業界破壊企業 第二のGAFAを狙う革新者たち (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.76
  • (9)
  • (24)
  • (22)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 235
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044756

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イノベーションとは、新しい価値を作り出すこと。
    新しい価値で人々の幸せを与えることができる。

    物を売るではなく、その物の価値だけでなく、使い続けることでの幸福、満足感を与えられる物を提供できるか。

    共感を与えられる企業が、成功できる。

    本書では、さまざまな企業が紹介されている

  • 起業で絶頂からどん底への経験をした著者。単なる経験談でなく「ここを注意せよ」という点に説得力がある。
    だからこそ色々と考えさせられた内容だった。
    確かに、今の日本ではユニコーン企業が生まれにくい環境だろうと思う。
    しかしその原因は、単なる閉塞感とか、停滞感だけではないはずなのだ。
    世界のユニコーン企業と比較して、何が原因なのかを検証することは大事だろうと思う。
    事実、世界にインパクトを与えるユニコーン企業が日本からはほとんど生まれていない。
    イノベーションを生み出すには、どういう本質を突けばいいのか。
    その本質が見えていないのか。
    本質は見えていても、核心を突けていないのか。
    次のGAFAの地位を狙っている企業のビジネスモデルを紹介することで、日本との違いを認識することが出来る。
    まずは他社の事例を見て、自己について深く考えてみることだ。
    そうしなければ、何も始まらない。
    目の前の仕事をすることは確かに大事であるが、もっと先の未来。
    自分たちがどうなりたいかを真剣に考えていかないと、このグローバルの時代では取り残されていくだけだ。
    今この瞬間も、業界を破壊しようと命を削って事業拡大をしている人たちがいる。
    それも単なる根性論ではなく、非常に賢い戦い方で攻めている訳だ。
    既得権益者の都合だけで革新が進まなかった業界が、今まさにガラガラと崩れ始めている。
    守ることも大事だが、それだけでは正直成り立たない。
    他社がどこから攻めてくるのか、正直予想もつかない状態である。
    「本当にそれで上手くいくの?」と思うこともあるし、「そんな手があったのか?」と思うこともある。
    いずれにしても、慢心せず、既得権益に頼らずに、逆にイノベーションを起こす側として攻めに転じて行きたいと思っている。
    本書の中で企業の事例を紹介しているが、非常に面白い。
    「SoFi」という企業は全く知らなかった。
    超有名大学を卒業した先輩が、奨学金返済が必要な後輩にお金を貸付するというシステムだが、単純に金利が安くて双方にメリットがあるということだけではなく、ストーリーを売ったことが勝因という。
    「名門大学だからこそ、同門の先輩たちが、未来を担う後輩たちにお金を貸す」という物語性が成功の要因だったらしい。
    これは非常に納得できる事例だ。
    要はこのサービスを利用する人の腹落ち感だと思うが、顧客の心に上手く刺さった例なのだと思う。
    リモートフィットネスの「Peloton」も相当面白い。
    「なぜこれで熱狂できるのか?なぜこれでビジネスとして成立するのか?」と思ってしまった。
    常識では考えられないからこそ、業界を破壊するインパクトがあるのだと思う。
    「Synack」も考えてみれば、そのビジネスモデルは秀逸だ。
    ホワイトハッカーは元々腕に自信がある輩たちなのだから、その自尊心を刺激するような、まさにゲーム感覚で仕事をさせればいい。
    インセンティブの持っていき方が、ツボを心得ているということだ。
    これら事例のビジネスモデルは、最初から上手くいくと思って事業していたのだろうか。
    もしかすると、緻密な戦略は立ててなかったのかもしれない。
    単なる思い付きから始まり、取り敢えずやってみて、幾度となく方向転換しながら、今の形になってきたのかもしれない。
    「SoFi」も「Peloton」も「Synack」も、もちろん今の状態が最終形態ではないはずだ。
    これから形を変えていく可能性は充分にある。
    すでに「SoFi」は大学内に留まらず、様々なソーシャルレンディングに触手を伸ばしている。
    企業家としてどこにゴールを設定するかは、勿論本人たち次第だと言えるだろう。
    だからこそ「起業に対する考え方」を冷静に指摘している点は、非常に為になる。
    「自分はこう見てきた」という起業の経験値を示してくれることで、イメージがしやすくなった。
    本書では、人材に関する部分を割愛している点もよかったと思う。
    起業に対する人材マネジメントは、それだけでも奥深いため別途で学習した方がよいだろうと思う。
    それこそ別著「だから僕たちは、組織を変えていける」が、きっと良い参考書となるだろう。
    巻末では「ハッピーイノベーション」という考え方にも触れている。
    単純な金儲けや拡大一辺倒だけではなく、それこそ持続可能な形を模索した起業の形。
    現在の延長ではなく、プラスアルファな革新性を求めることが、これからの時代は特に必要なのだろうと思う。
    自分は破壊される側に甘んじるのか?それとも破壊する側になれるのか?
    いずれにしても例え業界を破壊するとしても、社会にとって有益で、顧客にとって価値を提供し続けなくてはいけない。
    もっともっと考えて実行することが大切なのだと改めて感じた。
    (2023/6/6)

  • 2021年12冊目。満足度★★★★☆ 2013年から毎年発表されている「CNBC 」ディスラプター50」において2019年度に選出された50社の中から22社が紹介されている。

    業界秩序や商習慣にとらわれずに、斬新なビジネスモデルやテクノロジーを市場に持ち込み、驚くべきスピードで成長するスタートアップ企業たち。文字通り「業界を破壊するような新興企業」でした。

  • 新規ビジネスへの目の付け所が素晴らしい企業、面白い企業がたくさん取り上げられていて勉強になりました。株式投資での銘柄選択で、参考にしたいと思いました。

  • サクッと読めて、時事的なのでいま読むのに最適だった。業界の整理、理解だけでなく、最後のハッピーイノベーションなど、なるほどと思う解説がコンパクトにまとまっていて良いと思う。

  • 面白い事例が沢山あり。かなり面白かった

  • シリアルアントレプレナーであり時代の波に翻弄され、全てを経験してきた筆者による、業界を破壊するような新興企業をテーマにした本であるが、これからの時代にマッチしたスタートアップのあり方が、物質的な価値を超えて人々の幸せを追求する新しい事業創造であるハッピーイノベーションであるというのは、とても共感できた。

  •  この本では、イノベーションによって業界の勢力図を一変させてしまった「ディスラプター」が紹介されている。まずイノベーションを単純分類して、1. 価値創造と、2. 価格破壊の視点でとらえ、さらに、何によってイノベーションを起こしているかという視点を加えている。①プラットフォームで需要と供給をつなぐもの(プラットフォーム型)。②ビジネスモデルで常識を超えた顧客体験をつくるもの(ビジネスモデル型)。③模倣しにくい独自の技術を強みにするもの(テクノロジー型)

     プラットフォーム型には、オンライン宅配のDoor-Dashとか、p2pレンディングによる学生ローンのSofiなどがある。ビジネスモデル型には、在宅フィットネスのPelotoneとか、セリの貧困という社会問題とむきあうThinxがある。テクノロジー型には、微生物による農業効率化のIndigo Agとか、植物を使った人工肉製造のImpossible Foodsがある。

     ディスラプターを分類する半面、共通点も見出されており1.主役はミレニアム、2.ビジネスの価値基準はサステナブル、3.成功の方程式はリーンスタートアップ であった。ミレニアル世代はデジタルネイティブであり、SNSで多くの情報や感情をシェアし、ときに行動を共にします。SNSにおけるキーワードは共感であり、今やビジネスを構築する上で共感はもっとも大切なテーマである。

     不穏な時代が到来している。スタートアップバルブ崩壊の予兆に加えて、コロナショックによって、巨大な金融危機が世界経済を襲う可能性が高まってきている。時代は、「スケールアップを目指した野心的な企業」から「幸せの連鎖をうむサステナブルな企業へ」と変わっていくだろう。

     まずは、自分が夢中になれるスモールアイディアをひらめくところからスタートして、無理に拡大するのでなく、自然の流れを大切にしながら、幸せの連鎖を産んでワクワクすることが、生きる活力となり、明るい未来となるだろうと締めくくっている。

     

  • イノベーションには2種類ある。
    ・持続的イノベーション(既存顧客の満足度向上のための現品改善
    ・破壊的イノベーション(新技術で業界構造の破壊

    その中で、破壊的イノベーションは更に分かれる。
    ・新規市場に新しい価値を提供(価値創造
    ・既存市場にコストダウンを提供(価格破壊

    最新のスタートアップでは、破壊的イノベーションの具体的な起し方は3つに分類できる。
    ・プラットフォーム型(c2cなど
    ・ビジネスモデル型(フリー、サブスク、顧客特価、体験シンプル
    ・テクノロジー型

    イノベーションを起こすには、無消費を探す。
    潜在的なニーズがあるのに使われていない状況のこと。
    その要因は、スキル・お金・アクセス・時間。

    あとは創業者の純粋な思い。
    メッセージに、イノベーティブなアイデア+実現するためよテクノロジーが加わることで、イノベーションは生まれる。それが今の時代にはマッチしなくなってきたスケールを狙うビジネスではなく、人々の共感を生み幸せの連鎖になるビジネスとなる。


  • <目次>
    第1章  イノベーションが私たちの「業界」を破壊する
    第2章  プラットフォームによる業界破壊企業
    第3章  ビジネスモデルによる業界破壊企業
    第4章  テクノロジーによる業界破壊企業
    第5章  起業は、小さく始める、かしこく学ぶ
    第6章  「ハッピーイノベーション」で不穏な時代を乗り越える

    <内容>
    若い頃から起業をしては潰してきた著者の、最近の革新企業(多くはアメリカ)を紹介しつつ、その分析をしている本。
    この手の他の本と分析に違いは少ないが、この段階での「業界破壊企業」を端的に紹介しているところが面白かった。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

さいとう・とおる
1958年生まれ。1982年西武百貨店入社。
流通産業研究所、パルコを経て
1997年大手広告会社入社。
現在、研究部門で生活者・トレンド研究、消費・流通などの
分析を行っている。
著書『吉祥寺が『いま一番住みたい街』になった理由』、
編著書『超高齢社会マーケティング』ほか。

「2017年 『ショッピングモールの社会史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斉藤徹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×