情動の哲学入門: 価値・道徳・生きる意味

著者 :
  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326154500

作品紹介・あらすじ

情動はときに誤り、害をもたらす。やはり理性に従って行動すべきなのか。理性的に生きることが幸福な生につながるのか。実はそうではない。情動こそが状況に相応しい行動を生み出すのであり、理性は情動の働きを調整しているというのが本当のところである。情動に着目することで新たな展開を見せる心の哲学の最前線。

感想・レビュー・書評

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  • 元々自分のことを、情動が未熟だと思っている。これ読んでそれを確信して、落ち込んだ。
    心で思っていることがかなり幼稚で我が儘なのでそのまま行動に移すと嫌われるから、考えてコントロールしている自分。だから時々ふとした瞬間に思ったことを言ったりやったりするとボロが出る。
    情動を鍛えて人間的に成長?したいと思うけど、難しい。

    いくら正しい「判断」ができても意味ない。


    …本の内容から少々外れますが個人的な感想です。第一部が面白かったです。

  • 私たちの生において情動(感情)は主役であり、理性は補佐役である。
    例えば、悪魔的人間が悪をもたらしたとする。私はその悪に対し怒りと悲しみを覚える。怒りと悲しみには、悪をもたらした人間に対する謝罪と償いをさせようとする動機が含まれる。しかしたとえ謝罪がなされても、許さない。
    謝罪がなされなければ、いっそう怒り悲しむ。そうせざるをえない。
    私たちは理性では悪魔的人間を私たちの道徳世界の住人でありうるような人間でないと判断する。
    一方で、私たちは情動では悪魔的人間を道徳世界の住人でありうるような人間だと感じる。

    悪魔的人間は私たちと道徳的に断絶していることは明らかだと思われる。しかしその明らかさは私たちの今の判断能力によって考えられる限りでの道徳的関係である。
    悪魔的人間を人間だと感じる情動は、未来の新たな道徳的関係の可能性を示している。

  • 理性は補佐役、むしろ情動こそが主役である? 意識的な感情にとどまらない無数の名もなき情動とともに立ち現れる壮大な哲学的眺望。

    著者:信原幸弘
    ジャンル 哲学・思想・倫理
    ISBN 978-4-326-15450-0
    出版年月 2017年11月
    判型・頁数 四六判・288頁
    定価 本体2,700円+税

    情動はときに誤り、害をもたらす。やはり理性に従って行動すべきなのか。理性的に生きることが幸福な生につながるのか。実はそうではない。情動こそが状況に相応しい行動を生み出すのであり、理性は情動の働きを調整しているというのが本当のところである。情動に着目することで新たな展開を見せる心の哲学の最前線。
    http://www.keisoshobo.co.jp/book/b324586.html

    【目次】
    はじめに

    第Ⅰ部 価値と情動
    第1章 立ち現れる価値的世界
     1 価値の身体的感受
     2 情動は価値への態度ではないだろうか
     3 身体の透明化

    第2章 価値認識の究極的源泉
     1 価値は事実に付随する
     2 価値判断に情動は不要か
     3 情動の根源性

    第3章 葛藤する心
     1 情動の合理性
     2 価値判断の体系性
     3 御しがたい情動

    第Ⅱ部 道徳と情動
    第4章 悲劇的ディレンマ
     1 正しい行為
     2 後悔と罪悪感
     3 悲しみと罪悪感
     4 意図的行為の可能性

    第5章 道徳的修復
     1 どうしようもない悪
     2 赦し
     3 赦しえないもの
     4 それでも人である

    第6章 道徳の二人称性
     1 足をどかせる二つのやり方
     2 理由と圧力
     3 二人称理由の権利
     4 反応的情動

    第Ⅲ部 生きる意味と情動
    第7章 感情労働
     1 感情労働とは何か
     2 隷属性
     3 自己洗練の妨害
     4 脱出の道

    第8章 情動価と経験機械
     1 情動価とは何か
     2 奇妙な情動
     3 経験機械の謎を解く

    第9章 自己物語
     1 物語とは何か
     2 人生と物語
     3 自己物語の客観性
     4 自己物語のフィクション化

    あとがき
    参考文献
    索引

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著者プロフィール

信原 幸弘(のぶはら・ゆきひろ):1954年、兵庫県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授なをつとめる。東京大学名誉教授。専門は心の哲学。著書に『意識の哲学』(岩波書店、2002年)、『シリーズ 心の哲学』全3巻(編著、勁草書房、2004年)、訳書にパトリシア・チャーチランド『脳がつくる倫理―科学と哲学から道徳の起源にせまる』(共訳、化学同人、2013年)がある。

「2022年 『「覚える」と「わかる」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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