- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314010610
作品紹介・あらすじ
アメリカの著名な児童精神科医が、カルト教団の子どもたち、母親の殺人を目撃した少女、犬の檻で育った少年などの13の事例を通して、虐待やトラウマが子どもの発達に与える影響と回復への道筋を描く。
感想・レビュー・書評
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わかりやすくまとまっていて、面白かった。
トラウマ体験が脳の発達に与える影響について研究した精神科医、Dr. ブルース.D.ペリー。彼の著作が日本語になってる!
自身の成長物語にもなっていて、読み物としても面白いし、描かれている事実もものすごく興味深い。
もんのすんごい状況で命だけ生きながらえたような人でも、癒されうるんだってことに希望を持つ。しかもそれが、能天気で盲目的な(つまり無責任な)スピリチュアル系ポジティブシンキングじゃなくって、検証、研究に基づくいわば科学的手段として実践され成果をあげているってところに、喝采を送りたい。
これが「セラピー」、「治療」よね。
なにか信じられないような事件や人に出会ったとき、この「トラウマ体験がどう脳機能に影響を与えるか」を知っているだけで、すごく共感的に相手を見られると思う。そしてそれが人類の希望 。信じられない闇に、共感的に寄り添える人がいるってことが、世界を癒す唯一の手段だと信じている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
触れ合い、声かけなどの関わりを必要な時に行わないと、脳の発達に問題が出てくる。子供は関わりがないと死んでしまう。やり直すのは小さければ小さいほどよい結果があらわれる。
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すごいなぁ。
中身はタイトルの通りかなり過酷な事象を記述している。
著者の(あるいは翻訳者の)、患者というか、人間に対する愛情のある姿勢が読んでいるつらさを感じさせない。
過去になにがあっても、やり直せるということと、ものの見方は1つではなく多様であり、それは救いであるということが分かる。 -
児童虐待の症例を集めたもの。とても読みやすい。アメリカっていうのはそれにしても酷い国だなあと思ったけど、日本も実際はそんなにかわんないか。
被虐待児の治療として筆者は人間関係の量と質を上げていくことを提唱している。
人間関係の量と質を上げるようなコミュニティーをどう作るかは中々難しい問題。日本の児童擁護施設などはあまり上手く機能していないのではないかと思う。何よりも人的資源が圧倒的に少ないんじゃないか。
筆者は同質の子どもが集まる入院治療を否定はしているが、入院治療にも一定の効果はあるはず。 -
子どものトラウマと脳への影響について、実例をベースに書かれた一冊。
トラウマがどのような悪影響を与えるのかとても分かりやすく書かれている。
著者が神経医学に通じていることで、どれだけ脳がダメージを受けるのか、腑に落ちて理解することができた。 -
事例を並べてあるのですが・・・・あまりにもすごい話ばかりでした。
すごくなくても,みんないろいろあるでしょ,ね。がんばろ! -
とても読みたい気がして購入はしたのですが、まだほんの1章分くらいしか読めていません。中断が長くなったので、あらためて最初から読んだほうが理解が早いように思います。
こういう、読みかけで止まっている本が、この本にかぎらず沢山あるのでもう少し整理して読み物に邁進したいと思っています… -
ペリー先生が行った子どもたちへの接し方や、一人一人に合った治療法に非常に感銘を受けました。それと共に専門医であっても人によっては間違った処置をしてさらに悪化したケースがあることや、世界中には予想以上に残酷な虐待を受けてトラウマを負ってしまった子どもたちがいることを知って、教育や子育てに対する考え方が変わりました。