- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309418674
感想・レビュー・書評
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歌人・塚本邦雄の書いたミステリ。
気になるなぁ…と思いながら書店で手に取ったら、帯を書かれていたのが岸本佐知子さんで「あ、買おう。」とそのままレジへ。
難しい漢字や馴染みの薄い植物や色の名前などがたくさん出てくるので、読んでは調べ、調べては読み…と行ったり来たりしながらゆっくりと読み進めました。
煌びやかな表層の下に蠢く、罪や愛憎や死の湿った気配。
さまざまな思惑を滲ませた、機知に富んだ会話。
読みながら、くらり、くらりと眩暈がするような感覚を味わいました。
しかし、私の人生の経験値が足りなさ過ぎて、本書を十分に味わえたとは到底言えません。
…が、逆に言えば、これからもまだまだ本書の凄さに気付けるということ。
また読もうと、決意。 -
歌人の方が書かれた小説
題名で買ってしまった
1974年刊行
難しい漢字、使わない言葉が出てくるので調べながら読む事になる。その為、読むテンポは悪くなった。
建築士事務所で働く長男、宝石デザイナーの長女、精神病理学者の父と良妻賢母の母、そして居候の叔父で暮らす飾磨家は一見して幸せで裕福な家庭に見える!
そんな飾磨家、長女の沙果子が思いを寄せる最上立春が中国で出張中のはずが不穏な動きあり!?
ヘロイン中毒で死亡する若者
ケシの花を育てる結社
名家のしがらみ
色んなものが纏わりつく、粘り気のある物語・・・ -
ちょっと読んでは、言葉の意味を、漢字の読み方を、画像を検索するので、ちっとも進まないけど楽しい
おまけに突然ストーリーに爆弾ぶち込んでくるので、目が点になり、意識が遠くにさまようことになる。
読書って楽しいを再確認した。 -
難しかった。いつかまた読み返すのが目標です。
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寸暇も惜しんでとかページをめくる手が止まらないとか、そういうレベルで面白かったです。
無駄な肉を削ぎ落としていながらもグルーヴ感のある文章、絶妙なテンポのストーリー展開。日本語で書かれた物語を読む快楽がここにあると言って過言でないです。
解説を読むと久生十蘭や夢野久作を高く評価していたとのことですが、なるほどと納得ですし、良い意味で頭のぶっ飛んだ設定とかネーミングとか、もう大好きです。
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噎せ返るほど濃密でありながら透徹した文章だった。巻末解説の、敗北した男たちと逞しい女たちが云々という段が本編にそぐわない古臭く陳腐なクリシェでどうにも白けた。
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まず通読。どれほどの知識、教養があれば読みこなせるのだろう。
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中井英夫にハマってた頃、「短歌研究」や「日本短歌」の編集長だった中井に並んでよくその名を見かけた。現代短歌の巨星、塚本邦雄。寺山修司らとともに前衛短歌運動を行い、短歌を現代に蘇らせた歌人である。この人の短歌は全然違う。
その塚本邦雄が遺したミステリ「十二神将変」。三十一文字の短い言葉に、沢山の意味を閉じ込める魔術師ゆえにこの文章の言語感覚に陶酔したい。
まさに中井英夫の「虚無への供物」にも似た絢爛豪華な文体、悪く言えばまだるっこしい傑作である。「虚無への供物」を彩る花が薔薇なら、「十二神将変」は罌粟だ。中井英夫がダメな方はこれもだめでしょう。
魔法陣を象った九星花苑で急死した最上立春。死因はヘロイン。その傍らに十二神将の一体が置かれ。サンスクリット学者、精神病理学者、茶道家、菓子司、浮世離れな面々の人間関係、力関係。男世界、女世界、絡み合う男女関係。
立春と女性たちとの忍ぶ恋、時に同性愛の薫りもさせながら、いきなりラストで犯人が明かされる。
ミステリと言っても探偵小説ではない。犯人を当てようとするのは無駄だ。探偵や警察が出てくるわけではない。立春は開始早々で死ぬが、殺人だと騒がれもせず、淡々と話は進む。ミステリだと言われなければ何も気づかないで最後にへえ~と思うだけだろう。
ラストの短歌が素晴らしい。紹介したいけどネタバレになるので書けません。それがいろいろな意味を持つ。さすが巨星の短歌なのです!
知らなかったです!歌人×ミステリという意外過ぎる組み合わせ。
帯が岸本佐知子さんって‥買っちゃいますね!
難解な...
知らなかったです!歌人×ミステリという意外過ぎる組み合わせ。
帯が岸本佐知子さんって‥買っちゃいますね!
難解なんでしょうか?謎解きというより奇妙な物語?
読者も一緒に推理して犯人当てに参加できる、というようなミステリではないで...
読者も一緒に推理して犯人当てに参加できる、というようなミステリではないです。私は今回はじめて読んだのですが、雰囲気に飲まれて酔いながら読んだなぁ…という感じでした。岸本さんが帯に書かれていた「これはもう、文字でできた麻薬」という言葉がとても似合う本だと思います。
なるほど‥雰囲気に飲まれ酔うような感覚なんですね。岸本佐知子さんの帯上手いですね!
読んでみたい...
なるほど‥雰囲気に飲まれ酔うような感覚なんですね。岸本佐知子さんの帯上手いですね!
読んでみたいような、読むのが怖いような気持ちになります。