日本語は生きのびるか---米中日の文化史的三角関係 (河出ブックス)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309624112

作品紹介・あらすじ

ときに言語は亡びる。日本語の興亡は、日本の運命に直結する。文化史的に見て、かつての中国、今日の米国のような中心国に対し、日本は周辺国である。これまで日本人は、優れた外来文化は積極的に受容しつつ、自らの主体性は維持してきた。グローバル化が加速する現在、母語である日本語とともに、支配語である英語をいかに習得すべきか。そして世界といかに対峙すべきか。国際文化史を背景に考察する、画期的な日本語論。

感想・レビュー・書評

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  • 社会
    ことば

  • 東大教養学部の重鎮・フランス文学の大家。しかしながら著者は非常にざっくばらんな人物であると感じました。22世紀に住む日本人と日本語について5つの可能性(絶滅している。バイリンガルになっている。雑婚で周囲と溶け込んでいる。優秀な翻 訳機器により言語問題は氷解。依然として日本語人であるが、地球レベルでは全く脇役。)を問いかける冒頭から始まり、源氏物語の基調講演を行ったりする権威でありながら、通読したのが遅かったことを告白したり・・・フランス語に関しては16世紀にはイタリア語よりもランクが低かった(フランス人モンテーニュはイタリア語で話をした)が、18世紀には中心になり、ロシア貴族もフランス語を学んだ。そして20世紀にはEUでフランス語を中心にしようと目論んだところ、逆に英語による文化圏になりつつある、しかもEUとはフランス語では米国の意味!という皮肉を書いているところは面白いところです。なお、サブタイトルは日本が以前は中国語(例えば漢文、漢詩)に通じ、留学生を送り出していたが、英語に変わってきたという歴史について触れているからですが、昨今の中国語ブームはまた出戻り現象が起こるのかどうか?という問題提起も含んでいます。

  • 本書の結論、つまり、本書を一本の木に例えた時にその幹となる主旨は、日本語や日本文化の理解を深めたうえで、第一外国語と第二外国語、それ以上を習得し、それぞれの国を知り、三点観測できるような知識人が生まれる土壌があったほうがいいね、というものだったと思います。砕けたところもある感じの文章でしたし笑える部分もあるのですが、ややエリートな人の感じもしましたので、僕としては同調というか共感しずらいところもありました。が、読んでいていて面白いことは面白いのです。

    「22世紀の日本列島に住む人々は、はたして何語を話しているだろうか」
    という問いかけから始まります。

    時間と興味のある方はご一読を。

  • 「日本語の衰退は日本国家の衰退に直結する」。日本語を守るためにも、これからは米国にも中国にも足を下ろす“3本足人間”が必要だという。国家を衰退させないためでなく、自分の家が衰退しないよう言葉の能力は磨かねばなるまい。

  • [ 内容 ]
    ときに言語は亡びる。
    日本語の興亡は、日本の運命に直結する。
    文化史的に見て、かつての中国、今日の米国のような中心国に対し、日本は周辺国である。
    これまで日本人は、優れた外来文化は積極的に受容しつつ、自らの主体性は維持してきた。
    グローバル化が加速する現在、母語である日本語とともに、支配語である英語をいかに習得すべきか。
    そして世界といかに対峙すべきか。
    国際文化史を背景に考察する、画期的な日本語論。

    [ 目次 ]
    第1章 日本語の生存空間―米中日の三角関係を文化史的に鳥瞰ース
    第2章 留学生の文化史的意味―一国一辺倒を排す
    第3章 衝突か対話か ―近代日本の二面性
    第4章 混淆文化礼讃―異文化を受容しつつアイデンティティーをいかに保つか
    第5章 支配言語とナショナルな詩論の発生―周辺言語の自立とは何か
    第6章 グローバル化時代の英語教育―内外の教養を備えた多力者を養成せよ
    人生のおわりに―あとがきに代えて

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  • 2010.03.21 朝日新聞で紹介されました。

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著者プロフィール

1931年東京に生まれる。東大名誉教授。著書に『和魂洋才の系譜』『小泉八雲―西洋脱出の夢』『破られた友情―ハーンとチェンバレンの日本理解』『ラフカディオ・ハーン――植民地化・キリスト教化・文明開化』『竹山道雄と昭和の時代』他。

「2014年 『ラフカディオ・ハーンの英語クラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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