- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334043551
感想・レビュー・書評
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デザインのお勉強。
つまりブランドには、一定の「様式(スタイル)」というものが不可欠なのである。様式はどんな細かなものにでも適用される。キーフォント、キーカラー、キービジュアル、広告の打ち出し方、ネーミングのセンス、車であれば販売店の建築様式、店のインテリア、販売員の制服、話し方、営業方法……どれも適当に決められてはいけない。すべては「会社のブランド・アイデンティティがこうだから、こうなのだ」という必然性の下に設定されなければならない。
新設されたブランドスタイル統括部は、そういったブランド様式にまつわるトーン&マナーをルール化していく部署である。これまで、広告部、宣伝営業部、販売店など部署ごとに決めていたものを一括し、一元的に管理すること。これによってブランドイメージの拡散を防ぎ、「どこを切ってもマツダらしい」という一貫性がだいぶ表現できるようになった。
私にとってブランドとは何か?私にとってブランドとは、「われわれはこのように生きていく、こうした志でビジネスをやっていく」という宣言のようなもので、ブランドスタイルとはそれを目に見える形で表現した様式である。そこには仕事に対する考え方も、会社の歴史も、職人たちの技能もすべてが含まれている。企業にとっては魂そのものであり、いくら商品が変わっても、役員の面々が変わっても、それは未来永劫生き続けていく。ブランドだけは朽ちることなく残るのだ。
ではチームをまとめるために必要だったものは何か?まず、何はなくても成功体験である。
私は人を動かすための一番強力な手段は、その人を感動させることだと考える。
大事なのは常にチームなのだ。…
自分が褒められるより、チームが褒められる方が断然嬉しい。―もしかしてリーダーに一番必要なのはそういう資質なのかもしれない。
前田はどういう人か?魂動デザインの本質を作り上げたのは前田ですけど、まわりのデザイナーやクレイモデラーの理解や協力なしでは魂動デザインは生まれなかったと思うんです。ある意味、前田は自分の想いを伝えながら周囲をリードしていく存在というか。「おまえらもちゃんと考えろよ」とチャレンジさせつつ、「いいものはいい、悪いものは悪い」としっかりジャッジを下し、いつの間にか自分の目指すゾーンに引き込んでいる。はっきり答えを明示するのではなく、ぼんやりとした方向性を示した上で、明確なゴールはまわりのスタッフと一緒に作っていく……
そこでわれわれは発想の転換を行いました。先にデザイナーがイメージを作って生産にバトンタッチする方式ではなく、最初の段階からデザイナーやエンジニア、生産担当者など塗装に関係するスペシャリストが一堂に会して、みんなで一緒に作ったらどうだろう、と。…
…つまり、みんながハラオチした上で「どうやってこの理想を手に入れるか?」という共通の目標に向かっていくやり方に変えたのです。
それはエンジニア側の意識も大きく変えました。今、彼らは「作りたいものを作るために技術を作る」という考え方が主流になっています。「まずは理想。そのために現実を変えていく」という志向が一般的になったのです。
さらにそれは部署間の連携も変えました。これまでマツダの各部署は自分たちを守るため、そして他部署から責められないため、リスクはなるべく回避する傾向にありました。しかし、各部署が閉じていたのでは真の”共創”は成立しません。それを打ち破るにはタスクチームに対する信頼―何かあれば必ずみんながサポートしてくれる安心感―が必要になります。マネジメント側が高みを目指すタスクチームをサポートする姿勢を打ち出したこともあって、今、社内には新しいことにチャレンジできる気運が高まっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ビジョンを突き詰めて考え、カタチやコトバをこだわり抜いて具現化していく。マツダは、自分たちが何者なのか、何者でありたいのか、そして、自分たちの生き様を、ブランドとして経営の最上位に据えて、「作品」を作り出している。その徹底した姿勢に感銘を受けた。何度も読み返したい。
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最近マツダの車かっけーなーとか思ってたら前読んだ本でマツダとデザイナーの前田さんの話が例として紹介されてて前田さんの本見つけたから読んだ。
あえて感想は長く書かん。(待ち合わせ時間が迫ってるだけ)とにかく前田さんのものづくりに対する姿勢に畏怖の念をおぼえた。車のあのカッコ良さはこういうデザイナーと企業の努力の結晶なのだと。。日本企業が今後生き残るためにもマツダの戦略は参考になるに違いない。日本人の美意識の欠如を指摘してて耳が痛かった。。 -
マツダ本の中でも圧倒的に面白い。スカイアクティブは触れられてきたが、同時に始まったデザイン革新についてはあまり触れられてこなかった中、張本人が濃密に語り尽くした。デザインそのものや産みの苦しみだけでなく、デザインの一貫性独立性を確保するための組織間の縄張りまで緻密に描かれている。
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フォード体制から日本人生え抜きのチーフデザインオフィサーになった前田育男が、マツダのデザインをCIとして再生し、再構築していく物語。「大切なものは自分の中にある」。魂動デザインを作り出すために、マツダの歴史をひもとき、アイデンティティーから説き起こすことによって、持続的にマツダデザインを確固たるものにすることに成功した。市場調査をやめ、作り手起点のメッセージを伝えることで、差異化を図ろうとした賭けは幸いにして成功した。部下からボトムアップでデザインを考えさせていくなど、チームの成功を第一としているが、サラブレッド臭が垣間見えるのは彼のキャラクターなのか。
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文章で感動させられる、魂を揺さぶらさせると言うのはこういうことかと思った。芯に信念を持ち言葉を厳選することの重要性を再認識した。
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マツダ車。
10数年前、ビアンテという車を見たとき、なんてダサい車だろう、誰がこんなものにOK出したんだ、と思った記憶がある。
最近のマツダ車、どれを見てもカッコいい。
ディーラーもさっぱりしていい。
ユーノスロードスターに乗ってたころ、マツダのディーラーに行ってその芋臭さに驚いたことがあるが、確かに変わった。
全てが。
一車種だけが、優れているなら、それはまぁたまにはあることだろうけど、全てを洗練させ、それを継続することは、まぐれではできないことではないか、と思い、マツダの変化の背景を知りたいと思うようになった。そしてこの本に出会った。
書かれていることに、特別なことはなにもなかった。
ブランド論として、よく言われていることを、泥臭く、懸命にやり抜いている、ということと受け止めた。
そういうものなのかもしれない。
しかし、著者も、偶然この立場に立ち、活躍できているが、なにかが少しでも違えば、例えば年齢が数歳上でも下でも、この仕事にはついていないのではないか。
意思や努力、才能とは違うなにかが、人や組織を大きく規定しているんじゃないか、と強く感じた。 -
ともさん私物
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デザインへの想いが詰まっていて良かったです。
デザイン駆動型開発って感じました。
ドイツも日本同様にミニマリズムの美意識があるが、異なるミニマリズムである主張にグッとくるものがありました。