思考力改善ドリル: 批判的思考から科学的思考へ

著者 :
  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326102853

作品紹介・あらすじ

クイズ感覚で問題を解いてクリティカル・シンキングの力を養い、科学リテラシーがぐんぐん身に着く! 考える力を磨くための27章。

人間には、直観システムの働きによってじっくりと考えずに誤った判断を下してしまう傾向がある。本書ではわかりやすい解説によってそうした頭の弱点を知り、思考ツールの使いこなし方を学びながら、練習問題で実践的なトレーニングを行う。さらに、因果関係や推論といった概念を理解することで、科学的思考を身に着けることを目指す。

感想・レビュー・書評

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  • 高校の頃に読んでおければ良かった…
    ファスト&スローも再読しよう…

  • 「認知的歪み」と「思考ツール(特に科学実験の方法論)」を知り、1テーマ数問のトレーニングで思考能力を身につけるための本。クリティカルシンキングに分類される本書であるが、類書と異なるのは科学的ツールが紹介されていること、「知性改善論」という哲学のテーマを引き受けていることである。

    もともと大学のテキストとして書かれたものを再編集したという経緯があり、基礎的なトレーニングとして最適。それは章末の問題を見ればわかる。どういうことかというと、例題と章末問題の難易度のギャップも緩やかに設定されているため、簡単すぎて練習にならないこともないし、かといって、難しすぎてとっかかりすらないなんてこともない。つまり、着実にレベルアップできるような内容が織り込まれているために、思考力が磨き上げられるのが分かるのだ。

    また、本書の最後のページには豊富なブックガイドが示されており、どの本も一読の価値のある有意義なものとなっていることも特徴である。私も思考改善や認知バイアスについての理解を深めたいときはこのブックガイドを羅針盤として利用している。

    以上より、本書は「初学者」にとって頼もしい味方でいてくれることだろう。

  • 大学の講義内容をベースに編集した書籍だけあって、初学者に好適な内容になっていると思います。例題や練習問題が随所に用意されており、また解説も丁寧に書かれているので、置いてけぼりを食うことなく読み進めることができました(物語を読むのに比べると、ちょっと腰を据え、また著者のいう熟慮システムを発動させながら読まないといけませんが)。

    ”あるある”な思考パターンの罠が多く紹介されている点では、大学生のみならず社会人にもオススメの一冊といえます。普通に生活していると、直観システムばかりを発動させてしまいがちですが、本書を辛抱強く読むことで熟慮システムを活性化させ、自らの思考を矯正するのに非常に役立つ一冊だと思います。

  • 批判的思考・科学的思考のエッセンスであり、シンプルで良い意味でベタな問題集。大学1~2年、おそくても就活前に読んでほしい一冊。

    良い点として
    ①批判的思考・科学的思考が類書でもシンプルにまとめられている。
    ②設問がシンプルで取り組みやすく、解説も詳しい。
    ③ブックガイドが豊富。

    個人としては、ビジネス系クリティカル・シンキングの既刊書のとっつきにくさを感じていたため、本書を手にとったが、類書で曖昧に感じていた点をよく整理できたと思う。アカデミックの基礎固めでもビジネス系でも一冊目として読むのにふさわしい一冊だと思う。

  • 練習問題が多く、読み進めるのに時間がかかったが読み終えられた。

    間違いなく、今後生きていく上で糧になる本だ。なぜなら、この本にある考えなしでは、生きていく中で身の回りで起こる現象や耳に入る言説を的確に捉え、筋の良い仮説を導き出すことは難しい。それぐらい思考の偏りを意識するにはうってつけの本だと感じた。

    この書籍を通して、科学的思考がどのようになされているのか知ると、物事の捉え方が明確に変わる。たとえば、私は以前、「読書量が増えると年収が高まる」という仮説をデータを根拠にやや断定気味に論じていたブログ記事を読んだことがあった。その仮説に、私は言葉にしがたい違和感を感じていた。その時は、しばらく考えたのち「まあ自分の読書をするためのモチベーションになるか」と思い、安易にその違和感を飲み込んでしまっていたのだが、それから少し時間が経ち、この書籍を中盤まで読んだあたりで、真っ先に詭弁かどうかが気になったのが先のブログの記事だった。すぐに読み直してみた。すると、その仮説の根拠である複数のデータに、サンプル数の偏りがあることにすぐに気が付けた。

    この書籍の威力を目の当たりにしたのはその瞬間だった。過去100冊程度本を読み、ここまで実利に働く本はなかった。大袈裟かもしれないが、何らか自分の人生の方向を変えている気さえする。

    少なくとも、先述したブログ記事の仮説が否定されたところで私の読書をする意味は1つ薄れたが、この書籍と出会えたことで良書を読み学びを得る尊さが一段と高まった。この変化が疑心暗鬼になり希望を失って不幸をもたらすのか、素直に幸福をもたらすのかは分からないが、視野が俄然広がったのは事実で、著者一同に本当に感謝を申し上げたい。

    最後に、選び難いが最も心に残っている学びを一つ上げるのならば、134pの「態度の問題」をあげたい。"反証への前向きな態度"こそが科学を前進させる正しい姿勢だという教えは、より仮説をたてることに勇敢に、そして自分の考えに固執せず他者の考えを柔軟に受け入れるという、自分にとって極めて重要な教えとなるだろう。

  • 人間の思考にいくつも張り巡らされているバイアスや非論理性を認識し、論理的・科学的に思考するための入門書。
    記述はわかりやすく、練習問題も豊富だけど、目から鱗、というほどのことは書かれていなかったかな、と。

  • 第1部 ウォーミングアップ
    第2部 直観と熟慮
    第3部 因果関係
    第4部 対照実験とその周辺
    第5部 推論
    第6部 科学という営み

  • 関西大総合情報学部の「科学リテラシー実習」の講義を元にした独学書

    小難しそうな印象とは違い、
    ドリル形式で段階的に易しく
    科学リテラシーについて学ぶことができる

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001192773
    【電子ブック】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/8000077300

    ■(一橋大学の方へ)電子ブックの本文を見るには、上記リンク先の「本文リンク」をクリックしてください。

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著者プロフィール

植原 亮(うえはら りょう)
1978年埼玉県にうまれる。2008年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術、2011年)。現在、関西大学総合情報学部教授。専門は科学哲学だが、理論的な考察だけでなく、それを応用した教育実践や著述活動にも積極的に取り組んでいる。
著書に『思考力改善ドリル』(勁草書房、2020年)『自然主義入門』(勁草書房、2017年)、『実在論と知識の自然化』(勁草書房、2013年)、『生命倫理と医療倫理 第3版』(共著、金芳堂、2014年)、『道徳の神経哲学』(共著、新曜社、2012年),『脳神経科学リテラシー』(共著、勁草書房、2010年)、『脳神経倫理学の展望』(共著、勁草書房、2008年)ほか。訳書:T・クレイン『心の哲学』(勁草書房、2010年)、P・S・チャーチランド『脳がつくる倫理』(共訳、化学同人、2013年)ほか。

「2022年 『遅考術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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