図説 ヴィクトリア朝の子どもたち (ふくろうの本)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 88
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309762890

感想・レビュー・書評

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  • 産業革命の最盛期、光と影が混在するヴィクトリア朝時代の
    イギリスの子どもたちの暮らしについて、詳細に解説。
    序章 “子ども”とは
    第1章 誕生        第2章 赤ちゃん時代(0歳~2歳)
    第3章 幼児時代(2~5歳)  第4章 学童時代(6~13歳)
    各章にColumn、本書で引用した作品、参考文献、
    ヴィクトリア朝年表、有り。

    ヴィクトリア朝時代の子どもたちの暮らしを、
    児童文学や子どもの描写がある文学作品から探り、
    理想の家庭と子どもの姿、上流階級や中流階級の子ども、
    そして労働者階級の子どもたちのついても、
    豊富な図版を交えて、詳細に解説しています。
    産業革命からの国と社会の変化。
    すなわち、旧と新の過渡期といった時代の中での
    様々な進歩と変化は、子ども観や親、家庭にも及んでいた。
    子どもに関する衣食住の紹介のみならず、
    生まれ落ちた時からの生きにくさは、
    病気、栄養、衛生や水の問題、害を及ぼす食や薬、
    孤児の物語が多い理由や救貧院等の影の部分。
    労働者としての子どもたちの過酷な実態は、闇。
    現在とは異なる両親やナース(ナニー)、家庭教師との関係。
    パブリック・スクールや淑女学校等、様々な学校。
    初等教育義務化が及ぼす影響。
    子どもの楽しみのための本誕生は、光。
    当時よく読まれた本も紹介されている。
    時代が経るにつれて、労働者階級の休日増と賃金の上昇による
    生活水準の向上がなされ始め、余暇が拡大する。
    動物園、劇、鉄道での行楽、万国博覧会などの娯楽も登場。
    “本書で引用した作品”の他にも児童文学が登場するのと、
    多くの参考文献が提示されていることもあり、
    購入して手元に置きたいと思いました。

    • 川野隆昭さん
      ヴィクトリア朝時代の子どもというと、チャールズ・ディケンズの小説世界を思い出しますね。

      なかなか興味深いですね。
      ヴィクトリア朝時代の子どもというと、チャールズ・ディケンズの小説世界を思い出しますね。

      なかなか興味深いですね。
      2023/01/07
    • かおるひめさん
      引用でもディケンズの本が数冊取り上げられています。
      過去にハマったこともあり、何冊か蔵書してますので、
      振り返り読みしてみようかな?
      引用でもディケンズの本が数冊取り上げられています。
      過去にハマったこともあり、何冊か蔵書してますので、
      振り返り読みしてみようかな?
      2023/01/07
    • 川野隆昭さん
      ぜひぜひ。

      蔵書で持っていると、折に触れて、振り返り読みができるという楽しみが、ありますよね。

      僕は、どうしても再読したい、処分してしま...
      ぜひぜひ。

      蔵書で持っていると、折に触れて、振り返り読みができるという楽しみが、ありますよね。

      僕は、どうしても再読したい、処分してしまった本をAmazonなどで、ときどき買い直しています。
      2023/01/07
  • タイトル通りの内容。裕福な家庭の子どもから貧困家庭の子どもまでをテーマ毎に解説してくれている。昔の子ども時代というか子どもらしくいられる時期って短かったんだなぁと痛感した。
    絵も豊富、話題も幅広く、どれも興味深い。深掘りしたいテーマがみつかればしっかり深掘りできそうなほど参考資料があげられています。
    眺めるだけでも飽きない一冊でした。

  • 児童書等を引用しつつ、ヴィクトリア時代の子どもについて解説する本。絵が素敵で見ているだけで楽しい! のだけど、当時の実際の子どもの暮らしは結構辛いものだった…。
    あと、引用されてる本が読みたくなります。

  • 出産を控え、「果たしてロンパースとは…」と疑問に思ったことをきっかけに手にした本。子ども服の変遷が分かれば良いやくらいに思っていたら、子ども服=子どもという概念の誕生、人工乳の誕生、絵本の誕生、無痛分娩の誕生、幼児教育の変遷などなど、想像以上に内容が幅広く面白かった。しかも私自身が慣れ親しんだ絵本や児童文学の背景を紐解くといった要素もあり、挿絵がたくさんで読みやすかったし、昔読んだ物語の再発見でもあり、1ページ1ページが面白かった。
    図書館で借りたけど買っても良いかもなぁ。

  • 大人社会の中で子どもはどのような立ち位置にいたのかを知りたくて色々読んでいる中の1冊。ほんの少し前まで子どもは大人のミニチュア扱いだったというけれど、それは大人の生活の余裕の有無も影響していたのだろうなと。この本では裕福な環境から貧困層まで様々な階層で生きる子どもたちを知ることができます。小説から紐解く内容なので参考図書も多く挿絵も豊富。眺めるだけでも楽しい。
    とにかく子どもをどんなに可愛く思っていても大人の生活がある程度保障され、大人の精神が安定していることが子どもには大事だなと。いや、環境大事だわ。

  • ヴィクトリア朝を舞台にした児童文学を丁寧に読み解き、当時の子どもの風俗を明らかにする。ふくろうの本シリーズならではの豊富な図が楽しい。
    この頃は子どもを賛美するトレンドがあった(ロマン派・ロマン主義)ため、子どもは天使みたいに描かれた。この頃の子どもの格好は、いまの時代になっても「かわいらしい」という感覚を呼び起こす。たいがいの親って一度はこういう格好を子どもにさせたがるような気がする。なぜでしょう。かわいいの基準ってやっぱりスタンダードがあるのかな。

  • ふむ

  • ヴィクトリア朝の中でも、子どもたちにスポットを当てた一冊です。

    当時の子どもたちの暮らしぶりが、同時代を描いた児童文学の描写を交えて紹介されています。

    詳しくしかもわかりやすい解説で、当時の子どもたちの様子がリアルに伝わってきました。

    絵や表などもたくさん掲載されていて、それらを眺めているだけでもおもしろいです!

    ヴィクトリア朝について解説した他の図説シリーズなどとあわせて読むと、より楽しめるでしょう!

    ◇おすすめポイント
     ・児童文学の描写と実際の暮らしぶりをリンクさせての紹介
     ・豊富な絵や図表と、わかりやすい文章による解説
     ・当時の子どもたちの生きる世界の大変さがわかる

    ◇こんな方におすすめ!
     ・ヴィクトリア朝の生活に興味がある
     ・歴史や食文化を学ぶのが好き
     ・児童文学が好き

  • 図書館で借りましたが、手元に置いておきたい一冊。『トム・ブラウンの学校生活』、未読の中でも特に気になる。読まねば!

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著者プロフィール

奥田実紀 宮城県仙台市生まれ。コピーライター、編集者をへてフリーライターに。1992~93年、小説『赤毛のアン』の舞台となった、カナダのプリンス・エドワード島に、小さい頃からの夢を果たし滞在。その体験をもとに書籍を出版、雑誌記事も執筆。新聞・ラジオ出演、カルチャーセンター等での講演会も行なう。タータンの著書に『タータンチェックの文化史』(白水社)『スコットランドタータンチェック紀行』(産業編集センター)『図説 タータンチェックの歴史』(河出書房新社)がある。

「2021年 『すてきなタータンチェック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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