女の子は本当にピンクが好きなのか (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417134

感想・レビュー・書評

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  • 『不道徳お母さん講座』で気になっていた著者、それに先立ってこんな本を出していたとは、と即入手。読み始めてみれば、こんなことが知りたかった!と膝を打つようなピンクのイメージの変遷など、裏取りされた情報満載(巻末に文献リスト付)でぐいぐい読めた。
    特に第一章の「ピンクと女子の歴史」はピンク=女の子というイメージは意外と最近のものなのだとわかり、勉強になっておもしろかった。
    2−3章の女児玩具事情から先の話は、そういえばわがやの娘たちはあまり人形遊びやプリキュアのような女児向けアニメに深入りしないで育っちゃったなぁ(ついでにぼーずも乗り物好きではあるけれど戦隊モノにも特撮にもハマらず…そしておりがみや小鳥やぬいぐるみが好きなことを隠すこともない)と、知らない世界を見る感じだった。近年の人気作「妖怪ウォッチ」と「アナと雪の女王」の共通点はなるほどと思ったが、それほどまでに世間の男児と女児の世界は分断しているのかと改めて思い知らされた自分(と子ら)はいい意味で鈍感ということか。
    いわゆる「ピンクカラー(ワーク)」や「ピンクカラーゲットー」の問題は、安易にそういう道を目指しがちな女の子の意識の問題よりもむしろ労働条件における男女格差という社会の問題の側面をもっと掘り下げる必要があると思った。女子=ピンクに限らず「女らしさ」「男らしさ」という性別による「らしさ」の呪いや抑圧を並行して論じていく必要も感じた。そのへんは、文庫版で追加された最終章でもふれられていたが、個人的には「性差を否定して女児からプリンセスやピンクを奪うようなかつての中性志向型のアプローチ」が「多くの女性にトラウマを残した」、というあたりにややもやもやした気持ちが残る。中性的、地味、自然に心地よさを感じるというのはやはりマイナーな感性なのかな…

    高2長女、見つけて興味を持ったと思ったらあっという間に読み終えてた。曰く「それでもわたしはピンクが好きだし文学部に行くけどね」。つまり、自分は女の子らしさの型にはめられたつもりはなくナチュラルにピンク色や文学が好きだ、と。まあたしかに、「女の子らしく」とは言わずに育ててきたし、好きと言っても小物やアクセントカラー程度だし、おさなかりしころのお気に入りカラーが黄色とオレンジだったことはちゃんと知っているのだ。

  • 「女の子はピンクが好き」のイメージはなぜ? 社会が着せる“ピンク色の鎧”との戦い|ウートピ
    https://wotopi.jp/archives/35734

    女の子は本当にピンクが好きなのか | ele-king
    http://www.ele-king.net/books/004984/

    女の子は本当にピンクが好きなのか :堀越 英美|河出書房新社
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309417134/

  • ピンク=女の子
    ブルー=男の子
    このイメージはいつからあるのか?どの様にして出来上がったのか?
    性別のステレオタイプに関する歴史や、それらに囚われない様にと開発された女児向け玩具など、ピンクにまつわるあれこれが語られます。
    ジェンダー論の研究などではない為あっさり進んでいる所もありますが、実際に2人の女の子を育てる著者ならではの視点もあってとても面白く読めました。


    本書では女性の割合が高い販売員や保育士などの職業を「ピンクカラー」と呼び、そちらへ流されていく事に警鐘を鳴らしていますが、ピンクカラー以外を目指す女性や実際そのような職に就く女性は、昨今珍しくなくなってきたように感じます。
    最近では、ピンクカラーでない仕事を目指す事以上に、働く中でついてまわるピンクカラーの方が大変なのではないかと思いました。
    男性ほどには成果を求められない、どうせお茶をだすなら女性といった他、結婚する女性に自分以上の年収があると気まずいだとか役員クラスになるのは男性だとかいう事はままありますが、なんとはなしに、女はこの辺まででいい(いて欲しい)という境界線が見える事がたまにあります。
    女の子が脱ピンクカラーを果たしたとしても、多くの女性の前にはピンクラインとでもいう様なものが横たわっている様に思います。そして男は男でこのラインを超えていることを求められる…。

    カッコイイを好む女の子より、カワイイを好む男の子の方が偏見が強い事が書かれていますが、女性はもちろん男性も意外とピンクに囚われているのかもしれません。

  • 女児の玩具から見る、幼い頃からのジェンダーの刷り込みについて。

    女の子らしく
    男の子らしく
    には「その方がうまくいく」という
    大人の思惑が絡むもの。

    半分その通りだとも思うし半分間違ってるとも思う。
    それはおそらく変革期だからであって、
    次世代こそ、何かが大きく変わっていきそう。



  • 歴史とか包括的にピンクを知れて面白かった。
    子供の頃の遊びと職業の相関とかP細胞M細胞は仮説として面白い。
    子供の頃は共感覚とかあるから、また成長した時とは違う世界の見方をしてるのかと改めて。

    小さい頃はピンク好きで(キティちゃんとか)小2あたりから水色(シナモンロールとか私はドラえもんも)、高学年で少しピンク好き復活とかは、まんまなので面白い。今はピンク好みではないけど笑

  • 【私は本当にピンクが好きなのか……】


    私自身、幼い頃からピンクや赤、花柄などいわゆる〝女の子らしい〟モノを好んできたため、本書の内容は非常に考えさせられるものだった。

    自分が本当にピンクが好きで〝主体的〟に選んでいるのか、はたまた可愛らしい自分を演じるために〝客体的〟にピンクを選んでいるのか、自分自身に問い直すきっかけとなった。

    本書で取り扱っている内容は現代(特に日本)社会においては大きな課題である。子育て前の親や、ジェンダーステレオタイプに囚われている人々に、是非一度読んでもらいたい。

  • 幼い頃から疑問を抱き続けてきたことがたくさん述べられていた。
    学校でも、ランドセルの色
    男女別名簿で男は青、女は赤と色分けされること
    など、色で性差別をされることが多いと思う。苦しい子にとっては苦しいこと。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/784787

  • ずっと読みたいと思いながら放置していて、漸く読めた。案の定、とてつもなく面白かった。

    「ピンク」が欧米や日本で、性的客体としての女性をイメージするような色になったけれど、欧米(特に米国?)ではこれに対する反発の動きが児童向け玩具業界で巻き起こっていったという。

    また、「ピンク嫌い(=ピンクへの反発)」という場合に、単にピンクという色が嫌いなのではなく、「女の子なんだからピンクが好きなんでしょ?好きで当然でしょ?」という空気に晒されるのが嫌いな場合も多く、単に自分には似合わないと思っているのに当然のようにピンクを勧められる状況に辟易している女性が多くいる、というのも学びだった。

    一方で、ピンク色を本心から好んでいて、自らの意思で身につけている状態を「まっとうなピンク」を選んだと表現している詩を紹介していて、これも面白い。

    さらに、女性の客体化が求められてしまうということは、男性に過度な主体性やマッチョな考え方が求められていて、こういった男性も救済してあげないと、男女双方とも個人が尊重される社会にならない、という趣旨の指摘がされていて、本当にそうだなと感じた。
    従来男性的とされていた(アグレッシブな)コミュニケーションでも、女性的とされていた(パッシブな)コミュニケーションでもなく、アサーティブなやり方を心掛けていこうよ、という文言もあり、完全に同意した(妖怪ウォッチでそういったコミュニケーションが実践されているとは知らなかった)。

    自分の好き/嫌いの背景に何があるのか、を知ったうえで好き/嫌いをもつ人間になりたい、と改めて思った。

  • この本を書かれている方がジェンダーを専門としているわけではなく「文系出身の派遣社員の二児の母」というところがとても良かった。
    海外のオモチャに関してはふーん、そうなんだ…と思っていたが日本でもヒットした妖怪ウォッチやアナ雪について記載されていた所は納得するところが多く誰かに話したくなる内容だった。
    ひとつだけ残念なのは片手にスマホを持ちGoogle検索をして画像を見ながら読み進めなければ理解し難いところがあったこと。もう少し絵や写真を載せてくれたら(できたらカラーで)わかりやすいのに!と思った。
    あと巻末の「霊力が高まらない」突然何を言ってるかわかんない作者に笑った。笑

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著者プロフィール

1973年生まれ。文筆家。早稲田大学第一文学部卒。著書に『エモい古語辞典』(朝日出版社)、『女の子は本当にピンクが好きなのか』(河出文庫)、『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)、『スゴ母列伝』(大和書房)など、訳書に『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(河出書房新社)、『だからわたしはここにいる』(フィルムアート社)、『ギタンジャリ・ラオ STEMで未来は変えられる』(くもん出版)、 『ガール・コード』(Pヴァイン) など。

「2022年 『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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