すごい物理学講義 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309467054

感想・レビュー・書評

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  • 古代ギリシャ人の世界観から始まって、ニュートン、アインシュタイン、量子力学という物理学の発展の流れを紹介し、その上で物理学の現状(テーマや対立軸など)を紹介する本。
    物理学の知識はいらないので誰でも読めるが、抽象性の高いテーマではあるので、「〜時間でわかる!」みたいなお題目の雑学本と同じつもりで読むと挫折しそう。
    その分ある程度やる気があれば著者と訳者の巧みな言語感覚にも助けられて得るものは確実にある。

    訳者あと書きによると、本書は量子物理学の中でも日本ではあまり一般向けの本で触れられていない立場から語られているらしいので、ある程度物理学に親しみのある人も楽しめるのではなかろうか(私は物理をサボっていたダメなタイプの文系なので保証はできないが)。

    本私は物理については門外漢なので他の書物と比較して、本書が内容的に優れているかはわからないが、優れた科学エッセイに与えられる賞もいくつか与えられているらしく、内容についてもクオリティは担保されているのだと思う。

    私が「本書は他の人も読むとよい」と感じた点の一つは、やはり物理学の発展についてその考え方を更新することができた点である。
    高校生のころから、「アインシュタインが出てきてその理屈が正しいとされたなら何故ニュートン物理スキルを基礎として学ぶのか?」と疑問だったのだが、この疑問が氷解した。
    アインシュタイン以後もニュートン物理学は依然として正しいから学んでいるのだった(私はサボってしまったが…)。
    すなわち、相対性理論は確かにニュートン物理学の世界観を更新したが、それはニュートン物理学を否定するものではなく、ニュートン物理学がある状況下や仮定の下でのみ正しいことを示したということらしい。
    ニュートン物理学を否定するのではなく、むしろその世界観を土台にして、より精緻に、一般化するのが相対性理論なのである。
    したがって、ニュートン物理学を学ぶことが相対性理論の理解につながるし、相対性理論と量子力学の関係もまた同じであるということだということが自然と納得できた。

    学問とは、この過去の土台の上に積み重ねていくものなのだという視座こそ本書の最大の効用だと思う。他の本についても同じことを言っているような気がするが、本書は著者が特にそのことを意識的に明示しているのがよい。
    作者のいう「過去の巨人の肩に乗って世界を見渡し、自らの肩に未来の人が乗れるように努めること」が科学的な態度だという価値観に素直に共感した。
    過去の研究で認められているものは、科学的に裏付けがあり信頼できるものである。したがって、「地に足をつける」ならぬ「巨人の方に足をつける」ことが科学的に信頼の置ける方法論になる。
    常識を捨てることはその前提で初めて意味を為すのだと思う。
    古いことにも新しいことにも意味はなく、発展性にこそ信頼の基礎があるのではなかろうか。
    研究に対する我々の目は誰にでも驚きが伝わりやすいセンセーショナルなトピックや結果に向きがちである。
    そのような態度が研究不正を行うインセンティブを生んでいるのであって、我々も科学に対する相応の態度を身に付けなければならない。

    正直に言えば、本書の内容は理解できないところもあった(もちろん基本書の類ではない以上、理解した部分も使えるようには到底なっていないので「つもり」にすぎないのだが)。
    それでも、本書に示された過去の研究への敬意と現在の研究への自負、そして未来の知見への希望という著者をはじめとする物理学者たちの誠実さは伝わった。
    物理学の知識をつけるにはやはり数学も含めた勉強が必要だし、専門化していく学問についていくことは一般人にはできないから、本書を読んでも知識を精査したり評価したりはできない。それでも、本書を読むことで知識を披露する人たちの態度や方法論から信頼性を判断するための科学リテラシーの一端は掴めるのは間違いないと思う。
    小説を読むのとは違う人間をアップデートする読書の楽しみが本書で味わうことができた。

  • 本書は、イタリアの物理学者カルロ・ロヴェッリの著作で、最近少し話題になった『時間は存在しない』の前作に当たる。ロヴェッリは、量子力学と相対性理論を統一する量子重力理論の(自称?)有力候補となるループ量子重力理論を専門にする研究者で、本書は物理学の歴史のわかりやすく魅力的な解説書であるとともに最終的にはループ量子重力理論を知らしめることを目的とした本となっている。
    『時間は存在しない』の方から先に読んだので、時間の順序が違うのかもしれない(原題は”L'ordine del tempo” イタリア語で「時間の順序」)。順序通りこちらを先に読んだ方が『時間は存在しない』の理解はスムーズだっただろう。
    本書の原題”La realta non e come ci appare”はイタリア語で『現実は目に映る姿とは異なる』である。これが、なぜ『すごい物理学講義』というようなタイトルになったのだろうか。少し前に少しだけ売れた多田将さんの『すごい宇宙講義』や『すごい実験』が目に入ってしまい、そいつにあやかろうとした可能性が高い気が微妙にする。そもそも日本人が書いた本と、海外の翻訳物では位置づけが違うだろうし、出版社も違って装丁の基調も違うのだから、もう少し考え直してもよかったのかなと思うところではある。ただどうであれ、原題に沿って付けてしまうと何だかわからなくなりそうなので、きっと困ったんだろうなとも推察する。

    本書はイタリアではなぜかいくつかの文学賞を受賞したというだけあり、内容は物理学の歴史と最新理論の解説なのだが、表現がどこか優美である。量子力学の起源を古代イオニアの哲学者デモクリトスまで遡って語る辺りは、まさにイタリアっぽく欧州の本流としての息吹を感じさせる。世界は無限に分割することはできず、最小の有限の粒が存在するというデモクリトスの説は、原子が見つかったことで結果として正しいことが示された。この事物の分割は無限にはできないという原理は、時空間そのものも有限の粒としてしか存在しえないという本書の核であるループ量子重力論につながるのである。

    著者は、ニュートンのある書簡にある次のような一節を取り上げる。
    「重力が、ある法則に従って作用する動力因によって引き起こされていることは確かです。しかしわたしたちは、その動力因が物質なのか非物質なのかという点については、わたしの読者の考察に委ねることにしました」
    これが科学者としての称賛されるべき態度である、と言う。なぜなら「自らの無知にたいする確固たる自覚こそ、科学的志向の核心である」からである。デモクリトスと合わせてソクラテスが知の源流として高く評価されるのはここにつながる。

    素晴らしい成果とともに、その成果の限界について自覚的あり、そのことにおいて「ためらい」をすら持つべきであること。その姿勢はファラデーに受け継がれ、彼が「ためらい」とともに示した場の理論は、マックスウェルによる美しい方程式によって表現されることになる。マクスウェルの方程式により、光は電磁波の一種であることが示され、その速度が理論上一定であるということからアインシュタインの特殊相対性理論は導かれた。そして、ついに重力は一般相対性理論において重力場によって伝えられることが示されたのである。

    一方、プランク、ボーア、ハイゼンベルグ、ディラックらによって創始された量子力学が微細な事物を扱うための理論として成功を収める。著者は、彼らによって構築された量子力学を基礎づける原理として①粒性、②不確定性、③相関性、の三つを挙げる。この原理は次作にあたる『時間は存在しない』でも繰り返し取り上げられているが、二十世紀の科学が辿り着いたとりわけ重要な概念である。「場」と「量子」がすべての基礎となっていることはもはや確実だ。成功を収めている素粒子の標準模型では、光子が電磁場の量子であり、その他の粒子はすべて場の量子とされる。

    ここまでで量子重力と呼ばれる問題に当たる準備が整った。先に挙げた量子力学の三つの原理がすべてのことに当てはまるのであれば、量子的な空間とは何なのか、量子的な時間とは何なのか、を解明することが必要となるのである。
    その研究の先に出てくるのが、著者らが推進する「ループ量子重力理論」である。量子的な空間を捉えるためのホイーラー=ド・ウィット方程式の解を求める際に、閉じられた線(ループ)を計算の対象とするとうまく行くことから、この方向で形成した理論のことを著者らはこう呼んでいる。この理論によれば、面積も体積も取り得る値は離散的である。その値がプランク長という極小レベルであるがゆえ、われわれの感覚には空間はなめらかに連続しているように感じられるのである。

    「ループ理論」は、著者によると多くの研究者が有望視しているものだそうだ。対抗馬としては有名なものでは「超ひも理論」などがあるが、彼らが根拠と必然性もなく多次元を必要とするのに対して、ループ量子重力理論は量子力学の基礎的考えから導かれる①粒性、②不確定性、③相関性を相対性理論に組み込んだ結果必然的に出てくる仮説であるからこそ有望であると主張する。つまりまず、すべてが粒なのであれば、空間も①粒性をもっていてもおかしくはない。また、空間の量子はリンクによって、あるリンクとリンクの関係性においてのみ所在を特定されるという特徴は ③相関性の原則に沿ったものとなっている。

    著者はここから先に進み、根本的な次元では、時間は存在しない、と主張する。この部分をさらに膨らませたのが、『時間は存在しない』となる。ループ量子重力理論によって記述される世界では、「世界を「収容する」空間も、事象の発生を「順序づける」時間も存在しない」のである。

    どうやら次の表現がループ量子重力理論による空間の概念を説明するものであるようだ。
    「空間とはスピンの網である。そこでは「節(結び目)」が基礎的な粒子を、「リンク(結び目と結び目をつなぐ線)」が近隣に存在する粒子たちの関係性を表している。スピンの網が、ある状態から別の状態へと変化する過程によって、時空間が形成される。スピンの泡の総和を計算することで、スピンの網の変化の過程が導き出せる。一個のスピンの泡は、スピンの網(つまり粒状の時空間)がたどりうる想像上の行程を表現している。スピンの網の結び目は、ほどけたり合わさったりして、刻々と姿を変える」

    すべては「量子化された場」である、として著者は「共変的量子場」こそが実体であると主張する。
    「場の背景にあるのは場であって、「場の支持体」としての時空間を想定する必要はない。場は時空間に浸かっているのではなく、場によって時空間が生み出される。こうした場のことを、「共変的量子場」と呼ぶ。世界は何からできているのか?近年、この問いに対する答えは劇的に単純になった。この世界を構成するすべてのもの、つまり、粒子も、エネルギーも、空間も時間も、たった一種類の実体が表出した結果にすぎない。その実態が、共変的量子場である」

    ここでいう劇的に単純になるまでの経緯を知りたければ、図7-8を見ればよいだろう。この図を説明するためにこの本はあると言っても過言ではない。

    著者は、超ひも理論への対抗心をもっぱら隠しもせず、自らが手掛けるループ量子理論を真実に最も近づいている理論であると「ためらい」と共に主張する。もちろん、それが正しいかどうかはまだわからないが、「科学が信用に値するのは、科学が「確実な答え」を教えてくれるからではなく、「現時点における最良の答え」を教えてくれるからである」というとき、著者はループ量子重力理論こそが「現時点における最良の答え」であると考えていることは疑うべくはない。

    何となくこの理論は正しいのかもしれないと思う。しかし、問題はここから何が言えるのか、だ。量子力学はそれまでの理論では説明できない多くのことを予測したことによって、成功を手にしてきた。素粒子の標準模型はヒッグス粒子など未知の粒子の存在を予言し、見事に的中させてきた。本書の中ではブラックホールの熱問題や宇宙創成の問題などをループ量子重力理論が役に立つ場面として紹介されている。そして、情報こそがその基礎にあると言いたがっている。事物が無限ではなく有限であるということはデジタルな情報を扱う情報理論と相性がよい。エントロピーの概念から始まる情報理論と物理学の相似形こそが世界の原理になるのかもしれない。思えば情報には、①粒性、②不確実性、③相関性がその骨組みには組み込まれていると言っていいのかもしれない。「ためらい」を見せながらも著者が語るところはそういうことなのだ。

    ループ量子重力理論というものはこれまで知らなかったし、実は著者は研究者としてはバッタもんですよ、と言われても確認する術はないのだが、少なくとも物理学の総まとめとしてとてもうまく仕上がっている。『時間は存在しない』よりもまずはこちらの方を自信をもってお勧めできるのではないだろうか。


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    『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4140817909
    『すごい宇宙講義』(多田将)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4781609910
    『すごい実験 ― 高校生にもわかる素粒子物理の最前線』(多田将)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4781606245

  • 古代から21世紀にいたる、宇宙の真理に迫る営みを、見通し良く、格調高く、崇高さすら読者に覚えさせるような文学的イメージも駆使して書かれている。ただ、量子力学の一応の成立よりあとの話は、やっぱりとっつきにくく、難しい。選ばれた物理学者(と、それを志す者)だけしか、その雰囲気を味わうことすら許されない高みにあるような気がする。

  • 物理学を題材にしながら文学的な風情も十分に堪能できる、かつウィットにとんだ筆致で内容は力不足で理解ができなくても読ませる。特に著者の専門分野であるループ量子重力理論を後半は解説しており、深遠なる科学の世界に引き込まれていく。

    空間も時間も存在せず、量子のループによる相関的なものにでしかない。プランク長という最小の単位が存在しており、空間や時間は離散的なものである。こう書いていても、何だか雲をつかむような内容で現実の感覚からはかけ離れておりどうもしっくりこない。それだけ難解で未だ発展途上の学問であるのでしょう、文系の私はエッセンスのみ感じることができて現状満足気味です。

    科学とは真理を明らかにしているものではなく、常に不確定で巨人の肩に乗りながら真理を追い求める、自分たちの無知を徹底的に突きつけられながらも諦めきれない人類の性を表している、といったこと。ロマンを感じずにはいられないです。

    ここで、学問の険しさとそれでも学ぶ意義を音楽に関連ずけた名文をリマインド。
    リーマンの数学を理解し、アインシュタインの方程式を完璧に読み解く技術を会得するには、長く険しい道のりをのり越えていかなければならない。それは、熱意と努力を要する旅路である。とはいえ、ベートーヴェンの後期四重奏からどれが好きな曲を選び出し、そのたぐいまれな美しさを十全に把握しようと願うなら、それ以上の労苦を覚悟する必要があるだろう。いずれの場合も、一旦努力をなされたあとは、十分な見返りが待っている。科学と芸術はわたしたちに、世界にまつわるなにか新しいことを教え、世界を見るための新しい目を与えてくれる。わたしたちはそうやって、世界の厚みを、深さを、美しさを理解する。偉大な物理とは、偉大な音楽のようなものである。それは心に直接に語りかけ、事物の本質に備わる美しさや、深さや、単純さに目を向けるよう、わたしたちを誘ってくる。(P140)

    訳者あとがきにもあるが、日本では超ひも理論が「量子重力理論」として頻繁に取り上げられており、ちょくちょく目にする。しかし、内容ちんぷんかんぷんなのでどこか一般書で概要掴んどきたいな、そしてまた、カルロ・ロヴェリの書籍に戻ってこよう、この人の文章は胸を高鳴らせる、好きだ。

  • 超弦理論とは異なる一般相対性理論と量子力学の統合を目指すループ量子重力理論。
    違いを説明出来るほど理解できず。

  • この前読んだブルーバックスの本よりは分かり易かったな。こう言う本て日本人が書くより外国人が書いた方が全体の掴み方とか構成とか分かりやすく面白い気がするのだが気のせいか。日本はひも理論が優勢だが、この人はループ量子重力理論。正直違いは良く分かってないが、世界を理解しようと言う物理学の美学は伝わってきた。しかしこう言う事を四六時中考えている人は凄い。最後は哲学だなと思った。空想が追いつかない。数学って凄い。

  • 教養文庫フェア冊子から。最近、まとめて同冊子から気になった作品を読んでみたけど、どうも自分のニーズとズレていることが判明。文庫という、手に取りやすい媒体に惑わされたけど、ほとんどどれもが初手には不向き。入門書や新書の次の一手、って感じ。
    本書も、ある程度物理の基礎がないと、ただ読むだけに終わっちゃう。自分がそうだったように。高校時代、面と向かって学習していた頃から、物理について、腑に落ちた経験がほぼ皆無なんだけど、その感覚は間違っていなかったんだ、ってことが分かったくらい。改めて、遥かかけ離れた存在だと、再認識されてしまった。かといって今後も避けて通りたい道では決してなく、さて、どこから着手しよう。

  • ニュートン力学から相対性理論、量子力学へ。そして、それらを統合するループ量子重力理論へ。そこには物理のことを何も知らない門外漢でも驚嘆するような世界を覗くことができる。一般相対性理論では、空間は単なる空っぽのスペースではなく実態として存在し、歪んだりよじれたりする。量子力学では、微視的な世界を説明してくれるそうだが、そこで起こっていることは確率論的かつ離散的であり、起こった結果は言わば偶然の産物に過ぎないらしい。
    そして20世紀を代表するこの2つの物理学の理論の関係性について考えると、明白な矛盾が認められるそうだ。この矛盾を解決する理論の一つとして、ループ量子重力理論の紹介がなされる。
    そこには、我々が日常感得している世界とは似てもにつかぬ驚異の世界がある。物理学の素養がなくても十分に楽しめる。世界の見方を変えてくれる一冊。

  • 物理学を築き上げてきた人々の物語。ニュートン力学からループ量子重力理論まで。
    今なお人類が到達していない、現在進行形の知の先端を覗く。直観と異なる世界を理解する難しさ。
    無知を受け入れること。

    ◯特殊相対性理論
    「今」は「ここ」にしか存在していない。過去と未来のあいだの中間的な領域である「拡張された現在」が、あらゆる観察者にとって存在。地球上では知覚できない時間だが宇宙では有意な幅を持つ。
    →時間と空間が時空間というひとつの概念に統合
    →電場と磁場が電磁場というひとつの概念に統合
    →質量とエネルギーはひとつの保存則E=mc^2

    ◯量子力学が発見した世界の三つの側面
    1粒性:ある物理学的な系のなかに存在する情報の総量は有限であり、それはプランク定数hによって限定される
    2不確定性:未来は過去から一意的に導き出されるのではない。きわめて厳密な規則に従っているように見える事柄も、現実には統計的な結果にすぎない
    3相関性:自然界のあらゆる事象は相互作用である。ある系における全事象は、別の系との関係のもとに発生する。

    ◯事物は、ある事物と別の事物の関係においてのみ変化する。根本的な次元では、時間は存在しない。「流れゆく時間」とは、わたしたちにとってなじみ深い巨視的な視点に立った場合のみ意味をもつ、おおまかな概念である。

    ⭐︎量子重力理論では、時空間と量子場は、共変的量子場として統一的に扱える。
    ・世界を構成するもの
    ニュートン:空間、時間、粒子
    ファラデー、マクスウェル:空間、時間、場、粒子
    アインシュタイン(1905年):時空間、場、粒子
    アインシュタイン(1915年):共変的な場、粒子
    量子力学:時空間、量子場
    量子重力理論:共変的量子場

    ◯科学研究の目的は、未来を予測することではなく、世界の仕組みを理解することである

    ・兆候と証拠を分けて考える

    ・無限の概念の退場
    ・情報、熱

    ◯科学が信用に値するのは、科学が「確実な答え」を教えてくれるからではなく、「現時点における最良の答え」を教えてくれるからである。

  • 読んでいて内容が完全に理解はできないものの、物理学の世界から大御所の実績を交えながらSF映画の世界に突入していく感覚が味わえる読み物でした。

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著者プロフィール

1956年、イタリア生まれ。ボローニャ大学からパドヴァ大学大学院へ進む。ローマ大学、イェール大学などを経てエクス=マルセイユ大学で教える。専門はループ量子重力理論。 『すごい物理学講義』など。

「2022年 『カルロ・ロヴェッリの 科学とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

カルロ・ロヴェッリの作品

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