結婚差別の社会学

著者 :
  • 勁草書房
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326654086

作品紹介・あらすじ

被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」。部落出身者との結婚をめぐる家族間の対立、交渉、破局、和解などのプロセスを、膨大な聞き取りデータの分析から明らかに。同時に、結婚差別の相談・支援活動の事例から「乗り越え方」のヒントを探る。部落差別の根本問題を徹底的に調査研究した画期的な成果。

感想・レビュー・書評

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  • 齋藤直子 x 岸政彦 生活そのものを聞き取り続けて見えてくること | 岸政彦 「調査する人生」 | web岩波
    https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/6901

    Vol.8 齋藤 直子先生 | 大阪市立大学女性研究者支援室(2015年7月12日)
    https://www.wlb.osaka-cu.ac.jp/2015/07/12/interview-researcher008/

    結婚差別の社会学 - 株式会社 勁草書房
    https://www.keisoshobo.co.jp/book/b283182.html

  • ご主人の岸政彦さんのツイートをみて読み始めた。齋藤直子さんの専門分野も知らなかったので、タイトルだけでは、部落差別に伴う結婚差別が主題だとは分からなかった。
    筆者は私とほぼ同年代であるため、(出身地が同じく大阪ならば)同和教育も同じように受けてきたのではないかと推察する。しかし現在は部落問題が人権問題の一部として実質的に縮小していると知ったのは驚きだった。
    さて。部落問題に伴う結婚差別とは、部落外出身側および縁者(両親)が当事者の結婚を阻害しようとする差別である。解決法として有力なのは、当事者の人柄や熱意のようだが、それが常に有効であるとは限らない。忌避心理は根深いので、結局は破局に至ることもある。
    更に言えば部落外出身側に潜在する差別意識のせいで、結婚後に破局することもある。特に「部落出身だ」とうちあけた際に相手が「関係ない」と答えることが、「部落出身であることも含めて私を受け入れてほしい」という気持ちとの齟齬を生じさせること、そして「関係ない」=部落への無関心や忌避から出た言葉、だという場合には、当事者間に亀裂を生じさせてしまう、との指摘があった。
    もしも私が当事者だったときにうちあけられたならば、やはりまず「(部落出身であっても)関係ない」と答えてしまうと思った。そしてそれは更に言えば「(これからは部落とは関係ない生活になるのだから)関係ない」という気持ちが奥に潜んでいたことに気付いた。
    同和教育を受けていた時期から遠く離れ、また人権問題を考えることがあっても部落差別問題を考えることがほとんど無くなっていた私にとって、未だ消えていない部落差別を再度考え直す良い機会を与えてくれた本になった。

  • 4.11/178
    『被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」。部落出身者との結婚をめぐる家族間の対立、交渉、破局、和解などのプロセスを、膨大な聞き取りデータの分析から明らかに。同時に、結婚差別の相談・支援活動の事例から「乗り越え方」のヒントを探る。部落差別の根本問題を徹底的に調査研究した画期的な成果。』(「‎勁草書房」サイトより)

    『結婚差別の社会学』
    著者:齋藤 直子
    出版社 ‏: ‎勁草書房
    単行本 ‏: ‎294ページ
    発売日 ‏: ‎2017/5/27

  • 専門的といえば専門的…だけれど、結婚差別で悩んだ人はどうすれば? というところにも配慮があるので、ゴリゴリの研究書感がないです。悩んでいる人も読んでほしい

  •  
    ── 齋藤 直子《結婚差別の社会学 20170527 勁草書房》齋籐 直子
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4326654082
     
    https://q.hatena.ne.jp/1581410430#a1273788(No.1 20200212 06:10:32)
     
    (20200212)
     

  • 4.0 人の幸せを願って生まれる差別についての研究。結婚するが目的になってはいけないと言うのは納得できる。相手を尊重、尊敬しながら年を重ねたいと思う。

  • 主な話題は被差別部落における結婚差別研究
    その中身は「非好意的な親の介入」であり、親との関係性の分析がなされている。
    差別意識の問題だけでなく、家族関係の問題も考えることができ、整理される。

    親との関係性だけに注目すると、
    親の反対の中でもタチが悪いのが、「親戚・世間の忌避の予期」だという。
    非常に巧妙な反対方法であり、自らの反対の解釈は隠蔽される。
    また、予測不可能な事象に責任を求めてくるため、回答不能である。
    この回答不能な問いかけには、直接答えることは出来ず、結局、人柄などの個人の評価に頼るのみとなる。
    しかし、個人のみを認めることは、自らの差別意識は持ち続けたまま(例外化の戦略)となり、これは「結婚後差別」の萌芽ともなる。

    以上の話だけでも、親との関係性の問題が、言葉により整理されることで救われることもあるかと思う。
    最後の章では、支援の具体的な話が述べられる。
    解決策があるわけではない。しかし、考える助け・支えにはなるであろう。

  • 結婚差別、なんとなくそんなことがあるだろうという程度の認識でしかなかったけれど、読んだ後では、我が事として考える機会になった。自分の子が部落出身者と結婚するとなったら、等。
    「祝福」したいという強制、「祝福」されなくてはならないという意識の内在化、が根強いというところに、目からウロコ。
    自分は良いけど親戚がね、自分は良いけど周りがね、という言説。本人は差別発言してないと思っているけど、それは差別発言だということ。
    部落差別だけに限らず、身近にあるかないか、接するか接しないか、で差別意識は違ってくるだろうなと思う。色々な人と関わることの重要性を改めて思う。

  • 正直なことをいうと、部落差別の意味/理由が、昔からいまだわからず(肌の色の差別もわからないけど)
    だからこの本の内容が、差別事例が、読んでて不快でしかなかった。
    でも、私が理解できなかろうが、差別は現実にあり、今も進行形であり、だから少しでも知る、考えることをしたい。

    文章はとても読みやすかったので、よけいに入ってくるものがありました。

  • 【書誌情報】
    著者:齋藤直子
    出版社:勁草書房
    定価:2,000円+税
    出版年月日:2017/05/26
    ISBN:9784326654086
    版型:4-6
    頁数:312

     被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」。部落出身者との結婚をめぐる家族間の対立、交渉、破局、和解などのプロセスを、膨大な聞き取りデータの分析から明らかに。同時に、結婚差別の相談・支援活動の事例から「乗り越え方」のヒントを探る。部落差別の根本問題を徹底的に調査研究した画期的な成果。
    http://www.keisoshobo.co.jp/smp/book/b283182.html


    【目次】
    はじめに

    第1章 部落問題とは何か
     1 部落問題とは何か・部落出身者とは誰か
     2 部落差別はもうない!? 
     3 近年の部落差別事象

    第2章 結婚差別はどのように分析されてきたか
     1 結婚差別の膨大な記録
     2 部落(同和)問題をめぐる意識調査・実態調査
     3 二〇〇〇年代以降の研究
     4 配偶者選択論と結婚差別

    第3章 結婚差別のプロセス
     1 ひとつの事例から
     2 結婚差別問題のプロセスで起こること
     3 調査の概要

    第4章 うちあけ
     1 うちあけるか、うちあけないか
     2 うちあけしなかったケース
     3 うちあけしたケース
     4 恋愛差別
     5 部落出身同士
     6 うちあけへの対処

    第5章 親の反対
     1 結婚差別と親
     2 ひとつの事例から
     3 反対を受けなかったケース
     4 親の反対と交際の破局
     5 反対する親と縁を切る
     6 結婚に反対する理由
     7 親子仲は強まっているのか

    第6章 カップルによる親の説得
     1 強い反対にどう対抗していくのか
     2 熱意
     3 人柄
     4 既成事実をつくる
     5 「縁切り」をする・ほのめかす
     6 弱いが粘り強く

    第7章 親による条件付与
     1 消極的な容認
     2 栄さんのケース
     3 条件の類型
     4 条件付与にいたるさまざまなルート

    第8章 結婚差別問題では何が争われているのか
     1 祝福をめぐる攻防
     2 「祝福」は不必要か
     3 「親戚」「世間」の効力
     4 「脱部落化」と「忌避の合理化」
     5 もちこされる差別

    第9章 結婚後差別
     1 家庭内での差別
     2 「結婚後差別」のひとつのケース
     3 結婚後に出身が明らかになったケース
     4 「非告知」という条件の維持
     5 忌避の継続
     6 親の態度変容の可能性
     7 家族関係の安定と不安定

    第10章 支援
     1 親との関係をどう考えるか
     2 支援の多様性を
     3 耳を傾けて、本人が決める
     4 部落問題と向き合う
     5 心理的なケア
     6 その後をみすえた支援を
     7 人をつなぐ

    おわりに
    参考文献
    索引

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著者プロフィール

コロンビア大学で博士号取得(教育哲学).現在,京都大学大学院教育学研究科,准教授.専門はプラグマティズム,アメリカ超越主義,カベルのアメリカ哲学.主要著作に,The Gleam of Light: Moral Perfectionism and Education in Dewey and Emerson, Fordham University Press, 2005,『〈内なる光〉と教育──プラグマティズムの再構築』,法政大学出版局,2009年,Stanley Cavell and the Education of Grownups, Fordham University Press, 2012; Education and the Kyoto School of Philosophy, Springer, 2012(以上,ポール・スタンディッシュとの共編著),訳書に,スタンリー・カベル『センス・オブ・ウォールデン』(法政大学出版局,2005年)などがある.

「2012年 『自己を超えて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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