御社の新規事業はなぜ失敗するのか? 企業発イノベーションの科学 (光文社新書)
- 光文社 (2020年2月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334044572
感想・レビュー・書評
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起業の科学で有名な田所さんの本(自分は未読ですが…)。
ちょっと前、田所さんの動画を見たことがあるのですが、
非常にわかりやすくもっともな主張をされていた印象があり、
手に取ってみました。
今回は、大企業の新規事業をテーマにした本になっています。
田所さんも直前に読んだ山口さん同様、大企業で新規事業がうまくいかないのは、組織の問題(特に縦割り組織)だとおっしゃています。
この問題に対して、「3階建て」という組織体制で大企業を経営する必要があるとのこと。
山口さんの本も読んでいたので、非常に納得感がありました。
さらに、田所さんお得意のイノベーションを生み出すフローとも言える「イノベーションマップ」も興味深かく、
この辺りは山口さんの本では言及が甘かった箇所なので、
この2冊の本を読むとお互い補完し合うのではないかと思います。
※世界で最もイノベーティブな組織の作り方
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4334037682#comment
やたらアルファベット3文字が出てきて、
慣れていないと「???」となりますが、
全体的には分かりやすく読みやすい構成になっています。
(著者の流儀なんかな…、もったいない。。)
イノベーションって、(簡単ではないけど)面白い!
他にも何冊か読んでみようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良いことを言っているが、犬もウォークすればポールにヒットする並のカタカナの連発に辟易する。新規事業に抵抗あるおじさん向けの書籍ではないのか?カタカナ連発しないようユージュアルマイセルフもスピリットをつけようとシンクした。
他にも「リーダーシップの発揮」「覚悟」「内省」などマッチョなソウトにサプライズ。 -
まさに、イノベーションのバイブル
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著者が主張していることは明快だ。
現状の組織のままで新規事業を行うことは、相当無理があると言っている。
どこの会社でも挫折していることだが、既存事業の目指す目標と、新規事業の目指す目標は当然に異なる訳だ。
だからこそ完全に分けて行った方がよいという理屈。
さらに言うと、単に「イノベーション」と言っても、「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」を分けて考える必要があるということ。
これも非常に納得。
当然に破壊的イノベーションを起こすことが、今後の時代を考えると不可欠だろうと思う。
むしろ破壊的イノベーションを起こせない企業は生き残っていけないだろう。
一方で持続的イノベーションも重要。
この点を社内で考え方を明確に分けておかないと、結果どっちつかずとなってしまう。
目的を誤ってしまうということか。
著者は、「既存事業でキャッシュを稼ぐ」1階、「持続的イノベーション」2階、「破壊的イノベーション」3階と組織を分けることを推奨している。
これについては個人的にも賛成である。
私の経験談でもあるが、既存の部署の中だけで新しいことを始めるのは実際に無理がある。
実は敢えて「新規事業を立ち上げよう」と言わずとも、現場でも当然に既存事業への危機感はある訳だから「新しいことを始めねば」という思いは当然ある。
実際に動いている人もいる訳であるが、結果を出すのは困難を極める。
今までの仕事の流れの中で改善出来る点はとっくにしている訳だし、今までと変わらないメンバーで仕事をする中で、急に新しいことが生まれる訳がない。
「新しいことを始める」気持ちはあっても、実現できないのが今の状態なのだ。
長らく競争環境が少なく、変化の乏しかった業界については特に壁に直面しているのではないだろうか。
特に「判断する上司が一度も新規事業を興したことがない」という状況であれば、更に成功確率を下げている要因になる。
「何を持って新規事業とするのか」「どうすれば新規事業につながるのか」
この前提のすり合わせをきちんと行うことが大切だろう。
その為にも著者は「企業発イノベーションマップ」が大事だという。
このステップも納得だ。
特にフェーズA・Bの3つ
1)イノベーションの型を理解する
2)外部環境の変化を捉える
3)組織のあるべき未来を構想する
は個人的にも本当に大事と思う。
まずはこの3点を順に行わないと先に進めないと思うのだ。
上司は自分が新規事業を立ち上げたこともないくせに、打ち出の小槌のようにポンと出てくると思っている。
絶対にそんなことは地道な作業が必要だし、100個のアイディアで1個形に出来ればよい方かもしれない。
そういう視点でみなければいけないが、まずは植物で言えば「土壌づくり」からということだ。
どうしても何からスタートしてよいか分からずに、メンバー間で話がゴチャゴチャになってしまう。
大体「新規事業」という未知なものを扱うのに、みんなで議論を進行するのも本当に難しい。
会議ファシリテーターの腕にもかかるし、新規事業担当者のリーダーの能力に頼る部分が大きい。
いずれにしても企業は新規事業を興していかないと、座して死を待つのみとなってしまう。
すでに「生きるか死ぬか」の時代に突入しているのだ。
そういう意味でも、新規事業担当者は相当の覚悟が必要だ。
一番大切なことは、案外とこの「覚悟」なのかもしれない。
(2022/5/21) -
スタートアップ起業本は多くあるが、これは、どちらかというと資源はもっている大企業の新規事業についての本。
PL思考では新しい発想は無理、上司が理解できないことにより無難な事業になってしまう等、納得感はあった。 -
スタートアップ、小企業ではく、中・大企業を対照にしている。
ただ、本書での指摘通り一番高いハードルは既存の企業組織や個々人のマインドである。が、それに対する具体的な考察や対処が圧倒的に不足しているように思う(ここが本書の本題のはず)
例えば、「3階建て」の組織づくりいいとして階下へ落とすことがどれだけ難しいことか、、、これは完全に個々人のマインドや組織文化に依存する。
この点は本書内でも指摘されているが、議論がされていないところを見ると、その問題の大きさや重要性が軽んじられているのかと。
この点の解決策についてもっと突っ込んで考察していれば良書になったと思う。 -
3月27日読了
自分の会社のことをズバリ言い当てられたようで耳が痛い
全弊社員に読んでほしい
筆者の他の本も読みたくなる -
大企業あるある、成功事例がKDDIだけ?しかも、そんな成功感ない。
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新規事業のお勉強。
■事業の「インタンジブル」を考えるときのポイント
Can-自社の保有資産/コンピテンシーを活用できるか
Get Paid-将来的にどれくらいの市場があるか
Roadmap-自社のビジョンと合致しているか
Synergy-既存事業との相乗効果が期待できるか
Want-担当者に「内発的動機」があるか
■「4つの壁」を越えたかどうかを判断するときのポイント
①CPF/PSFの壁
②PMFの壁
③UE/Scalabilityの壁
■企業イノベーションマップ
【フェーズA】イノベーションを理解する
ステップ1 イノベーションの型を理解する
→つまずき:イノベーションの「2つの型」を区別できていない
→その結果:持続的イノベーションにとらわれ、破壊的イノベーションに敗北する
【フェーズB】ロードマップを明らかにする
ステップ2 外部環境の変化を捉える
→つまずき:「確実に起こる将来の変化」を把握しないまま走ってしまう
→その結果:短期目線になり、「未来のマーケット」にフィットできない
ステップ3 組織のあるべき未来を構想する
→つまずき:「中期経営計画」レベルの未来しか見えていない
→その結果:サクセストラップにはまり、あるとき「手遅れ」になる
【フェーズC】イノベーションの土壌をつくる
ステップ4 社内リソースを明確にする
→つまずき:部署間の縄張り意識が強すぎ、組織が縦割り化する
→その結果:社内に無数にあるイノベーションの種が見落とされる
ステップ5:イノベーションの土壌を耕す
→つまずき:社内の視座を高めないまま、新規事業に突き進む
→その結果:イノベーションが「種」や「芽」のままで終わってしまう
【フェーズD】組織をアップデートする
ステップ6:先進的な組織とは何かを理解する
→つまずき:「階」を分けないまま、新規事業を走らせてしまう
→その結果:社内にハレーションが起き、「無難な事業」が量産される
ステップ7:「3階建て組織」を実装する
→つまずき:「自前のイノベーション」にこだわり、身動きが取れなくなる
→その結果:「1階建て」組織から「3階建て組織」へと進化できない
ステップ8:イノベーションを会社の文化にする
→つまずき:「3階建て組織」のなかでの新陳代謝が起こせない
→その結果:イノベーションが持続性を持った組織文化として根づかない