魔性の女挿絵集 ---大正〜昭和初期の文学に登場した妖艶な悪女たち (らんぷの本)
- 河出書房新社 (2013年3月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309727998
作品紹介・あらすじ
泉鏡花「高野聖」の婦人、谷崎潤一郎「痴人の愛」のナオミ、江戸川乱歩「黒蜥蝪」の緑川夫人など、官能的な魅力によって男性を支配し、ついには破滅させる、あるいは美の追求のためなら殺人をも厭わないという「怖い魅力」を秘めたヒロインたち。彼女たちの当時の絵姿を、ストーリーとともに紹介。
感想・レビュー・書評
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明治末から昭和初期の文学を彩る耽美で幻想的な魔性の女を紹介。
第1章 明治末~大正の文学と挿絵
第2章 大正末~昭和初期の文学と挿絵
・実在した魔性の女I~IV ・西洋からの影響I~III
弥生美術館・竹久夢二美術館の紹介。参考文献有り。協力者一覧。
「怖い魅力」を秘めたヒロインたち。
泉鏡花や谷崎潤一郎、江戸川乱歩の作品の内容のみならず、
彩る挿絵の魔性の女、ファム・ファタル・・・運命の、宿命の女。
和装中心の時代の女、西洋が入ってきた時代の女。
一本の線で表現する裸体の妖艶なこと。
妖しい女たちが「少年倶楽部」や「少女画報」に載っていたことの
違和感・・・蕗谷虹児の口元や高畠華宵の眼差しの色っぽいこと!
儚げ、豊満、なんとも非現実な存在の夢のような美しさを、
堪能できる一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
魔性の女。宿命の女。ファムファタル。自分がそれから遠い存在なためか凄いような悪い美女に酷く惹かれてやまない。本書では大正昭和の挿絵画家たちが描いた魔性の女たちを紹介している。表紙にもなっている橘小夢(さゆめ)の絵は圧巻である。あと岩田専太郎の絵はやっぱり色っぽくて魅力的だ。巻末に魔性の女についての考察が掲載されているが「母性を否定した非現実的な夢幻の存在」とは凄い。どこにもいない誰もが憧れる魔性の女はなるほどフィクションの中にこそふさわしい。
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妖しく美しい女性たち。
儚げで病的な感じがとても良いです。
絵を見るための本なので仕方ないのかもしれませんが、見開きで読まないといけない版割で、文章が読みにくかったです。
この本で初めて橘小夢を認識しました。
気に入ったので、今度から気を付けてみたいと思います。 -
★★★★
今の挿絵と違って
この時代の女性の儚さ、
妖艶さなどが描かれていて目の保養になる。
挿絵でなく芸術作品の域。
男性の心を鷲掴み!!だけでなく私の心も鷲掴み!!-
「今時の女性とは別物に」
だって、実際には見えていない部分ですから、、、チラっと本性(魔性)を現したところを描かれている。今の女性の裏側にも...「今時の女性とは別物に」
だって、実際には見えていない部分ですから、、、チラっと本性(魔性)を現したところを描かれている。今の女性の裏側にも潜んでいるかも。。。2013/07/31 -
>nyancomaruさん
潜んでるかなぁ~「(ーヘー;)
私にはまず持ってないもんだからなぁ(笑)>nyancomaruさん
潜んでるかなぁ~「(ーヘー;)
私にはまず持ってないもんだからなぁ(笑)2013/08/06 -
2013/08/09
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ベースがないと描けないと思うのだが
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<目次>
はじめに
第1章 明治末〜大正の文学と挿絵 耽美の風
画家 橘小夢
小説家 泉鏡花
小説家 谷崎潤一郎
画家 水島爾保布
画家 河野通勢
画家 小村雪岱
画家 名越國三郎
第2章 大正末〜昭和初期の文学と挿絵 震災復興の中で花開いた女性文化
画家 竹中英太郎
画家 蕗谷虹児
画家 高畠華宵
画家 山六郎
小説家 江戸川乱歩
画家 岩田専太郎
画家 月岡夕美
画家 内藤良治
「魔性の女」とは何か?
弥生美術館・竹久夢二美術館の紹介
<メモ>
(日清・日露・第一次世界大戦を終えて、列強侵略の脅威が消え、社会が安定すると、)人々は天下・国家より個々人の心の内面に関心を寄せるようになり、文学も人間の心の奥底に隠れている狂気・性欲・嫉妬などを描き出すようになった。登場する女性も、良妻賢母とはいえないさまざまなタイプが出現し、官能性で男性を支配する「魔性の女」タイプもあわれたのである。(5)
雑誌:少女画報・婦人画報
<紹介されている魔性の女>
・玉藻の前:美福門院藤原得子
・安珍・清姫伝説
・虞美人
・平塚らいてう
・お葉(佐々木かねよ、竹久夢二の愛人)
・松井須磨子
<お葉>
<blockquote>少女時代から彼女の美貌はきわだち、人目をひいた。夢二の愛人になる以前から美術学校で「嘘つきお兼」と呼ばれながら学生たちとのあいだで次々と浮名を流し、伊藤晴雨とも肉体関係を持っていた。</blockquote><blockquote>夢二の愛人になってからも、たびたび他の男性との交遊が発覚して、夢二を悩ませた。</blockquote><blockquote>12歳で上京する以前から、秋田で異性問題をおこしていたというのだから、男性をひきつける魅力は天性のものらしい。まるで虫が花の蜜に吸い寄せられるように、男たちはお葉に惹かれた。</blockquote><blockquote>このように奔放ではあるが、お葉は温かく家庭的で、夢二が最初の妻とのあいだにもうけた次男の不二彦をかいがいしく世話する一面も持つ母性に満ちた女性でもあった。</blockquote>
2013.07.15 読書開始
2013.08.11 読了 -
橘小夢の表紙に惹かれて読了。絵画だけでなく文学方面もしっかりと紹介してくれているのが嬉しい。
高畠華宵/岩田専太郎/月岡夕美 -
文学作品に出てくる魔性の女のイラストを紹介した本。雰囲気がある怪しげな美女ばかりで、見ていて大変愉しい。お気に入りの画家が一人と言わず、何人か増えそう。
谷崎潤一郎の作品の挿絵を手がけた、水島爾保布(みずしまにおう)という画家が気になる。ビアズレーのイメージ。モノクロで繊細、幻想的な絵。 -
うつくしい。