殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410951

感想・レビュー・書評

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  • 雪平夏見シリーズ第三弾。犯人はちょっと予想外でした。雪平と家族になりたかったために、雪平の元亭主と結婚するなんて。撃たれた雪平、どうなる?続けて続編読もう。

  • このシリーズはテレビドラマの印象がかなり強いですが、小説の方も純粋に楽しめます。改めてテレビシリーズ、映画の方も見直したくなりました。

  • 死んでもいい命・・・ではない。「殺してもいい命」だ。
    この違いは大きい。
    雪平は驚くほどに孤独だ。穿った見方をすれば孤独であろうとしているようにさえ見える。
    共に行動することが多い安藤は、雪平を理解しようとしている。
    何があっても最後まで雪平について行こうと決めているし、守ろうと考えている。
    けれど、安藤の決心は雪平の心の奥底までは届かない。
    本当の意味で雪平を動かすことができるのは、ただひとり。
    愛娘の美央だけなのだろう。
    だから雪平は怯えてしまう。
    母親であることが許されるのかと、美央の言動のひとつひとつに反応してしまう。
    大切だからこそ、美央と向き合うときの雪平はひどく臆病になる。
    犯人は雪平の心理をよく掴んでいたのだと思う。
    身勝手極まりない動機だったが、切実な思いがそこに存在したことは確かだろう。
    「ストーカーで構わない・・・」と言い切った犯人。
    雪平の気持ちを気遣うこともなく、一切を切り捨てている。
    大切なのは自分が必要としている、それだけなのだ。
    世界はまさに自分を中心に回っている。
    そして、それが許されると思い込んでいる。
    冒頭の殺人事件の被害者が佐藤和夫だったことに驚いた。
    「えっ??なんで??」
    ドラマの影響だろうけれど、香川さんが暗い河原に倒れているようすが浮かんできてしまった。
    いきなりの展開で、グッと物語に引き込まれてしまった。
    それにしても、美央は本当に過酷な運命を背負っている。

  •  これは、雪平が弱みを見せて人間ぽい。強さと弱さ、雪平の魅力が増します。

     展開の仕方が本当にうまいと思う。どんどん引き込ま羅ます。

     最後は雪平の優しさなのかな。

  • 雪平シリーズ第三弾。

    発見された死体の口に入っていたチラシ。
    「殺人ビジネス始めます」
    フクロウと名乗る人物が20人限定で殺人を請け負うという。
    次々に殺される被害者には接点はなく捜査は難航する。


    ドラマ『アンフェア』の原作ですが、ドラマにはなかったストーリー。

    というか原作とドラマは別物という感じです。
    同じなのは雪平だけ…かな?
    他の人物は、キャラクターも設定も異なってるかなと。

    時系列がバラバラに出てくるので少し混乱してしまうところがありましたが…最後に全部がつながる瞬間は爽快です。
    ラスト20ページくらいで、どんでん返しが2回あって、見事に騙されました。
    こういう感じ、好きです。

  •  殺してもいい命、とは挑戦的なタイトルだ。プロローグでは、父親の無理心中に巻き込まれる姉弟のワンシーン。犯人の不幸な生い立ち? この作者は、恐らくそう思わせて外してくるだろう。いや、裏の裏をかくかもしれない。まったく油断ならない。

     本編。他殺体が発見され、林堂警部補が現場に向かう。前作では誘拐事件などを扱う特種班のチーフだったが、2年後の現在は捜査1課に異動している。第一発見者は被害者の元妻だが、妙に冷静な応対が奇妙だ。死体の口にはチラシが差し込まれている。「殺人ビジネスはじめました」。林堂は元妻の事情聴取にはいる。実は、第一発見者の名は雪平夏見。雪平は別れた夫の死体を発見した状況を語りつつ、同じ取調室で事情聴取した3カ月前の事件を回想する。別の事件とは警察高官の親族が被害者のストーカー事件である。見事な場面展開。そしてストーカー事件はどうかかわってくるのか、謎を置いていく。

     職業的殺人者がデビューする。3人までは開店記念特価30万円。それ以降はだんだん値がつり上がって、20人殺したら一生困らぬ財産を得て廃業する。とチラシには書かれている。この30万という設定に味がある。「殺してやりたい」奴がいてもふつう殺し屋には頼まない。殺しの代金が安すぎても怪しいし、ゴルゴ13レベルだととても払えるものではない。しかし30万円というのは妙にリアルだ。そして第2の殺人が起きる。
     他方、この殺人者が本当に殺し屋だとしたら、原理的に、警察には捕まえられないだろうという推論が浮上する。それぞれの被害者の身辺を洗っても、殺し屋が依頼されて殺しただけなら、捜査線はつながりようがない。殺人の依頼者のほうからアプローチするにも、実際に殺人が遂行されるまでは逮捕しようがなく、次の犯行を防げない。
     では雪平はどうするのか。
     
     殺してもいい命。作品中にはこの言葉は出てこない。殺し屋にとっては依頼の対象は「殺してもいい命」に違いない。容疑者を2人射殺したことのある雪平はマスコミに「必要だから撃った。必要があればまた撃つ」と答える。これもまたある意味で「殺してもいい命」。今回は最初に射殺した覚醒剤中毒の未成年者の母親と再会するエピソードがあるのだ。そして最後の場面、「必要があればまた撃つ」という状況におかれた雪平に「殺してもいい命」というテーマが浮上する。

     見事に入り組んだ謎に、当事者たちの悲しみがにじみ出る。そしていくつかの印象的な場面。ちょっと楽しみに取っておこうと思って他の本を読んでいたのに、結局読み始めて、一気に読んでしまった。

  • なんで、あの人を疑わないのだろうと不思議に思う。
    めちゃ怪しかったじゃないか。
    死んだ後の行動が。
    やっぱりあざとい大どんでん。

    ラストの引きはなんなんだー。
    帯に雪平最後の事件とあるけど、やっぱ、そうなの?
    そういうことなの?
    枕元で何してたの?

    とっても悲観的な想像をしてしまったが、ブクログ登録時に続編が出てることを確認。そっか、出てるのか。そういうことじゃなかったのね。
    作者にしてやられて悔しい!!!

  • 雪平の元夫がなぜ亡くなったのかが分かりました。

  • 殺人ビジネスのチラシを口に突っ込まれて殺されていたのは雪平の元夫だった。殺人ビジネス、ストーカーと事件に事件が絡んでスピーディーな展開。雪平の娘、美央はどうなるんだろうか。

  • 雪平パート3。

    やはり、テンポの速い小説だ。
    脚本を読むかのように、スラスラと読める。

    安藤刑事との息があってきている。
    よいコンビ。

    今回は、最後まで犯人がわからなかったなー。
    わかった後の怖さ。。
    心配なのは、あの子。
    強くなってほしい。
    でも、今でも十分強い子。
    彼女を救えるのは、雪平さんだけなのかもしれない。

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著者プロフィール

1968年生まれ。小説家・脚本家・演出家・映画監督。2004年『推理小説』で小説家デビュー。同作はドラマ&映画化。著書に『And so this is Xmas』『女子大小路の名探偵』他多数。

「2023年 『Change the World』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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