創造的脱力 かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038922

感想・レビュー・書評

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  • 1.大好きなコテンラジオを聴いてこの本にたどり着きました。

    2.本書では、「ゆるい関係」ということが主なテーマとなっており、一般的な規則やルールとは異なる形の世界観を持った人たちのリアルを描いています。著者自身、人とは違うという自我が芽生えたことで、現代社会の疑問や問題点についてより感じるようになっています。
    そこで、鯖江市のJK課という部署を設置するという前代未聞の活動を行います。もちろん、最初は反対の嵐ですが、継続していくとその声は静まってきます。そして、この活動の後にNEETを対象として会社を設立します。この活動の中での学びや発見、当時のストーリーなどがこの本には書かれています。

    3.ボランティア活動に身を投じている身としてはとても沁みる話でした。学生は「居場所」ということにこだわっていることや「当たり前の枠組み」について疑問視しております。だからこそ、大人では考えないような意見を言ってくれることがあります。その時に私たちはその意見を「違うんだ」と蓋をしてしまわずに、「おしゃべり」をとおして理解しあうための努力をしていく必要があると感じました。そして、この「おしゃべり」に問題解決の圧力をかけてしまうと学生は委縮してしまいます。そうさせないために、私たちは自分のことは二の次で、とにかく「発言してもいいんだよ」という雰囲気作りが大切だということを痛感しました。

  • 課題を解決しようとする時に、自分も含めて、正面から突破しようとしがち、結論を急ぎがち、効率重視なコミュニケーションになりがちなことに気づいた。本当に何かを変えるのであれば、「面倒くさいこと」にも向き合い、信頼関係と脱力(リラックス)してコミュニケーションできる場を作ることが大事。
    この本から学ぶことが多かったし数々の実験的プロジェクトの話もとても面白かった。

  • 私は普段、読んだ本について内容を要約しているが、この本を読み終えたとき、「要約したくない」という感情が自分の中に生まれた。

    なぜならば、この本は、知識や正解の提供を目的にしたものではなく、読書体験を通して、自己や社会について見つめ直す機会を与えてくれるからである。

    自身の感想を表現すると以下のようになる。
    コミュニティの常識に、自分を適応させることは、義務ではなく、権利であり、選択肢の一つではないかと感じている。社会の求める正解のようなものは、自分の人生の正解とは限らないし、もっと言えば、自分の人生の正解など存在しないかも知れない。しかし、自分の身体および脳を通して、人生という現象を楽しむことができればと思う。

  • 今までのかたい社会に対する実験的な新しいコミュニティの実例

    JK、NEET、就職アウトロー等の社会への巻き込み方やそこで観察された考察が素晴らしい
    (コテンラジオでの話の方が面白かったけど)

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685499

  • 想像的脱力、まさにこの言葉通りでかつ、これでできていない日本人がどれだけ多いことか。
    こう言った話を真剣にできるかどうかで身の回りのコミュニティの居心地は大いに変わってくるのだろう。
    とても良い本でした。
    想像的脱力、まさにこの言葉通りと思いつつもタイトルをもっと工夫できれば、もっと売れたのでは無いかとも思う。

  • 千葉日報のコラムで、国立千葉大学付属小学校の校長?が引用していた本。コロナ禍での子どもとの接し方についての記事で、紹介していた。興味深かったので、手にとったけど、とても面白かった!

    曖昧で不確実な現代のコミュニケーションをうまく表現してる。なんというか、これは世代論の本でもあると思うんだけど、このとてつもない可能性を秘めた人たちのちからを引き出す、中高年の人たちの力量、度量、懐の深さ、愛情とかが問われている気がする。

    序章で、ゆるいコミュニケーションについて、書いてます。

    「ゆるい」というのは、「いい加減」だということではありません。きっちりとは固定されていないのに、つながっている。強制されているわけではないのに、参加している。必要に迫られているわけでないのに、欲している。細かいことは決まっていないのに、全体としては成り立っている。一見もろそうに見えて、実は「かたいつながり」以上の「ネバネバ感」があり、「まとまり」がある。

    (中略)

    つまり、「ゆるいコミュニケーション」は、一人ひとりの異なる価値観やスタイルをお互いに認め合い、それぞれの個性的なパーソナリティを引きだし合うことができる「成長の機会」なのです。

  • 正解みたいなものがなくなってしまった以上、「好き」や「やってみたい」を軸に「自己実現」を果たしていくことが人生の充実をもたらすことになると思った。
    私は、コミュニティづくりを通して、それをやってみたい、実験してみたいと思う。

    ======================
    〈自分用要約メモ〉
    p17 既存のシステムや勢力を直接攻撃してしまわないところから、でも、ちゃんと見えるところから、それをやりたいという当事者たちが集まって、何かが変化するような振り切った実験を真剣にやってみる。
    そこに人や情報がどんどん流れてきて、いつかは本流にすり替わったりするかもしれない。

    p19 「ゆるいコミュニケーション」
    固定されていないのにつながっている。強制されているわけではないのに参加している。必要に迫られているわけではないのに欲している。細かいことは決まっていないのに全体としては成り立っている。

    p49 マズローの再考
    日本語の「実現」には、結果の状態を指すニュアンスが強く含まれている。しかし、自己実現は言語では「Self-Actualization」で、そのまま訳せば「自分が、実際のものになる」である。つまり、真の自己実現とは、ありのままの状態を体現し続けること。結果の状態ではなく、成長の「過程そのもの」だということ。

    p123 政府や公的機関から助成金は一切もらわなかった。「ニート問題をなんとかする」という問題解決プロジェクトではないから。

    p129 「全員が取締役」にこだわったのは、誰一人「雇われていない」という状態を作り出したかったから。⇒主体性と自発的な参加

    p138 民主主義発展の原始的プロセスの体現があれば、社会制度や仕組みに対して、不平不満をたれるだけのようなことはちょっと減るんじゃないか。自分たちなりに考え、悩み、納得できるようになれば、与えられたシステムであっても、自分たちのものとして楽しむことができるようになり、当事者として深く関わることもできるようになるはずです。

    p144 なぜニートか一人前か、ゼロかイチかにこだわらないといけないのか。その中間に、自己責任による「半人前」という人生のバリエーションがあってもいいはず。

    p163 仲:仕事って「理由があるなら働く」というものであってほしい。「稼がなきゃ生きていけない」と言うが、果たして本当にそうか。
    休憩しながら、必要に迫られたときに働く、というのが正しい状態じゃないかと思っている。

    p 176 新卒の若者を一斉にかつ画一的に採用するやり方は、会社にとってはもちろん、働き手になる若者にとっても、とても便利で都合のいいものだった。
    しかし、経済が成熟して、物質的に豊かになってくると、「とりあえず働く」ということだけでは仕事や人生は充実しない。現代の若手社員は、人間関係の充実を求めるようになっている。

    p183 グローバルな人材とは、生まれ育った環境における常識や概念にとらわれず、その他いろいろな文化や価値観に柔軟に対応できる人たちを指すのだと思います。

    p209 仕組みがあることによって、みんな何も考えてないっていうか、本質的な部分が考えられなくなっているし、自分がそういう状態に陥っていることにも、たぶん本人たちは気づいていないんだろうなと。
    仕組みがまったくないと疲れる。だけど、仕組みが僕らの深い思考を阻害して、人をバカにする。

    p220 本来は「さまざまな違いを活かす」ことがダイバーシティ開発だが、日本ではどうも「できるだけ違いをなくすこと」というニュアンスで語られる。

    p224 ある部分てわはとことん「かたい」考え方や手法を維持しながらも、別の部分ではとことん「ゆるい」思考や手法てまさまざまな実験や試行錯誤ができる。本当の柔軟性。

  • ヨーゼフ・シュンペーター 社会が発展→新しい方法は非効率な方法を駆逐破壊→新陳代謝=創造的破壊

    北欧 余白の時間 大学入学は22、23歳

    2014年ゆるい就職→☆R020606現在普及していない

    著者・福井県若狭町 ○○先生の子供 詩→教室で失笑→「あ、言ってはいけないことを言ってしまったんだ」
    人と組織の研究☆論理が分かりづらい/何に役立っているのか不明

    2014年鯖江市 JK課→批判、俗語使うべきではない
    市営バスのダイヤ改正
    図書館空席アプリ開設
    ネットで批判→大人の方が考えすぎた
    挨拶指導必要なし→公務員と女子高生の上下関係つくるだけ
    みどりん☆目の感じ誰かに似ている!

    ニートだけの会社 レンタルニート=人材派遣☆詳細不明

    アメリカのダイバーシティー→人種民族対立で問題ある社会の考え方 日本=ほぼ単一民族・島国で導入する考えではない

    かたい社会に変化 ゆるい(怪しい)・かたい 魅力的・つまらない のマトリックス
    固定電話・ファックスは直に今のネット環境になったのではない・ゆるく怪しいオタクのパソコンが起源

  • NEET株式会社や鯖江市JK課などに関わってきた人の本。
    正直、「うさんくせー」って思っていた。
    でも、作った狙いにはかなり納得させられました。

    現状をぶち壊す新たな対立軸を作るのではない。
    「ゆるい」集まりを作ることで、何かが生まれるかもしれないというゆるい発想。
    現行のあまりにも硬すぎる就活、それに染まれない人たちが集まった「ゆるい就活」など、色んな試みを紹介。

    自分自身、就活には染まれなかった人間なので、すごく同意しながら読んでいました。

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