英語のアポリア: ネイティブが直面した言葉の難問

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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784327490263

作品紹介・あらすじ

ネイティブにも摩訶不思議な英語の世界

辞典編纂者・語学教師としての長年の言語体験をもとに、「日本人の英語」の奇妙さなどについて綴ったエッセイ。

*アポリア:一般的には、解決できない難問をさす。一つの問いに二つの相反した合理的解答のあること。

<目次より>
●英語の不通(インド英語の体験)
●英語の問題(英語と非英語の境界の英語)
●束縛される英語(英語の「正しさ」とは?)
●ネイティブの問題(インド人の問題ある英語翻訳の実例)
●教育の問題(『オネーギン』を英語「で」読む)
●英語の喧嘩(帆足理一郎の「立派な英語」はどのように立派か)
●子供の英語
●試験の英語(第二言語テスティング論、センター試験の問題、TOEIC(R)等検定試験の問題の問題)
●機械の英語(AI 翻訳の驚異的向上は何を意味するのか)

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めると止まらなくなってしまった。
    母語ではない言語を身に付けるための方法とその意義、日本の英語教育についてなど、英語という言語と語学の勉強全般にまつわることをつれつれと述べている本。

    著者が、日本語に堪能なアメリカ人で、大人になってから日本語を学んだが、今は英語がなくても日本で生活していける人というところがポイント。
    しかも、自称「語学オタク」で、ロシアに行ったことのないアメリカ人からロシア語を学び、英語があまり堪能ではない中国人から中国語を学んだ経験があるということで、語学の勉強の経験がとっても豊富!
    (説明が難しいけど、ロシア語は、ネイティブではない人から文法など英語で説明されながら学び、中国語はネイティブスピーカーから中国語だけを使って習った、という人。さらに日本語は日本に住んで覚えたそうで、3通りのやり方で語学学習した人と言えます)

    本では、最初から最後まで、特に鋭い発見があるわけでもなく、何か重要な結論に辿り着くわけでもなく、ただ思うところをつれつれと述べているだけなんだけど、私はとってもおもしろかったし、言わんとすることもすごく分かる~と思った。

    でも、私はなんだかんだで英語のお勉強が好きだし、英語教育にもそれなりに興味があるからおもしろかったけど、他の人が読んでもおもしろいのかな? そこはちょっと疑問です・・・。

    本棚でのカテゴリは英語学習じゃなくてエッセイにした。

    英語の授業が小学校から、ということの是非について、反対ではないんだけど、効果についてはずっとモヤモヤしていた。そのモヤモヤの理由をきちんと言語化してくれていて、スッキリした。
    でも、この本が最後にたどりついた最終的な結論には心から同意、というわけではなかったかな。

    日本人にLとRを教えると、みんなすぐ発音できるようになるけど、聞き分けるのは優秀かどうかに関係なく、みんな最後までできなかった、というくだり、なんかすごく安心した! 私だけじゃないんだ~、と。
    LとRを聞いて区別するクイズとかあると好きで絶対やってみるけど、私はけっこうな確率で間違えます。

    著者は日本語の「たすけた」の「す」のUと、「たずねた」の「ず」のUは違う音、と言っていて、ビックリしたけど、自分で発音してみると、確かにちょっと違う・・・・?
    でも、私が驚いたのは、そもそも日本語は「す」を「S」と「U」に分けて考える発想がないから、え、U? 違うのそこ? 濁音と清音の違いじゃなくて?って驚いた、という感じです。

  •  私もそう思っているし、結構多くの人が感じている日本の英語教育の不思議や常識非常識を、ネイティブスピーカーで、なおかつ東大で教えている人が書いているところに価値があるように思う。
     やっぱりそうだよね、という。

  • 何のための英語か。
    教養か実用か。

    私はどうして英語を学んだのだっけ。
    息子には何を学んでほしいのだろう。

  • 英語教育関係のネイティブが、応用言語学ではなく個人の体験に基づいて書いたエッセイ。ピーターソン『日本人の英語』シリーズに近い印象を持った。
    東大の英語部会の人なのに試験が嫌いなのは意外だった。確かにALESSは全く試験が無かったので、言われてみればそうかなとは思う。

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著者プロフィール

東京大学教養学部附属教養教育開発機構特任准教授

「2012年 『プロフェッショナル・ディべロップメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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