- Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309277523
感想・レビュー・書評
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エッセイスト、職人、ギャラリーの店主、さまざまな「うつわ好き」な人が、自身の器との付き合い方を紹介している一冊だ。
単純にコレクションや好きな作家を紹介している本ならば類似本も多くあるけれど、「片づけ」に注目したところがおもしろい。
作家ものの器はどうしても量産品のプロダクトよりも扱いに気を遣う。粉引や焼き締めは油がしみやすい、漆器はすぐに拭く、など、わかっていてもつい面倒だなと思ってしまう日々の手入れを、いわゆる「うつわ、手仕事のプロ」の人たちはどう扱っているのか、というのがよくわかった。
それぞれの人たちでかなりストイックに扱っている人もいれば、レンジもアリ、としている人もいて、興味深い。要は自分の中でどういうルールにして楽しむか、ということなんだろうな。
どんなスポンジを使って洗っているのか、というのは参考になり、真似してみようかと思う。
全員共通で食洗器は使わない、としていたのが興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
食器や調理道具が好きで、高校生の頃から来たる独立の日のために気に入りの品を集めていた。
当時は工業製品と手仕事のものの区別がついていなかった。作家ものは「食器」とは言いづらい感があり、扱い等を含めて敷居が高いと思われている方も多いのではないだろうか。
年を経ていくつか「うつわ」を手に入れたが、よく欠け、その度に頭に暗雲が立ち込める。
この本に出てくるうつわ好きの方々はみなプロである。料理家や料理店主、ギャラリーオーナーなど。その紹介されているうつわの趣味のいいことといったら、そらそうでしょうなあと言いたくなる。
それぞれにうつわにまつわるQ &Aがあり、それらは思い出の料理の記憶とあいまってひどくパーソナルだ。そしてうつわとの関わり方に強烈な自負が垣間見える。
その方達が口を揃えていわく、特別なことはしていない、洗ったら乾かす、食洗機は使わない。
欠けても色移りしても気にしないとは、あっぱれな寛容さだ。
このうつわ好きの人達の、判で押したような、謙遜で覆い隠せない自負が、見えない圧となって「うつわ」界隈の敷居の高さにつながっているのではと邪推してしまった。
おかしい。うつわが好きでこの本を手にしたはずなのに、ちょっとイラッとするのは何故だ。
個人的に欠けたうつわには我慢がならん。 -
いいなぁと思う器がいくつか載っていたので、目の保養にはなったけど、うつわの扱い方・片付け方は、あまり目新しいことは載っていなかったなと思いました。
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好きな食器は毎日使いたい。むしろ、好きな食器しか使いたくない。食器棚を見直し、断捨離し、そして出会いを楽しむ。現状はそんなところです。とはいえ、高価なものは買えないし、使用するのも躊躇われるので棚に並んでるのは高くても千数百円程度のものがほとんど。一期一会で買ったものもあるので大事に使いたいと思ってます。
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前書きにある「いいうつわを気軽に普段使いするための知恵がたくさん」というほどたくさんではないです。うつわと食を愛する8 人のありがたいお話をメインとして掲載しているわけですが、どの方にも共通するのは「洗ったら、ちゃんと乾かす」てだけだし、本一冊かけて伝えなければならないほどの大した情報ではない。どちらかというと完全に雰囲気本。けれども読んだ後に、いいうつわを使うのには特別なテクニックが必要だったり、特殊な才能や能力が必要なわけじゃないと思えるのは、この本の目的を遺憾なく達成できているのではないだろうか。そう言った意味では良書。