ホークス3軍はなぜ成功したのか? 才能を見抜き、開花させる育成力 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044701

感想・レビュー・書評

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  • ホークス3軍構想を実現についての話。

    実際にWBCの侍JAPANで活躍した牧原、周東、MLBで活躍中の千賀などを輩出した環境がどんなものか気になっていたが、当事者の話もあり非常に説得力があった。

  •  育成だけど上手くいかなかった選手達のことも触れてくれていたら、さらに厚みが出たのでは。

  • ホークスの育成選手と言えば、千賀や甲斐が有名である。これら2人に共通することは、ある一芸に秀でていて、ひりひりとした反骨心や、ハングリー精神の持ち主であること。そしてこれらの埋もれた才能を見つけ出すのが、スカウトの腕の見せどころである。成長する伸び代を見抜き、どの球団よりも先に獲得する。また、才能を開花させるのもコーチ陣や環境の整備などソフトバンクは長けている。千賀という育成選手からの大成功例は、携わってきた人々のモチベーションに繋がり、同じ育成選手の憧れや希望となり、ビジネスの好循環となる。人の人生を大きく左右するスカウトは楽な仕事ではないがが、引っ張った選手の活躍が糧となり縁の下からチームを支える大事な存在だと感じた。

  • ホークス3軍の育成理念や目利きについて詳しく書かれています。

  • ホークス三軍の育成物語。王会長はじめ、フロントと現場の一体感、同じビジョンと目的意識を持った結果が成功につながったと思う。あと、一芸に秀で、それを伸ばし契約金一億円とか貰うドラフト一位に負けない、というハングリー精神はすごく重要。

  • 根本さんの先見の明が印象的。
    ソフトバンクは金があるから、と思っていたけど金の使い方を誰が決めてどのように進めたかよく理解できた。ビジョンの大切さと徹底する難しさは仕事と同じと実感。

    ワンマン的な要素も推し進めるにあたって重要なのが日本的な気もするが、王さんの存在が凄く大きいのだろうなと。
    オリックスも同じようなことを始めたが、カリスマがいないなか、どこまで継続できるか注目したい。

  • ビジネス書のリーダー論を説くような始まりだったが、徐々に小説を読んでいるような気分にもなり現代の教育の課題をあぶりだすような文章もあり、されに心揺さぶるエピソードや物語が綴られ、伝記のようなくだりもあり。・・・そしていつの日か歴史書になるんだろうな。楽しく読んだ。野球を好きになってよかった。

  • ここ数年のプロ野球は、ソフトバンク=反則的に強い、という印象があり、
    (それでもなぜかレギュラーシーズンは西武が一位になったり、ロッテはソフトバンクに強かったりする番狂わせ感がパリーグの魅力なのですが、)
    その強さの源泉の一つとして取り上げられる”3軍”について、一冊の新書が出ていると知り、入手したもの。

    千賀や甲斐などの育成出身スター選手たちのエピソードがメインなのかと思いきや、
    始まりから3分の1くらいまではソフトバンク3軍創設に至る背景(球界を取り巻く時代や社会の変化)や球団内外での動きについてしっかりと書かれていました。
    第3章以降はこれまでの歩みを第一・第二・第三世代に分け、環境の整備具合や球団外からの評価の変化、各世代を代表するスター選手のインタビュー等を通じて、
    ソフトバンク3軍の成熟のプロセスや選手の世代変化について紹介・考察されています。
    プロ野球のファンでも普段これらのことに触れたり思いを巡らせたりすることはないので新鮮で面白かったです。
    単なる野球本に留まらず普遍的な内容も多く、示唆的な部分もあり、良かったです。

    以下、印象に残ったところ(&自分の気付きメモ)。
    ・「『支配型リーダー』の対極にいるのが『サーヴァント・リーダー』だ。イニシアティブを取る若手、中堅のリーダー格を『支援』する。つまり『やってみなさい』と、物心両面でバックアップをしながら、全体の足並みを巧みにそろえ、最終的に大きなゴールへの導いていくスタイルだ。大同小異。その”小さな異論”を乗り越え、部署間の対立を緩和していく。」(p.9)
    →自分の職場でも”大同小異”はめちゃくちゃ多い。実働しなければならない層が適切な働きをしない。サーヴァント・リーダーシップがヒントになるか?
    ・日本経済の衰退→プロ野球界の『人材プール』の役割を果たしていた社会人野球の衰退。アマ球界トップの先細り→プロに至る道の先細り→プロ野球の魅力も失われ、ひいては野球人口の減少にも繋がる。こうした悪循環を食い止めるためにも、育成選手制度が必要。(p.16-17)
    ・シーズン前にはフロントとファームの首脳陣が集まり、若手選手を相対評価で「A」「B」「C」にランク分け。選手たちには知らされないが、現場とフロントの双方では常に確認され、共有されている。大金を投じて獲得したドラフト上位は「A」、育成は「C」。目標達成や評価のために出場機会を与える必要があるが、必然的にチャンスは「A」の方が多くなる。「A」の選手が年400打席なら、「C」は200打席。(p.70-71)
    →期待されていればチャンスは多く回ってくるが、期待されていなければチャンスも少なく、結果を残すのがより難しくなる。
    ・「2軍、3軍ともに、日々の練習内容の進行具合、ゲームでのパフォーマンスを記したレポートが毎日作成され、フロントと現場首脳に一斉メールされる。(中略)律儀な王は『読みました』という返信を送るそうだが、これがうっかり、受信者全員への一斉返信になってしまっているときがあるという。」(p.73)
    ・小川一夫氏コメント。「今、花開いていなくても、可能性のある選手はいる。高校時代に頭角を現していなくても、大学や社会人で3年、4年とやったらドラフト一位になるだろ?半分くらい、高校時代には、名前がないんよ。(中略)そういう選手を仕掛けて、早く獲ってしまえと。」(p.112)
    →事業投資みたい?
    ・「甲斐は、その一つ一つの光景を、明確に、くっきりと覚えていた。リアルな表現ぶりに、聞いているこちらの脳裏にも、見えていないはずの光景が浮かんだ。」(p.180)
    ・「牧原の語る”若者への苦言”は、単なる年長者の説教ではなく、尊い経験から抽出される『今の時代の失われたもの』のような気がしてならない。」(p.219)
    →世代により、備えているものは違う。
    ・石川柊太「そこで終われればいいけど、独立リーグに行ったり、自分で区切りを付けようとする選手、いっぱいいるじゃないですか。」(p.230)
    ・「NPB(略)が発表した『2018年戦力外、現役引退選手の進路調査結果』によると、調査対象の136人の平均年齢が『29.2歳』、平均在籍年数は『8.3年』。1つの会社に『10年以内』と考える新入社員が半数近いという先のデータと、ほぼ一致する数字でもある。」(p.236)
    ・「2019年(略)に活躍した甲斐野央、周東佑京、新人王の高橋礼が、車庫証明をもらうために市役所を訪れた時は、庁内がちょっぴりざわめいたという。」(p.274)
    ・「時代や社会の変化に伴って、選手たちの『気質』も、変化していることに気づかされた」(p.340)

  • 6年で日本一を5回(!)という驚異の戦績を誇る、ソフトバンクホークスの3軍戦略について書かれた本。
    選手の育成論としてはもちろんのこと、マネジメントやプロジェクト管理の観点からも非常に有意義な一冊です。

    ・新しい事には必ず反発があること。同調圧力に負けないこと。
    ・才能を磨くには競わせること。安心させないこと。
     ・やらせるのではなく、自主的に努力するような環境を作ること
    ・外から引っ張ってくるのではなく、中で育てた方が安上がりなこと
    ・納得感を持ってもらうには、機会を与えること
     ・そして機会がなければ上達しないこと

    実際、千賀や甲斐といった育成(要するに戦力外)で入団した人たちが、今や日本のトップクラスの選手であるというのは、本当にすごいことだと思います。

    本人の努力次第で何でも出来る…。
    それは後に続く人に、本当に大きな夢を与えてくれると思います。

    また選手以外にも、スタウトや球場スタッフなど裏方の話もてんこ盛りで面白いです。
    野球に興味がない人でも、読めばきっとホークスを好きになれると思います。

  • ホークスの三軍が出来たのは、海外にいてそんなには野球を観てなかった2011年。千賀や甲斐の活躍がまた違った目で見れるようになった。この後根本陸夫さんの本を読みます(*ˊᵕˋ*)

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著者プロフィール

スポーツジャーナリスト

「2021年 『稼ぐ!プロ野球 新時代のファンビジネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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