- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314011518
作品紹介・あらすじ
〈らんぶる〉も〈スカラ座〉も〈風林会館〉も台湾人がつくった――
終戦までの50年間、日本の統治下にあった台湾。
8万人あまりが“日本兵”として戦争に駆り出され、戦前から日本に“内地留学”をしていた者も多くいた。
戦後、今度は一転、“外国人”として裸一貫で放り出された台湾人はやがて駅前のヤミ市で財をなし、焼け野原に新たに構想された興行街・歌舞伎町を目指した――初めて明らかにされる、貴重な時代証言。
感想・レビュー・書評
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産経の北海道買収本を読んだ後で、これを読むと、敗戦後日本と現在が重なるのだが、結局、国籍や会社の大小ではなく、カネを出せるかどうかで、不動産は動く。中華系がこの辺に強いのはカネを集める力であって、1人の中国人が龍なのではなく、出資者が龍なのである。複数の頼母子講を回していれば、月に1回は土地を買うカネが出来るので、日銭を稼げる商売をやれば、それをまた回していく。異業種への参入もその仲間内にノウハウがある訳だから、一から修行して、リサーチしてなどと時間をかける必要はない。台湾人の地主の殆どが元留学生で、医者や教師などからの転身者も多いというのは内地への留学生が戦後も残ったからではあるのだが、仲間内の信用力が学歴や財力と相関しているからであろう。内地留学は実家の財力が裏付けになるのだが、裸一貫でのし上がった在日台湾人のケースは少ない様に思える。
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東京近郊で生活した人なら、一度は「飲みに」「遊びに」いったことがあるはずの歌舞伎町。
90年代、コマ劇の前はギターを持った若いひとが自由に歌い、でも、ちょっと奥に入ると危険な香りが満載の大人の街、でした。
最近はずいぶん明るくなり、危険な感じは少なくなり、ずいぶん変わったなぁ、と思っていました。それが、最近だけのことでなく、戦後からずっと、「最近変わった」感じの場所なのだなと感じます。初めて訪れた年代によって、印象はかなり違うものであるようです。
その移り変わりの中で、台湾出身の人物が深くその変化に関わっていたことがよくわかります。建物自体が変わっているところと、ずっと同じ建物のまま中身だけが変わったところの違いも実感できます。