生物はなぜ誕生したのか: 生命の起源と進化の最新科学 (河出文庫 ウ 12-1)

  • 河出書房新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309467177

感想・レビュー・書評

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  • 新型コロナで図書館で本が借りられないこともあり、3週間くらいかけて年表を作りながら読みました。どうしても大絶滅に目が行きがちですが、筆者の博覧強記には頭がさがります。
    環境とそれに対応するための進化、特に低酸素への呼吸器の対応あたりは面白い。絶滅についても、恐竜絶滅のK-T境界絶滅の説明は目から鱗でした。洪水玄武岩の数十万年にわたる温暖化がボディブローのように続き、ノックアウトの一発が隕石落下というのは、半端ない説得力。
    最終章だけでも、多くの人に読んでもらいたい。

  •  これは最高にお面白い本だ。現在の科学の最先端の立場から生命の誕生と進化について論じている。素晴らしいのは、とてもわかりやすく書かれていて、まるで小説を読むように読み進めるということ。
     現代人にとって必読の書である。

  • 私にとっては難易度が少し高すぎました。

    生命の歴史を誕生から現在まで振り返り、未来への展望を語っている本です。ある程度、生物に精通している人ならば、非常に面白く読める作品だと思います。

    ただ、知識不足の私でも、興味を惹かれる部分は多数あり、読んでみる価値はあるのではないかと。特に、酸素濃度が生物に大きな影響を与えていると知り、面白いなぁと思いました。

  • ピンチは(他の生物にとって)チャンス!

  •  誕生からこんにちまでの生物の変遷について、なにを、どのように発見し、どのように(科学者たちは)理解しているのについて著した本。いろいろなところで指摘があるが、主題の生物誕生に関することは、著書全体からするとほんの一部で、副題『生命の起源と進化の最新科学』のほうがふさわしいし、原題 A New History of Life が一番しっくりくる。タイトル買いしたわけではないので出版社を詐欺呼ばわりするつもりはないが、(20章もある大著の中で)第3章、第4章しか邦題どおりのテーマに触れていないので、いい本なのだが☆を一つ減らさせてもらった。
     タイトル買いではないと言い切れるのは、恐竜をはじめとする巨大絶滅動物や人間に至るまでの「進化」までを、遺伝子の議論によって教条のように並べ立て「生命の歴史」と総括する本ばかりの中で、この本はそうなっていなかったからである。以前、『植物が出現し、気候を変えた』(評書いていない)を読み、細菌や植物こそが地球史の主役であると考えるようになった私にとって、動物ばかりに重点を置いていない点も読むに値すると感じたのだった。
     本書を読んで強く感じたことは、多層的だった。多層的な感情を解し著すには時間がかかりそうだが、読了直後に強く感じた「科学という営み」と「生命という営み」の2点に絞って記しておく。
     「科学という営み」について。地球環境や生物多様性の保護が求められ、近年では持続可能性という言葉が躍るようになった。持続可能性とは、目標ではなく、力関係をもつ課題であり、矛盾、葛藤を常にはらんでいる。科学は、矛盾や葛藤を断ち切り、決定を促し、誰もが利益を享受し、損を忌避するための可能性を期待されているが、決してそうではない。本書に著されている発見、推論、理論は多くの科学者たちが大変な労力を重ね、慎重に分析・検討し、議論し、描き上げた成果である。そこから期待に沿う結論はわずかである。当たり前のことがひっくり返り、かえってわからないことが増える、本書にはそんな紆余曲折も含めた記述がちりばめられている。科学は、本質的に解ける問題と答えの対を生成し、条件が増え分化が進む営みである。これらを網羅することはたやすいことではないが、都合のいい発見や理論のみ導くことは容易である。分かっていることだけつまみ食いし、興味関心に沿って並べ立てることなく、なぜ、どのように、を大切に思考を掘り下げていかなければならないと再認識したところだ。その点、本書は参考文献が割としっかりしており、(つまみ食いにならないように注意しながら)追いかけるのに適している。
     そして、「生命という営み」について。地球の歴史、誕生したであろう時点からこんにちまでの生命の歴史は非常に長い。「数万年」という悠久の時ですら、45億年からすればほんの刹那である。現存する生命やその痕跡は、常に変化し続ける環境に適応したものだけが(化石であれバイオマーカーであれ)残っているのであって、ほとんどが跡形もない。生命・種とは絶えないものと言い表されるが、歴史を繙くと、瞬く光として過ぎ去るほど儚い。生命は、分化し淘汰し、それを進化と呼ぶ変遷をたどっていると信じられ繰り返し語られるが、本書を読んで本当にそう思えるだろうか。私は、実のところ一つ一つの種は、この星の環境への適応を「試行」しているのでは、と強く直観した。
     ひとつひとつの種が、地球で生命を紡ぐため、生きていくための試行そのものなのであれば、世代を超えずとも、たった一代、一個体で限りない試行錯誤を繰り返すことのできる人間とはなんと恵まれた存在なのだろう。失敗すら成功の縁とし、よりよく生き続けることは、人間の使命といえるかもしれない。

  • 酸素濃度。それが鍵だ。

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著者プロフィール

ワシントン大学生物学教授にして、地球科学および宇宙科学の教授。数多くのドキュメンタリー番組にも出演。著書に『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』『生命と非生命のあいだ』『地球生命は自滅するのか?』など。

「2020年 『生物はなぜ誕生したのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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