%95%E5%A4%AA詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
沖縄生まれ沖縄育ちの琉球大学生です。
本書に書かれている内容については共感できることだらけでした。
特に本書の核心である、
「沖縄社会が貧困なのは、貧困であることに経済合理性が存在するからだ。」という一文も腑に落ちた。
また、後半に書かれていた、2010年代頃から沖縄の若者で増える「沖縄嫌い」とSNSの普及時期のリンクにも鳥肌が立った。
私自身、「まーめー」と呼ばれないようにサジ加減しながら、それでも地元の国立大学には行けるぐらいの勉強をしてきたという過去を持ちます。
そんな学生生活の中で1番楽しかった、と思えるのは高校3年生の時でした。これまでの12年間の学生生活の中で初めて勉強をやっても良いという「世論」になったからです。
ここで書かれた沖縄の社会、、心の底から変わって欲しい。変えたい。とそう思います。 -
自分が沖縄出身ということもあり今回読書。
この本を読み終わって感じた事は、今まで自分が感じていた「なんとなくぎこちない沖縄社会、沖縄の人々の性格」をうまく言語化されており、何か心の中にあったモヤモヤが解消されたような気がした。
これまで沖縄は貧困世帯が多く、なぜその改善のためにもっと援助をしないのかという考え方だったが、この本を読んでただ援助するだけでは、問題の根本解決にはならないほどの深い原因があることがわかった。
人の関心に関心を寄せること、自尊心をつけること、内容の後半はまさに自分に向けて言っているかの内容で心に響く内容だった。
もっと沖縄や日本の経済、性質について理解を深めたいと思う。 -
沖縄は何度か観光で訪れ、また行きたい所でもある。外部の人間からは、
平凡な「定番」が異様に売れる市場
外食はまず「知人の店」
といった人間関係に依存した経済が堂々とまかり通っているのは、古き良き時代が残っているようで、だからこそ、また行きたくなる観光地なんだが、、、
著者の分析によれば、この人間関係の負の側面がたくさんあるということのようだ。 -
沖縄の人々の国民性など詳しく書かれていた。例えば、どのような場面であっても一人突出すると嫌われる、や食事や生活面での所要は身内や地元の店舗利用が最優先(例え不味い店でも)等幾つも具体例が挙げられており、なるほどと思いながら読んだが本土でもちょっと田舎に行けばそういうものではないだろうか。
結局のところ自尊心が低い、ということになるわけだが、ではなぜそうなっているのか歴史的背景はある筈だと思う。県民性とでもいうのかな。そのような県民性はどのようにして生まれ今に至ったのか、それが気になった。 -
インパク知 2・2
かかった時間 90分以内
沖縄から貧困がなくならないのは
・補助金で甘やかされて努力をしないことに全力を尽くす企業
・閉鎖的な人間関係、とくに「できるやつ」を嫌う文化
・共同体的な同調圧力のせいでしょーもないサービスや商品を利用し続ける消費者
というあたりまで、ソースはまあまあ怪しいがそれなりに面白かったのに、後半「愛が全て」とか言い出してややきもち悪かった笑 そっちかーい! みたいな。いや真面目に書いていることはわかるけど。
筆者の、それって日本の縮図だよね、という主張には納得。
あと、個人的には自分は、すべての人間をざっくり、「意識高い系」と「そうじゃない人」に分けたらかろうじて?前者だと思うが、そればかりが幸せの形でもないから、筆者が「向上心がない」「努力ができない」とか言っている部分に、基本的には賛成しつつも違和感はあった。
まあサラサラっと読める、雑誌「ダイム」「ダイヤモンド」みたいな?感じだった。笑笑 -
借りたもの。
貧困率が国内ダントツ1位の沖縄の原因を、沖縄社会の“空気”から、内に籠りがちで発展・競争する機運が無いこと、利権でがんじがらめになって身動きが取れなくなっていることを指摘している。だいたい合っていると思う。
これは本州(ナイチャー)にとっても他人事ではない。地方で既存の利権にしがみつく保守性…言わば“ムラ社会”が原因で衰退の一途を辿っている。
この沖縄の“ムラ社会”気質……人間関係が原因で、沖縄に発展する機運が全く醸造されないと指摘する。
沖縄の経済は、基地経済と国からの(時に過剰な)援助をうけていながら、全く発展していない。
沖縄は過剰な援助を否定しているが、数字的にそれを否定できない。
この援助はそもそも、基地反対運動の火消しという側面がある。
…それらを完全に活かしきれないのは、やはりウチナーにも問題があるのでは?
●非正規雇用が多いこと。
●沖縄の政治家が貧困の根本解決ではなく、目先の対処療法しかできないこと。
●地域であれ職場であれ、コミュニティ内での同調圧力…「出る杭は打たれる」ゆえに、リーダーシップを取れる人材が育たない。
●「NO」と言えない、断れない。(良い方向に導くための改善ができない)
●商品を買うにしても「良いもの」ではなく「いつもの」を買うので、消費者の本当に必要だったもの――商品開発――に繋がらない。
岸政彦『はじめての沖縄』( https://booklog.jp/item/1/4788515628 )でも指摘していたが、沖縄がアメリカ占領下にあってナイチャーでの経済発展から取り残されたと思っているようだが、一番景気が良かったのはアメリカ統治下(50~60年代。米軍需要と復興需要と都市部への人口集中による開発)という事実。
こうした“ムラ社会”同調圧力から、現状維持を強く望むというウチナー。それが沖縄社会を経済的に固定化し、沖縄企業の収益力を安定的に支えている。それは本土企業に対する強固な参入障壁を作り出してきたという。
……それはつまり、対外的な競争力が鍛えられないという事。
これらの原因をさらに、ウチナー個人の内面にも焦点をあて、ウチナーの自己肯定感のなさを指摘している。
その空気に、上里隆史『マンガ 沖縄・琉球の歴史』( https://booklog.jp/item/1/4309231187 )の歴史観を想起する。17世紀から続く敗戦と外交の失敗による諦念感。
17世紀の「偉大な政治家」と言われる蔡温のような、現代化を図る人材が、ウチナーに再び生まれないのか?
また、海に囲まれた沖縄は、本州と違って陸路が無い。
つまり、それだけ移動コストがかかる(船便、空便しか選べない)という地理的に不利な側面がある。
それがより、内に籠りがち(外へ出ていこう、他所と比べてみようという気にならない)な傾向を強めてしまっている気がしてならない。……外から人を迎え入れるのもまた消極的になる。
沖縄の人たちは、沖縄をどうしたいのだろう?
私は一時期、沖縄で生活していた。
なので、頷ける事が多々あった。食べ物が独自で、独自の文化があるのは尊敬に値する。それらはとても素朴だ。
…しかし、裏を返せば排他的で、どこでも同じものしか売っていない。しかもあまり“良いもの”が無い。
…私は“くされナイチャー”に過ぎないが、ポテンシャルがあるのにそれを活かしきれず、何でも「押し付けられた!」「基地のせい!(これは主に米軍に向けている?)」と憤る報道ばかり目に着く沖縄のメディアが不愉快だった。他力すぎる。
あとは地元紹介番組ばかりだったしなぁ…本当に内に籠りがち。