定本 夜戦と永遠 上---フーコー・ラカン・ルジャンドル (河出文庫)
- 河出書房新社 (2011年6月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309410876
作品紹介・あらすじ
重厚な原典準拠に支えられ、強靱な論理が流麗な文体で舞う。誰もがなし得なかった徹底的な読解によって、現代思想の常套を内破する「永遠の夜戦」の時空が、今ここに浮かび上がる-。『切りとれ、あの祈る手を』で思想・文学界を席巻した佐々木中の原点にして主著、補遺論文を付して遂に定本なる。女性に‐なる‐ラカンが叫び、知られざる泰斗・ルジャンドルが微笑する。恐れなき闘争の思想が、かくて蘇生を果たす。
感想・レビュー・書評
-
詳しくは下巻読んでから。
ラカン→ルジャンドルまで。
よくわからないなあ、と思いながら読んでいたところも後々になるとわかってくるので、思った以上に読む準備のいらない論考。
必要なのは、読む勇気だけ。世界が変わるから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラカンから、ルジャンドル、そしてフーコーへ。
力強く魅力のある文体。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784309410876 -
『切りとれ、あの祈る手を』を以前に読んでいて衝撃的だったのを思い出す。本書も(まだ上巻だけだが)愉しく読めている。
文体に性格があるのなら、この方のそれは、大変熱くそして力強い。「反復を恐れず」に訴えかけてくる主張をどんな読者だって感じずにはいられないだろう。猛烈な卓見。
「フーコー、ラカン、ルジャンドル」とタイトルに謳われている。彼らの言説を解きほぐしながら筆を進めている。彼らをろくに読んだことのない私にさえも分かるように、丁寧に咀嚼して(時に重大なことは反復して)解説されている。個人的に楽しみなフーコーは下巻からその姿を表すようだ。
あの難解極まりないラカンの言説。そこにルジャンドルのテクスト(これも犀利ながらも時に詰屈で読みこなすのは至難らしい)を照らし合わせる。そう言えば、内田樹先生がレヴィナスとラカンを並列的に取り上げていたのを思い出した。難解さと難解さを混ぜ合わせる。するとなぜか立ち上がってくる何かがある。マイナスとマイナスをかけ合わすとプラスに転じるのに似てはいないか。
個人レベルの領野から、社会や国家のあり方にまで。話題は広範に展開されていく。「系譜理論」としての国体。「輸出可能な」西洋的国家。表現の自由を認めること自体の前提的制限… 示唆に富む見解が凝縮されている。
ああ、下巻を、下巻を読ませてください。 -
正直この人の書いたエッセイは受け付けないけど、この本は唯一大好き
いずれ下巻を改めて読み込んだらこのレビューを書き直そう -
内容の理解度は甘いけれど、とりあえず読み進められる程度には。
ラカンからルジャンドルへ。ルジャンドルあたりの佐々木の理路はとても興味深い。精神分析のモデル化、それを歴史的文脈に押し返すこと。それを特殊性としてイスラームとぶつけること。差異の原因を中世解釈者革命に突き返すこと。テクストを儀礼へと並列してしまうこと。
下も読んで、必要なら読み返したい。
これも、一つの宗教学か。 -
何度、読み返しただろう。
やっと僕の浅学拙考の頭に、僕なりの仕方でこの本を飲み込むことができつつある。
佐々木はラカンを引き、われわれの主体が<鏡>に映し出されるイメージと、「これは私だ/私ではない」という言葉によって作り出され、象徴界と想像界によって成り立っていることを明らかにする。
次にルジャンドルを引き、主体がドグマでしかないことを明らかにし、今、世界で支配的なドクマは中世解釈革命によって、可塑的な書かれた<準拠>としてのテクストとして12cから打ち立てられ、今日まで続いているものだとする。
そして、今あるドグマを覆すにはという問いを立てたところで、上巻終わり。
この一冊、この一冊こそ僕が探し求めていたものであり、全てを解決しうるものだ。たくさんの人に読んで欲しい。しかし、どれだけの人に届くというのか。どれだけの人が気づき、動きうるというのか。僕にはわからない。 -
DJだね。特に文庫で下巻にあたる、フーコーの文章を次々とつないで彼の思考の遍歴を浮かび上がらせていく流れにシビれた。DJ的なモノは原則褒めないんだけど、これはイイです。
-
フーコーもラカンもルジャンドルも全くどのような思想か知りませんでした。(フーコー、ラカンはちょっと本を読んだことがあったかもしれませんが、「どっからどう考えたらそういう風に考えられるのか」と思うほど意味が分からないまま終わりました。)が、この本でこれらの人が言いたかったのはこういうことだったのかということがやっとわかりました(表面だけかもしれませんが)。著者の説明は本当に感謝です。大きな意味を述べた後に小さな言葉を何度も言い換えたり、なぞったり意味する所の輪郭を細かな所までリズム良く掘り出してくれるところは凄さを感じます。上下巻と長いですが、内容はぎっしり詰まっています。