愛着障害の克服 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039561

感想・レビュー・書評

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  • 「症状」が真の問題ではないっていうのは本当にその通りで、そこが精神科の難解さの所以の1つだと思う

    この本の著者みたいに、自分も誰かの世界を広げられる人でありたい

    ✏傷つきやすい傾向を抱えた人は、過去には実際に傷つけられた体験をしていることが多く、さらにはその「自分を傷つけた人」が、本来であれば自分を一番に守ってくれるはずの親であったことも多い。
    また、親が意図的に傷つけてきたというよりも、親にはそのつもりはなかったが、結果的に傷つけてしまったというケースも多い

    ✏愛着障害によって問題行動を起こしたり、発達障害のような症状が現れることがある。
    ここで、親が自分の基準から外れた子を「悪い子」とするだけでなく、医学までもが、親ではなくその子の方を「異常」と診断することは、虐待に加担することにはならないだろうか。

    ✏「心的等価の様式」の状態では、自分が感じていることや考えていることと、外的な事実は、区別されない。
    自分が主観的に感じていることが、そのまま客観的な事実なのである。
    ひどいことをされたと感じたら、それがその人にとっての現実なのである。

  • 安全基地。繰り返し出てくるこのキーワードに数々の問題を考える上での着眼点をえることができた。愛着との関わりで考えることも大切だが、自分が安全基地になることで克服できるという発想はまさにコペルニクス的発想でコロンブス的発想でもあった。共感、分析メンタリゼーションなど、繰り返し読んで身に付けていきたいと思えた。

  • 生きていく土台である幼少期の安全基地が運悪く不安定だったとしても、これを克服する方法はある。あなたがあなた自身を一番大切にする、身近な人の安全基地になろうと努める、紙に書き出す、子どもを育てる、ペットを飼う、仕事や趣味に没頭する、などが挙げられる。

  • 愛着障害について理解が深まる良書。
    具体的にどのような対応をしていけば良いのかが記されているのも良い。

    また、最近、このような本を立て続けに読んで感じたことは、人との関わりに置いて起こるさまざまな問題には、発達障害と愛着障害が絡んでいることが多いのではないかということ。例えば毒親と呼ばれる人たち。

    知らない間に「無理解からくる暴力」の加害者にならないためにも、知識を得ていくことは大切だと思いました。

  • 実践編とあるだけあって、克服するには今後どうするかがタイプ別にあってとても良かった。

    克服していくにあたりこんな傾向がある、安全基地となるまでこんな思いをするだろうという周りの人目線も書かれていてまさに実践編。

    巻末テストで私自身は安定型6割回避と不安が2割ずつほど、パートナーは割合は聞いていないが本文の回避型にばっちり当てはまっていたのでこれから応用していきたい。
    この2年間、傷ついたりしんどいと思った相手の言動が、回避型によるものが大きいようでなんだか腑に落ちたし今後どうしたら良いかも見えてきて少し安心した。

    パートナーに自分も読むから読んでほしいと勧められた三部作だったが、お互いが知って良かった作品である。

    • ponkobooksさん
      こんさん、はじめまして。
      パートナーさんもこの本を読んでいらっしゃるのが、相互理解が深まりそうで、羨ましくもあり、素敵だなと思います。
      こんさん、はじめまして。
      パートナーさんもこの本を読んでいらっしゃるのが、相互理解が深まりそうで、羨ましくもあり、素敵だなと思います。
      2022/04/15
    • ぴっ!さん
      ponkobooksさん
      ありがとうございます。そんな素敵に解釈を言葉にしていただき嬉しく思います。お互い愛着障害というものを知ったばかりで...
      ponkobooksさん
      ありがとうございます。そんな素敵に解釈を言葉にしていただき嬉しく思います。お互い愛着障害というものを知ったばかりで試行錯誤しております
      2022/04/15
  • 愛着障害という、愛着を抱くべき人に適切な愛着を抱けなかった事によって起きる様々な障害についての本。
     愛着障害に対する治療法が書かれているのかと思ったが、まず筆者は愛着障害の原因は障害を抱えた本人ではなく、親や親類、上司など周囲の人間にあるという。
     そのせいか、愛着障害を持ち、苦しむ本人が、自分から何かに働きかけて治す方法ではなく、周囲の人間から愛着障害を持つ人間への関わり方を、愛着障害のタイプ別に説明される。
     つまり、この本の大半は「愛着障害に困る人が自分ひとりで克服するための方法」ではなく、「愛着障害を抱えた人の周囲の人が、愛着障害の人を支えるための方法」なのだな、と思って読み進めていた。
     しかし、最後の愛着障害の克服という章で、今まで紹介されていた、愛着障害者の安全基地となる考え方が、実は、愛着障害の克服するための考え方でもあると明かされる。
     愛着障害者の周囲の人が愛着障害者に優しく接するための方法は、愛着障害者が自分自身に優しく接する方法、また愛着障害者が周囲の人と優しく接するための方法であると、最後の最後に視点の回転が起こる。
     そのため、やはりこの本は愛着障害者本人が愛着障害を乗り越えるための本でもあるのだな、と思った。

  • 本書をはじめ岡田先生の著書に唯一決定的に欠けているのは、安全基地となる者の条件、努力、精進を求めるばかりで、本人の自助努力も必要だという点にはほとんど言及されていないことだと思う。すべては安全基地がないせい、安全基地となる者が未熟なせい、といった印象を与えるが、最後はやはり『天は自ら助くる者を助く』ではないだろうか。
    結局、愛着障害が重症であればあるほど、安全基地の存在だけで改善できるわけではない。本人の「変わりたい」「救われたい」という意志がなければ、救ってあげることなど誰にも出来ないのだと痛感する。

    しかし岡田先生の本からはハッとさせられること、学ぶことが多い。あらゆる理解不能な行動が愛着障害から始まっていたんだということがよくわかった。
    これまで手当たり次第に読んできた「うつ病」に関する本…その何十冊分を凌駕する、根本的なヒントを与えてくれている。

    愛着モデルでは
    "愛着へのダメージ→不安定な愛着→ストレス耐性・適応力の低下→症状出現"

    それゆえ、回復のコースは
    "その人 本来の生き方を獲得すること"

    医学モデルとの違いがよく説明されている。







  • 昨年、岡田尊司先生の本に出会い、救われた。
    人と人との関係性に『愛着』や『安全基地』がいかに大切か考えさせられた。
    まだまだ岡田先生の著書を読みたい。

  • 「親や家族がその人を良い方向に変えていこうと思うなら、今までの散々な経緯については、いったん頭から拭い去り、もう一度新しい気持ちで本人と向き合う必要がある。過去の失敗や恨みつらみにとらわれていたのでは、どちらも前に進めないのである。  どちらかが先に、それをするしかない。自分が傷つけられたことにとらわれている限り、相手も変わらないのである。」

    家族の繋がり・在り方について勉強になった。
    憎い相手に対し、自分がどこまで譲歩できるか。
    ほんとに人生、楽じゃないな。

  • どちらかというとこどもとどう接すればいいかわからない親だったり成人になってもぎくしゃくしてる親に手にとってほしい。でもそういう親は自分達が原因ではないと思っていそうだけど…

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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