メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 298)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033989

作品紹介・あらすじ

世界に氾濫するトンデモ科学報道。納豆ダイエット捏造騒動を機に健康情報番組の問題点は知られるようになってきたが、テレビを批判する新聞や週刊誌にも、あやしい健康情報が山ほどある。そこには、センセーショナルな話題に引っ張られるメディアの構造、記者・取材者の不勉強や勘違い、思い込み、そして、それを利用する企業や市民団体など、さまざまな要素が絡んでいる。本書では、さまざまな具体例をもとにメディア・バイアスの構造を解き明かし、科学情報の真贋の見極め方、リスク評価の視点を解説する。

感想・レビュー・書評

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  • メディア・バイアス | 日経クロステック(2007.11.12)
    https://xtech.nikkei.com/it/article/Watcher/20071102/286278/

    「店で提供されているから安全だろう」は大間違い…中毒者が急増する“鶏レアチャーシュー”の根本原因 どうしてそんな危険なメニューが放置されているのか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
    https://president.jp/articles/-/59757

    メディア・バイアス 松永和紀 | 光文社新書 | 光文社
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334033989

  • 2007年に出版された本なので、今とはテレビや新聞の情報手段の媒体としての立場は変わってはいる。しかし、その当時のメディアの扇動的で非科学的な情報を流すという問題について知ることが出来た。
    メディアが発信すること全てを鵜呑みにせず、情報に懐疑的になり、他と比較するというのは今も15年前も変わらないのだと感じた。
    15年前のことを取り上げた本なので、今とは状況の違いも多いとは思うが、膨大な情報に晒される現代人として参考としていきたい。

  • 大学時代のメディア論の課題図書だった。
    それまで、新聞を読みなさいなど、一辺通りの指示を鵜呑みにしてた自分の行動を反省するようになった。

  • バイアス=偏り
    メディアが事実をどう切り取るかで印象が変わる。

    健康食品の偏向報道の生まれるメカニズムがメディア側の視点で多面的に語られていて参考になる。

    2007年の書のため、ソーシャルメディアの問題は扱われていないが、それ以外の点では、今なおこの書の仕組みは存在していると感じる。

  • あやしい健康情報・ニセ科学は、今日も相も変わらず垂れ流されている。

    専門知識がないわれわれにとって、それを看破するのは至難の業である。ほとんど不可能と言ってもよい。

    そして、われわれは権威をちらつかせた学者サマにめっぽう弱い。
    エラそうであればエラそうであるほど、信じてしまう。

    この本以外にも、いくつかメディア・バイアスについて取り扱った本をよんできたが、食の問題というアプローチからメディアの嘘を論じている本書は目新しく、楽しく読めた。

  • 本書は、TBSの「白いんげんダイエット」事件や記憶に新しい関西テレビ「あるある大辞典?」の「納豆ダイエット」捏造事件を契機に、メディアに氾濫する、主に”食”にまつわる健康情報の非科学性やいい加減さを暴き、メディアが何ゆえそのような”ニセ科学”を競って報道したがるのか、”メディア・バイアス”が生み出される要因をあぶり出します。
    著者は、農業・食品・環境などを専門とするフリーランスの科学ライターで、自身以前は毎日新聞社の記者としてメディア側に身を置く立場だったという経歴の持ち主です(名前から男性だと思ってましたが、”わき”さんという女性でした)。

    こういった科学的論拠に欠ける健康情報の喧伝には、大きく2種類あります。

    1つは「あるある」の「納豆ダイエット」に代表されるような「●●は健康によい」「○○はダイエット効果がある」といった積極的効能を大げさに伝えるもの。
    この本で取り上げられているものとしては「寒天」「βカロテン」「有機野菜」「マイナスイオン」などがあります。
    「マイナスイオン」なんて素人の自分でも「怪しいな〜」と思ってましたが、まず「マイナスイオン」なるものの定義からしてはっきりしてないし、科学者の間では人体に好影響があるなどといったことは全く相手にされていないとのことです。
    そのわりに「マイナスイオン」機能の付いた家電って世の中に氾濫してますね。
    我が家にもありますが。
    それ以外のものも、効能があるにしても特定の条件下に限っての話だったりして、条件が違うとまったく効果がなかったり逆に健康に悪影響を与えるケースもあるとのこと。

    もう1つは「△△は危険!」「▼▼は体に悪い!」といたずらに不安を煽る警鐘報道です。
    例としては「食品添加物」「中国産野菜」「DDT」「PCB」「環境ホルモン」「遺伝子組換え大豆」など、枚挙に暇がありません。
    もちろん著者もこれらに全く危険性がなく安全だと言ってるわけではありません。
    ただうまく使用条件や使用量をコントロールして利用すれば有用な面もある、ということです。
    闇雲にバッシングするのはあまりに短絡だと。
    こういった過剰な警鐘報道が氾濫するのはマスメディアの構造的な問題が根底にあると解説されます。
    マスメディアは読者・視聴者の目を惹くためにセンセーショナルな報道に傾きがちである。
    しかも、「◎◎が安全」と報道してそれが間違いだったらメディアの責任問題になるが、「××が危険」と言う分には責めを負うリスクは小さい。
    だからこのようなメディア・バイアスが生じてしまうのだ、と。

    個人的にはマスメディアが伝えることなんて殆ど信じなくなっているので、この本に書かれていることを読んでも大して驚きもしなかったんですが、上記に例示したようなものの効能・危険性を疑っていない方がいれば、一読してみると目からウロコかもしれません。
    ただ、著者が若干行政寄り、というか国家のコントロールへの信頼がかなり厚そうなところは若干気になりましたが。

  • 思索
    サイエンス


  • 「あやしい健康情報とニセ科学」という副題の付けられた本書では、虚偽あるいは意図的に捏造された健康情報を垂れ流し報道するメディアの姿勢が断罪され、真摯に科学に携わる者が思わず膝を打つような内容となっている。「おもいッきりイイTV」に代表される健康関連番組が「○○は△△に効く」といった健康情報を流し、それに一般視聴者が扇動される現象を「みのもんた症候群」と呼ぶらしい。「発掘!あるある大辞典Ⅱ」の白インゲンマメダイエットなどこの種の番組が皮肉にも健康被害を引き起こし社会問題となったことは記憶に新しい。科学は、白か黒かというような単純なものではなく、例えば薬の世界でいえば1錠飲むのと2錠飲むのとで効果と副作用のバランス(Benefit/Risk)が逆転してしまうという具合に、化学反応は量の多少など様々な条件次第でどちらにも転びうるようなグレーゾーンの事象が大部分であることを、真のサイエンティストは理解している。環境ホルモンのような大規模なプロパガンダや最近の食品汚染の問題など、この手の報道には、自分の主張に不都合なデータには目を背け、自分の主張に沿った現象の一面を切り出して必要以上に強調して報道する『メディア・バイアス』が共通して見受けられる。そんな無責任きわまりない報道の蔓延を見るに見かね、義憤に駆られて著された本書は、科学のウラオモテとその背景を冷静かつ客観的に論じた良書といえる。エコ・アグリ政策など時事問題にも切り込んでいる。将来科学を志す若者に手にとってほしいと思う。また、科学者は、研究倫理に関する価値観として「誠実」「正確」「効率」「客観性」の4点を共有したい。

    「危ないと書く方が楽なのも事実だ。あとで安全だと分かっても非難されることはあまりない。逆に安全だと書いて、あとで危険と分かったら、非難される可能性はきわめて高い・・・ないものは証明できない、という科学の持つ根源的な壁が立ちふさがるために「危なくない」という報道は難しいのです」

  • 色々話してるけど、面白い本ではなかった。
    こういう事例があった。マスコミはこう報道しているが、実際はこうであるの流れが続く。
    事例をレポートし続けるレポート・報告書のような本。
    まあメディアは「面白い」ことが最重要だから正確性とかは二の次だよね。

    情報を懐疑主義で見る、情報の利益車を考える。極端な情報、単純な情報は警戒する。

  • 元新聞社の記者であった著者が特に食品や健康被害に関するマスメディアの偏向報道とそれが起きてしまう仕組みを解説する。何を今更、感が否めないがマスメディアの影響力の大きさ考えればまだまだこの手の話題喚起は足りない。新聞社を辞めフリーになった著者だが一部著者自身の偏向も伺える。

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