死にたくなったら電話して (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.63
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本棚登録 : 1885
感想 : 147
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309418421

感想・レビュー・書評

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  • タイトルを含めて悪意の満ち溢れた小説。
    悪意しかないと言っても過言ではない気がする。
    極めて危険。心が弱っているとき読むと、きっと副作用にやられる。だから、必ず健康な時に読んでください。

    ナンバーワンキャバ嬢・初美との出会いをきっかけに破滅に落ちていく浪人生・徳山の姿を描く。

    救いはなく、ただただ無残。

  • 元気がない時に読まない方がいいよ、って言われてた作品。笑
    なかなか強烈なタイトルです。
    救いになるような話なのか、悪い方にいっちゃう話なのか、どっちだろうと思ってたけど、そういう感じか〜。

    読んで思ったのは人の人生って出会う人で変わるのかもな〜って事。
    これは一種の洗脳かな。
    私は初美に全く魅力も感じなかったし共感もしなかったので、元気ない時でもきっと大丈夫だったかな。
    ただラストまでどよーんとやるせない感じが漂うので、かなりHPは奪われます。

    舞台が地元大阪だったので、この店、あそこの事よな?とか、そっちでも楽しめました〜

  • 李龍徳『死にたくなったら電話して』河出文庫。

    日系3世の著者のデビュー作。

    独特の世界観を持った魔性の女に感化され、何処までも堕ちていく男の姿を描いた読み応えのある小説。

    現在の新型コロナウイルス感染症による閉塞的な何の楽しみを享受出来ない嫌な時代に、このような小説を読むことには非常な怖さを覚えた。ふとしたことで、死ぬことへの願望が強くなったらどうしようと不安を覚えるのだ。そして、現在のことだけではなく、過去のことなど色々と考えさせられる、そんな不思議な小説だった。

    大学受験で3浪中の徳山久志は、キャバクラで知り合った変わった性格の19歳のナンバーワンキャバ嬢・山仲初美と付き合うことになる。

    付き合い始めてから初美の部屋に入った徳山は、人間の悪意をすべて陳列したいと主張する初美の人間の悪意に満ちた蔵書の山と膨大な知識に驚愕する。次第に初美のペシミズムに感化されていく徳山は外部との関係を全て断ち切り、初美と同棲しながら常に死を意識しながら辛うじて生きるが……

    重苦しい雰囲気でストーリーは展開するが、一番驚いたのは終盤に徳山が初美から告げられた絶望的な拒絶の言葉とその理由……

    定価935円
    ★★★★★

  •  「人間の悪意」が煮詰められ昇華されていた。
     文庫の帯にも書かれていたけれど、

    −強烈な読後感の傑作。微かな希望も、ほのかな光もないけれど   窪美澄

    −1度その世界に入り込んだら抜け出せない
                      山田詠美

     人間の愚かさをまざまざと見せつけられる、衝撃的な作品だった。

     初美の、作成途中な「人間の悪意をすべて陳列された本棚」をちょっと見てみたい。(でもやっぱり怖い^^;)

  • キャバ嬢の初美と出会い、破滅へと進んでいく徳山。
    内容とすれば、これだけの話し。
    ただ、読み手の私も気分がどんどん下がっていく。

    初美は狙ってなのか、無自覚なのか分からないけど、
    徳山の思考をじわじわと乗っ取っていっている感じ。
    自分軸のない者にとって、圧倒的な個性の影響は受けやすい。影響を及ぼし支配する様はある種の宗教のようにも思えた。
    そこに怖さを感じる一方で

    それ以外の人物たちの、悪意であり偽善者とも取れる表層的な人間関係の怖さも感じた。

    自分のメンタルがしっかりしてないと、どこかへ持って行かれそうな、そんな作品でした。

  • まさに衝撃作!!この一言に尽きます。
    なんとも言えない読後感でした。
    とにかくすごいです。ありきたりな感想で申し訳ないですが、とにかく読んでみてください。1日で読めると思います。第51回文藝賞受賞作。

  • 泣いた。
    登場人物全員気持ち悪い。
    特に最後の形岡からの超長文メールのあまりのキモさに涙が止まらなかった。
    それに対する初美の返信もまじで気持ち悪い。
    最高に気持ち悪くて面白かった。
    こういうのが読みたかったし、死にたくて死ねなくて生きてるけど生き生きはしてなくてでも屍ではない。人なのか微妙な、でも呼吸はしてるから生物ではあるはずみたいなラインをうろうろするの現実であり空想でありって感じ。
    こういう面白い恋愛ならしてみたい。解説読む限り恋情じゃないらしいけど。一応口では愛を確かめあってたし恋愛の括りだろとは思った。でもこの型はめに殺されたような2人な訳だから…堂々巡り。
    醜くてもこういう小説読むのを楽しみに私はディストピアを生きるわ〜
    理屈じゃない楽しさを自分で捜そう。

  • 初美による初美のための厭世的思考に基づくスピーチ。
    そして、過去の歴史上で起こったグロテスクでホラーな出来事を次々とピックアップしていき、人間って怖いね、こんな残酷な事してんねんで、ほんまキショいよな等といった事を延々と恋人であるイケメンに垂れ流し、全身くまなく真っ黒に染め上げていく。

    読み進めるに連れて「あー!アー!!!!染まっていきよん!!嗚呼!!!良くない方向に影響されてる!!!もうあかん!!!」とエセ関西弁でもどかしくなってました。恋は盲目ってよく言うけれど、本当にそうすぎて怖い。人が人に依存していく恐ろしさも描かれてると思います。

    心が元気な時に読んでよかった。
    メンタルが弱ってる時に読むとグイッとネガティブな気持ちに引っ込まれてしまうと思うので、比較的元気な時に読むのをお勧めします。

  • 一人の女性と出会ったことで、全てを依存して何もかもを委ねてしまう。それこそ生きる事すらも。これって絶対にこうならないって言える人っているのかなと思って読んでしまった。自分の主義主張がない訳ではなくて、とにかく心地よく日々を送れさえすれば実はあとはどうでもいいと思っている人いませんか?自分だって実はそういう人間の一人なので、自分を本当に認めてくれている人が「あなたはどうであったとしてもそのままでいい」と言ってくれたら、何もせずただ横たわっている事をためらわないかもしれません。でも僕は好きな人に有能だと思って欲しいので頑張っているだけです。主人公のようなスラっとしたイケメンだと、それだけでも自分は好かれる権利があると思えてしまうのかもしれませんが。

    世の中と関わりを持って評価されたい、という気持ちは全くもって正当なものでもありますが、たった一人にさえ認められたらそれ以外いらないというのもまた一つの真実。この本をどう読むかは僕もまだ結論出ませんが、完全にバッドエンドとも言えない。

  • 友人から借りて読んだ本だった。
    友人曰く、「この本以上に興奮するものはない」とのこと。私もドキドキしながら読み、たしかにこの本は読む劇薬のような癖の強い本だったと感じる。

    しかし、私とはまったく性格も考え方も違う女が登場する物語だったので共感が薄く、なるほどこういう考えもあるのか、とふむふむしながら読み進めた。
    最終的にハッピーエンドともバッドエンドともとれない表現で終わったような気がするが、それが彼にとってのこれから歩む人生なのだろうとおもった。

    友人は「読んだら死にたくなった」と話すが、私はなんとも感じなかった。おわり。

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著者プロフィール

1976年、埼玉県生まれ。在日韓国人三世。2014年『死にたくなったら電話して』で第51回文藝賞を受賞しデビュー。2020年『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』で第42回野間文芸新人賞を受賞。

「2022年 『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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