- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309255842
感想・レビュー・書評
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「カラヴァッジョの秘密」http://kawade.co.jp/np/isbn/9784309255842/ 読んだ。研究本。うーんおもしろかった!カラバッジョは自分のトップ3に入るくらい大好きなのに本人については何も知らずにきたからいろいろ驚いた。カラバッジョ無頼派。。本筋の生涯研究に加えて新発見や新説もたくさんあり読み応えあった(おわり
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カラヴァッジョの人格や生活は当時の基準からしても破綻していたらしい。よく知られる殺人も偶発的なものではなく、普段から乱痴気騒ぎや喧嘩のトラブルの常連だったようだ。
とにかく画業の腕が立つので、パトロンの枢機卿や公爵夫人の庇護のもと、大聖堂の祭壇画のような公的な作品を手がけて名を上げることができたが、当時は対抗宗教改革の時代であり、トリエント公会議の決め事を遵守して絵を描く必要があったため、そこから大きく逸脱する半ば冒涜的な作品(親しい娼婦をモデルにするなど)がスキャンダルになることも多かったという。それでも個人的に蒐集したがるパトロンがいくらでもいるのは、さすがローマである。
ローマでの殺人事件の後はパトロンの手引きでナポリへ落ち、マルタ島まで流れていく。免責特権のあるマルタ騎士になれそうになった瞬間、いつもの乱闘で相手に重傷を負わせ、またもやシチリア島への逃亡。最期は教皇に直接赦しを得るためにローマに戻る途中で死亡或いは殺害されたようである。最期の確かなことは分からない。逃亡中も公的なものを含めてたくさんの作品を残している。
カラヴァッジョの作品では、ローマのユディトが一番好きのだが、本書では取り上げられていないのが残念。 -
次作レオナルドほどではないが当時のカトリック対プロテスタントの盛り上がる間で稀代の才能がどう立ち向かったかを紐解く。
ただレオナルドと違うのが、カラバッジョ自身の書いたものが絵しかなく、あとは裁判の差し押さえや他人の証言などである。そのためこの本も孫の手を使って書くような感じで、その分星が一つ減るわけではあるがそれを差し引いても面白い。
1回の殺人、丸太の騎士になった直後の暴力沙汰と投獄脱獄その後の襲撃、不可解な死。とスキャンダラスな人生を送って色眼鏡で見られがちであるが、作品はその時の宗教画の指針デコールムに挑戦し、あるがままを絵画世界にも反映させ、モデルに馴染の娼婦、自画像を取り入れた。そのことで臨場感を構築し、見る側を引き込み、多くのパトロンと弟子も全く取らず謎の技法であったが死後にも多数の追随者を生んだ。