- Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309463513
作品紹介・あらすじ
男であれ女であれ、生まれてきたその場所をもっとよく知るために-。イギリスの女性研究者が、幅広い文献・資料をもとに描き出した革命的な1冊。図版多数収録。
感想・レビュー・書評
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女性器についての基礎知識とその成り立ちを文化、生物、歴史、神話、民俗など幅広い領域を通し理解できる。
アリストテレスやガレノスの科学的知見が与えた「偏見」が「普通」になる世界の単純さ。
他生物との比較やオーガズムの仕組み等も面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
科学ジャーナリストがヴァギナについて総合的にまとめた本。文化、歴史、動物学など雑学的な知識が満載。だからどう、、という「結論」に持っていかないところがよいと思った。
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とんでもない・ものすごい本を読んでしまったものだと、今さらながら後悔しています。こんな本を読まなければ、私はもっと穏やかでいられたのに。
目からウロコ、というより、無知な私は、唖然・呆然・慄然の連続で、読後は精も根も尽き果てて、ヘトヘトの抜け殻みたいになってしまいました。
この本が悪いんです、自分の言葉で語る気力も何もかも喪失させたこの本が・・・・・・・
だから、しかたなく「訳者あとがき」に代わってもらいます。
★ 訳者あとがき 藤田真利子 ★
本書「ヴァギナ 女性器の文化史」の原題はThe Story of V-Openig Pandoras Boxk 「Vの物語 パンドラの箱を開く」である。パンドラの箱とはヴァギナのこと、人間の災厄も未来もそこから出てくるという意味かもしれない。科学の博士号を持つジャーナリストである著者、キャサリン・ブラックリッジは多方面からアプローチすることによって、ヴァギナの真の姿を描き出そうとしている。
神話や伝承、あるいは民俗学では、恐れ敬われ、魔除ともなる力強い姿が紹介され、あるいは、歯のある恐ろしい姿が示される。言語学的方面からはさまざまな文化におけるヴァギナの名称とその由来が語られる。ヴァギナはまた、歴史上さまざまな誤解を受け、科学に無視されてきた。西洋文明による誤解の例は枚挙に暇がなく、なかには支離滅裂の域に達しているものがある。たとえば、マスターベーションの害を防ぐためにクリトリス切除が行われたかと思えば、ヒステリー治療のためにヴァギナ・マッサージが医師の手によって施された。バイブレーターというのは医療用器具だったというのだから驚く。それが家庭でも手軽に治療できるようにというので小型のものが開発され、二〇世紀はじめのアメリカでは、シアーズ・ローバック社のカタログにも載る家電製品だったのだという。たしかにオーガズムは体によさそうではある。
実際この秘められた部分について、私たちはどれだけ正確なことを知っているだろうか?単純に自分のものを「見る」ということでさえ非常に難しいのだ(と言っても人のものならなおさら難しいわけだが)。そしてどうするかといえば、仮にも知的好奇心の旺盛な女の子なら、鏡を使って調べる。ちょうど、本書に紹介されているアンネ・フランクのように。だが、その奥となったらもう手に負えず、古代の神話ならぬ現代の科学的装いを持つ神話の陰に隠されてしまう。ところが、著者によると最近ようやく女性生殖器の役割に科学の目が向けられるようになり、いろいろと新しいことがわかってきたらしい。
ひとつ著者が強調しているのは、ヴァギナから子宮にいたる生殖器は、精子を運び受胎した卵子を育てるだけの単なる入れ物ではなく、精子の選別や受胎にもっと積極的な役割を果たしているということである。しかも、多数の種ではメスも複数の相手と交尾することがわかり、もともと怪しげだった「・・・・だからオスは多数の相手と交尾するのが自然界の普通の姿だ」というような一見科学的な迷信は、スタートの事実から間違っていたことがわかったわけである。ほら見ろと言わんばかりの著者の力の入り具合がほほえましい。翻訳をしていてよく感じることなのだが、ヴァギナを指す言葉に関しては、日本語のタブー度は非常に高い。お疑いなら、今すぐ「お」で始まり「こ」で終わる三文字ないしは四文字の言葉を口に出してみればいい。予期した以上の抵抗があるはずだ。ウィメンズ・リブ全盛の頃、女性生殖器の新しい呼称を選ぼうという話があったことを覚えていらっしゃるだろうか。
お風呂に入って男の子に「おちんちん、きれいに洗いなさいね!」とは言えるが、女の子に「おまんこ、きれいに洗いなさいね!」と言える母親は(父親もだが)いないからだ。女性のセクシュアリティの権利回復を狙うのなら正しい戦略だったのかもしれない。名づけられないものは「存在しない」ことになるからだ。だが、「われめちゃん」はじめ、さまざまな候補が上がったが、定着したものはひとつもなかった。あまりに恥ずかしくて口に出せないのか、神聖すぎて口に出すのをはばかるのか。いずれにせよ、気軽に名前を呼ぶのを妨げる何かがあるようだ。このように、事実にまつわりついてきた何か、それを文化と呼ぶのかもしれないが、それはまた偏見であったり迷信であったりもする。著者は、そうした飾りや履いを取り去ったヴァギナのありのままの姿を見てほしいと思ってこの本を書いた。ここは間近に寄ってじっくりと見つめてみてはどうだろう。だいじょうぶ、噛みついたりはしないから。 -
タイトルを見て、敬遠する人は多いだろう。きっとそうだろう。
でも、この本は間違いなく名著だ。目から鱗がぼろぼろだ。「下心」が入り込むすきもないほど、本の内容の面白さに引きもまれる。 -
女性目線でヴァギナの文化史を解説。
延々とヴァギナがどれだけ軽視されてきたか、誤解されてきたかを語るので、途中300/500Pで断念。 -
フェミニズムやジェンダー論が盛んに叫ばれる昨今において、中途半端な主張を蹴散らすパワーを持った本。性を生物学的な面と社会的な面の両面で捉え直すことで、「女性らしさ」とはどういうものかを男性も女性も冷静に受け止めることができるだろう。科学的と言われる説も、しばしば時代の価値観に歪められうるものだという気づきも得られる。素晴らしい一冊。
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訳:藤田真理子、原書名:THE STORY OF V-Opening Pandora's Box(Blackledge,Catherine)
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2011-2-6