- Amazon.co.jp ・本 (566ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314009249
作品紹介・あらすじ
マクスウェルの魔物の話からエントロピー・情報理論、心理学・生理学、複雑系の概念までも駆使して「意識」という存在の欺瞞性を暴いたデンマークのベストセラー、待望の邦訳。
感想・レビュー・書評
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基本的には、私が「私」だと思っている「意識」という
ものは、一度に一つのことにしかフォーカスできないし
情報処理能力も極端に低い。すべての感覚器官が受け
取る情報は、意識に辿り着く前に意識がハンドリング
できるように刈り込まれ、シミュレーションされた結果
であり、意識というのはPCのデスクトップのような
ユーザーイリュージョンである、ということを書いた本
だが、それを核にしてマックスウェルの魔物からエント
ロピー、複雑系やガイア理論にまで話が及び、実に壮大
である。
この本を読んで世界観がガラリと変わってしまう人も
いるだろうと思われる大著であるが、それと同じくらい
第1章の途中で挫折する人もいるのではないかな。
私が「私」だと思っている「もの」は、実は「自分」の
ごく一部分にしか過ぎない。 -
難解で読むのに2ヶ月かけてしまった。
広範囲に渡る話題だが著者の世界の切り取り方が鋭い。
主題は人間がいかに受け取る情報量を意識によって減らしているかというテーマ。
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ー序章
客観性の基礎自体が主観的
ー一章 マクスウェルの魔物
ガリレオ、ケプラーをニュートンが統一。
地上と宇宙の統一。
現代科学における宇宙観
重力、電気と磁気、原子のレベルで働く2つの力
マクスウェル、光が波動性の電場と磁場。
ルドルフクラウジウス
エントロピー、エネルギーどれほど取り出しづらいかを表す尺度
五章
言葉はそこにない何かを示唆する手がかりにすぎない。
外情報を交わす上質な会話
音楽において肝心なのは音波ではない。
作曲演奏家が様々な心の状態を一つのパターンに置き換えてそれを聴き手の心の中で同じあるいは異なる状況を呼び起こす。
音符に至るまでの外情報と音符が聴き手の心に呼び起こす外情報
音楽により自分を知る
認識のパターンを気にして覚える
ーペンキを塗った金属板でなく標識とわかるのはその人の内部の働き
理性に基づいて行動と思ってるが繰り返されてきた行動パターンで行動している。
通常、知ってることから知らない事へ移行するが、ノンリニアダイナミクスはそれの逆。知らないことから知ってることへ。
意識は0.5秒遅れる
意識は深さだが表層として体験される。
シュミレーションの結果。
感知→シュミレーション→経験
私は私自身のユーザーイリュージョン
脳と神経系と感覚器官の機能がおもに排除であって創出ではない
夢はシュミレーションのテスト?
12章
ジュリアンジェインズ
3000年前の人類は意識を持っていなかった。
ユダヤは外側から影響、キリストはいしきにのる内側からの影響。
自己と自己以外の世界を行き来するためのテディベア、そして宗教やアルコール、薬、本。
アイデンティティや体の構造、外見、そして意識は維持されるが同じ原子が留まることはない。
この連続性は確かだがそこに物質的な基礎はない。
13章
原子が入れ替わるなら自分を世界と断絶させる意味は?
心もそうでは?
14章
生命は有形の物体ではなく時空間上の1パターンである。
15章
世界は非線形
文明が情報を取り除き、人間同士に集中出来る様になった。
文明で情報を取り除き、他のことに気を割くが
冒険は100%情報になり、違う面が出る
人間の概念は線形だけど、自然は非線形
崇高と滑稽は紙一重
生命の普遍は変化すること -
第33回アワヒニビブリオバトル「錯覚」で発表された本です。
2018.01.09 -
内容は面白いんだけど、同じ話を言い方を変えて何度も言うから、ループしてるとこと、進んでるとこが区別できなくて読み辛い、、、
期待してたよりもはるかに多くの得るところのある本でした
これは名著
2014年のシメでした
来年は何から読み始めよーかなー -
「<私>という意識はユーザーイリュージョン=錯覚である」という刺激的な命題で展開される500ページの大著。少々難しいし(重いから)頭と手が疲れるが、繰り返し読み返す価値のある一冊。
<blockquote>リベット(引用者注:カリフォルニア大学サンフランシスコ校の生理学者)の発見した遅れが示しているのは、いつ行動を起こすかを決めるのが自分自身ではないということでは<b>ない。</b>肝心なのは、行動のプロセスを始めるのは<b>人間の意識ではなく</b>、ほかのもの、つまり無意識である、という点だ。</blockquote>
我々の意思は脳がやると決めた0.5秒前に動き出している。
ブルース・リーが"Don't think,feel it."って言っていたのは、そういうことだったんだ! 脳科学的にも正しかったんだよ! -
意識とは何かを科学的見地から、かつ多面的に捉えている!
180819再読
脳活動は、意識する0.5秒前から始まっている。 -
意識は、脳が処理してから、0.5秒遅れて、やってくる。そして、その時間のずれを処理してリアルであるかのようにシミュレーションしている。意識とは幻想である。
という脳の研究をベースとした「意識」に関する「分かりやすい」入門書かなと思い、読んでみる。
たしかに、そういう話は中心的な議論ではあるのだが、それだけには、全く留まらない、非常に幅広くいろいろな科学的な知識をつなぎあわせる壮大な知的エンターティンメントであった。
でてくる話は、情報理論、熱力学、量子力学、脳生理学、哲学、複雑系、ガイア理論、マルクスなどなど。著者は、研究者ではなくて、科学ジャーナリストということなので、これらの話が複雑に絡み合いながらも、実に分かりやすく書いている。
中心になるコンセプトは、脳生理学ではなくて、情報理論からきている。情報の処理で重要なことは、情報を生み出すことではなく、情報を消去する事。この情報の消去にエネルギーが必要なのだそうだ。
ということを前提に、意識の秘密に迫る。つまり、脳は、毎秒1000万ビット以上の情報を処理しているのだが、意識は、毎秒数十ビットしか処理できない!膨大な情報を数十ビットに圧縮するのに0.5秒の処理時間が必要ということ。そして、意識はリアルタイムで処理しているように補正をかける。
ということは、私たちの意識が決定を行うまえに、脳は決定を行っていて、「意識」があと追いで、自分で決めたと思っているだけ。つまり、「自由意志」は存在しない、ということか?
などなど、興味深い話題がつづく。
この本で、私が一番良いと思ったのは、副題やオビの宣伝文句のトーンに反して、この本が、「意識は幻想である」という唯物論的なニヒリズムに陥っていないことである。
「意識」=「私」の限界をしっかり受け入れつつ、「潜在意識」=「自分」との調和を見出そうとしている、ポジティブな姿勢が、とても好ましい。
そして、潜在意識は、「私」という閉じた世界ではなく、外部の世界に対して開かれている。「私」と「自己」の距離は、「自己」と「外部世界」よりも遠いのだ。そして、「情報」とは、結局は、外部性、他者性のことである。
最近、「複雑系」や「空」の思想、後期ウィトゲンシュタインから、自分がいろいろと考えていたことと同じことを、別のルートから説明してくれた感じ。 -
人間の自由意志存在しないのではないかという疑問に対する回答を提示したものですかね。