- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309761640
作品紹介・あらすじ
百年前の英国における、働く女子の最大多数派「メイド」たちの素顔に迫る。絵画・挿絵・広告・絵葉書、そしてプライベート写真…。英国メイドの日常を描いた貴重な図版をぎっしり300点以上収録。
感想・レビュー・書評
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イギリスの小説やお話やコミックの中でしか知らない「メイド」。その姿はなんとなくイメージするけれど、実際はどうだったのだろう。
メイドにならざるを得ない境遇、その準備に始まって、1日のタイムスケジュールや、仕事の分担、服装、お給料、生活、恋愛や結婚などが具体的に記されている。
資料を集めるのも読み込むのも大変だったろうと思うけれど、そこに現れる彼女たちのなんとリアルなこと。
図版が多く、そのキャプションも細部に渡っているので、読んでいると想像が広がる。
ずっと謎だった「モスリン」も「タフタ」も、解き明かされていた。
雇用主階級と使用人との身分違いの恋も、時にはあったのだと知って、少しときめく。
また、故郷の貧しい暮らしでは触れることの出来なかった裕福な暮しや文化に触れたり、つらい労働の合間に隙を見つけ出してたまには語らったり夜遊びをしたり、楽しみもあったのだ、と知ると少しほっとする。
とはいえ、後に役所で働くようになった女性が、かつて自分が働いていたのと同じような建物で働き、もうメイドではないので正面玄関や応接間を出入りして、地下の書類庫に行く時、「かつて、この暗い地下牢で、(略)私や私に似た誰かが、文字どおり汗水流して働いたのだ。『おのれの身の程』を受け入れながらー」「そう、幽霊はここにいたー私はそのひとりだったのだ」と感じるのを読むと、きらびやかな生活に紛れてはいてもやはり「幽霊」には違いなかったことは、しっかり受け止めておかなくては、と思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NDC 591
100年前の英国における、働く女子の最大多数派「メイド」たちの素顔に迫る。絵画、挿絵、広告、プライベート写真。英国メイドの日常を描いた貴重な図版をぎっしり300点以上収録!
著者情報
東京外国語大学卒業。著者に『図説英国執事』『図説英国貴族の令嬢』(河出書房新社)、翻訳に『図説イングランドのお屋敷』『図説英国インテリア史』(マール社)等多数。アニメ「黒執事」の時代考証にも携わる。
目次
メイドの素顔
メイドの居場所
メイドの旅立ち
メイドの仕事
メイドと奥様
メイドと同僚
メイドの制服
メイドの財布
メイドの遊び
メイドの恋人
メイドの未来 -
図書館でたまたま目について借りた本。
「正統な」メイドさんの実態がかいま見れる。
本来、メイドさんは黒子なわけで、ミニスカートや「ご主人様とのキャッキャウフフ」は(基本的に)ご法度。
今の日本のメイド像、メイドカフェの背景はそれはそれで面白そうだけど、調べてみると、「正統な」メイドを追求するメイドカフェもあるみたいで、ちょっと行ってみたい。
まあ、「本当のご主人様」を体験するには高級ホテルにでも泊まるのが手っ取り早いのだろうけど。
ところで、日本風に「女中喫茶」や「丁稚珈琲」なんてのがあってもいいんじゃないかな。 -
映画しかり、小説しかり、貴族というものが出てくる作品に出てくるメイドさん。なかなかスポットが当たらない彼女たちの実際の生活がどんなものだっかた知りたくて読んでみました。
読むと想像はしてましたが、拘束時間、職務内容どちらもとても大変そう。それでも自分のパンを稼ぐためと、懸命に生きてきた彼女達の生活と人生を垣間見ることができます。
華やかな貴族の生活の裏側、覗いてみませんか? -
「ダウントン・アビー」を見ていて、大邸宅の使用人のことに興味を持ったので、面白く読んだ。ハウスキーパー・レディーズメイド・パーラーメイド・ジェネラルメイド・キッチンメイド・スカラリーメイド……たくさんの仕事と階級。steward(家令)・butler(執事)・valet(従者)・footman(下男)……。
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アニメ「エマ」のガイドブックを書いた人だけあって、
内容は重厚で欲しい情報がこれでもかというほどに
溢れています。とにかく資料が豊富!
写真、本、絵画の中のメイドの姿はもちろん、
生活ぶり、賃金、その後の人生・・・等々、
この一冊だけで英国メイドのすべてがわかります。 -
graph
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情報量がすごい。一口にメイドと言っても時代や雇用主によって色々な生き方をしてたんだなと思いました。
中を読むと、ものすごく泥臭くて肉体労働で拘束時間もひどくて理不尽で大変な仕事だったことばかり伝わってくるのに、表紙だけは優雅なのがなんだか面白い。 -
図書館で借りました。
絵画や写真がたくさん載っていてメイドの一日の仕事や制服、それについての心情についてもわかりやすく書いている本です。
やはり人が集まる職場ですし人が人の下で働く場ですからやはり人間関係はややこしかったみたいです。
特に主人との関係。
今だとブラック企業だ!と叩かれそうな職場だから余計不満が溜まりやすかったんでしょうね。
主人はメイドの全て(恋愛や勤務態度、人格を含めて)を管理したがったようです。
それにメイドは抵抗する、という図式があるようでした。
もちろん親切にメイドを思いやる主人もいたようですが。
それに金がある職場は総じて主人にも余裕があるらしくそういうところが寛大だったようです。
無理して雇っているところは悪かろう賃金も安かろうだったみたい。 -
当時のメイドの服装、役割や、屋敷の構造、雇い主との関係性に至るまで多岐に亘って解説されていて興味深かったです。この本を読んだ後、たまたまポワロのドラマを見たのですが、時代考証がしっかりなされているのが分かり、二倍愉しめました!