妖盗S79号 (河出文庫 あ 28-2)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 87
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309415857

感想・レビュー・書評

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  • こんなわくわくする短編が連載されていたら、毎号買ってしまうな。

  • 神出鬼没の怪盗S79号と、それを追う専従捜査班の対決を描いた連作ミステリ。やはり怪盗ものというのはわくわくしてしまいます。その正体がある程度現れているにも関わらずミステリアスなS79号はもちろん、有能なのか無能なのかちょっとわからない(笑)専従捜査班の刑事二人のキャラクターも魅力的。
    ややコミカルな読み心地と、予想を超えたトリックの数々に魅了されっぱなしでした。収束へと向かうラストの展開とS79号の「正体」にも驚かされたし。ずっと気になっていた連続殺人犯もなるほど、ここで出てくるのか!
    お気に入りは「南畝の幽霊」。この盗み方、あまりにも想像のはるか斜め上をいっていました。まさかそんなことってー!!!

  • ルパン並みの手際で次々お宝を盗んでいく怪盗S79号と、追いかけるポンコツ警察官コンビ。
    時折出てくる連続女性殺人鬼や、次々襲ってくる相続税でどんどん貧乏になっていく二宮の事情などがどう絡むのかと楽しみにしていたのだが、結局肩透かし。
    怪盗が捕まらないのは仕方ないにしても、こんな短絡的であっさりした結末では大団円と言われてもスッキリしない。
    東郷警部もこんな形でお膳立てされた花道で満足なのかなぁ。あれだけS79号に執着していたのに。
    泡坂さんだからコメディの中にも色んなからくりがあるものと期待していただけに残念。
    それぞれの盗みの話の中にドラマがあったものもあったけれど。

  • 復刊が続く泡坂妻夫。河出文庫からは2冊目になるのかな。
    コメディタッチで面白かった。割とキャラクター性の強い作品。

  • +++
    神出鬼没の怪盗S79号!指輪に名画、名刀に化石まで、古今東西のお宝を、奇想天外な手口で次々と盗み出す。そんな中、世間では、連続猟奇殺人事件も発生中で、大混乱!果たして、警視庁のS79号専従捜査班は怪盗の正体とその真の目的を暴くことができるのか?ユーモラスで見事なトリックが光る傑作、待望の復刊!
    +++

    妖盗S79号と専従捜査班の東郷と二宮の対決の物語である。あっという間に目的のものを盗み出し、尻尾を掴ませない妖盗S79号の鮮やかさと、妄念とも言える執着ぶりで逮捕に向けて捜査を続ける東郷の懸命ながら滑稽でもある様子の対比が面白さを増している。出てくる人出てくる人、みんなが怪しげなのもなかなかおかしい。ラストの種明かしには、いささか驚かされたが、味のある真実だったと思う。愉しめる一冊である。

  • たいへん泡坂節の作品で満足。連作短編集なので、ドラマを観ている気分で、1作読んでは休憩を入れて堪能しました。(連続で読むと、毎度恒例の紹介文なんかがちょっとくどく感じるところがあるので、1作1作新鮮な気持ちで楽しみながら読みたくて)
    忘れた頃にたまに出てくる連続猟奇殺人事件をどう絡めるのかワクワクしながら読み進めまして、ラストの大宴会までああ持って行ったかと、泡坂流トリック楽しみました。

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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