社会科学系のための「優秀論文」作成術―プロの学術論文から卒論まで

著者 :
  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326000340

作品紹介・あらすじ

政治学、社会学、経済学といった社会科学では、論文の「型」があいまいで、大学でもきちんと教えられていない。本書では、北米の大学で長年研究生活をおくっている著者が、プロ研究者のための査読論文、院生のための博士・修士論文、さらには大学生のための卒業論文の書き方まで、平易明快・懇切丁寧に指南。

感想・レビュー・書評

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  • 学部の卒業論文から、査読付き学術論文の仕上げ方までを通して「論文の型」について説明し、社会科学系の論文の必要最低限持っていなければならない条件や書き方について詳しく説明されている。
    学部のときに読んでおけば、より「論文とは何か」がわかっただろうし、またその後の修士・博士論文を書く際にも、「論文を書く訓練」を意識できただろうと考えると、もっと早く出会っておくべき本だった。

    日本では、「論文の書き方」をクリティカルに教えるような授業体系になっていないように思う。それは、たくさんの論文を読んでマネをし、自分で構築していかなければならない部分が大きい。
    しかし、アメリカなど北米の大学では、「論文の書き方」をきちんと訓練し、学び、その準備ができてからやっと論文に取り掛かるという方式である。
    筆者は、カナダの大学で教鞭をとっており、そのような北米式の論文ノウハウをクリティカルに示してくれている。学部生が読んでも抵抗なく読めるであろう。社会科学系の研究をしている人は、手元に置いておきたい一冊である。

  • 女性研究者支援センター事務室長 栗原郁太 推薦!
    論文の「型」を説明した本です。卒業論文・修士論文・博士論文・学術雑誌の基本的な性格の違いがよくわかります。例えば著者は、「修士論文の基本的なタイプは概念の検討・整理を目的とする論文か、仮説検証を目的とする論文ということに落ち着く。」と整理しています。

  • かなり本格的な論文を書くとは?という書籍。ただし、読みづらくはなく、内容が濃いという感じ。
    政治学を研究している学者さんが書いているので、たとえばなしがわからないという点が否めない。
    全体的に、修論〜博士〜プロの研究という先々の研究で必要なことが記載されているので、前を見据えながら自分の研究のポジショニングや研究の妥当性を自己判断しやすい。

  • プロジェクト(計画)、説得、問題と解決の枠組み、の3点を意識する
    「問題の所在」で始まる。
    先行研究の問題点を指摘し、適切な分析手法を使って解決する。
    目的、中心命題、問題と解決の枠組み、中心命題が持つ含意。の順に書く。
    目的は一つの論文でひとつだけ=概念の検討整理、仮説検証、仮説創設、新事実の提示、のどれか。
    中心命題は、読者を説得すること。解決しか書いていないのはおさらい論文。
    問題点は先行研究にあたることで生まれる。

    反論を取り入れる。譲れるところは譲る。それにより譲れない論点がはっきりする。

    結論部分は、議論のサマリー、中心命題の含意、将来の課題、を書く

    博士論文は学術書並みのページ数で、査読論文よりも多い。より大きな問題を扱う。複数の副中心命題から一つの中心命題が成り立つ。複数の事例を伴う。
    ダブルブラインドより査読者が決まっている分楽。

    研究計画書の段階で先行研究の分析が必要。先行研究の批判的分析が問題の特定化につながる。
    おさらい論文を批判的に見れば計画書になる。

    文献目録を作る、文献レビュー論文を見て読む論文を決める。学術書を読んで、関連文献パノラマ図をイメージする。

    博士論文は学術書に出版するか、複数の査読論文に分けて発表する。
    学術雑誌を選んで投稿する。

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著者プロフィール

川﨑 剛(かわさき つよし)
1961年生まれ. 同志社大学法学部卒業. プリンストン大学で博士号(Ph.D. 政治学)を取得. カナダのサイモン・フレーザー大学助教授などを経て, 現在:サイモン・フレーザー大学政治学部准教授. 専門は国際政治学. 主著:『社会科学としての日本外交研究――理論と歴史の統合をめざして』(ミネルヴァ書房, 2015年), 『社会科学系のための「優秀論文」作成術――プロの学術論文から卒論まで』(勁草書房, 2010年), 『「在外」日本人研究者がみた日本外交――現在・過去・未来』(共著, 藤原書店, 2009年)など.

「2019年 『大戦略論 国際秩序をめぐる戦いと日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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