- Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309207933
感想・レビュー・書評
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真っ黒だったぼくの心が洗われ、汚れがかなり落ちました。
動物たちが書く手紙の、何と温かで愉快なこと。
たとえば。
◇◇◇
カタツムリ君へ
ぼくにダンスをさせてくれませんか。
場所はどこでもいいな、きみの小さなお家でもいいです。
ちょっとステップをふむだけでいいんだ。
ぜひぜひお願いします。
そっとそっと踊るから。
お家の屋根を突きぬけたりしません。
約束します。
でも、そんなことは約束するまでもないよね。
象より
◇◇◇
とうが立ったぼくみたいなおじさんが読むと、たしかに気恥ずかしいところもあります。
でも、寓話などと侮ることなかれ。
どこぞの政治家の空疎な言葉より、ここに登場する動物たちの言葉の方が、よほど内実があります。
たとえば。
◇◇◇
亀さんへ
なんとも悲劇に見舞われたものですなあ。
実に痛ましいことです、せかせかせっかちとは。
それをぐっとこらえて、ぐいっと抑えつけて、ぎゅっと丸めてしまうのです、
それがほんの取るに足らないちっぽけな球になるまで。
次にはそれを地面に埋めます。
その上でじっとしていること。
あなたやぼくが落ちつきをなくしたら
どうなります?
カタツムリより
◇◇◇
含蓄があります。
世の中の状況、自分の置かれている立場で、この手紙の印象は随分異なってくるのではないでしょうか。
さて、皆さん、新型コロナで大変なことと思います。
本書を読んで、大切な人に手紙を書いてみるのも良いかと。
私は後で息子に書くつもりです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミニコメント
「ハリネズミの願い」のトーン・テレヘンと、翻訳は「チョコレート工場の秘密」などを担当された柳瀬尚紀さん。テンポの良い詩のように語られる動物達の癖のある不思議な文通のお話です。
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1323147 -
「高い木に家を構える思慮深いリス君、蜜が大好きな奥ゆかしいアリさん、ダンスと木登りを愛する象君、蜂蜜ケーキが好きな熊君、バラの木の下の隠れ家に住む恥ずかしがりのアリマキ君…。一癖も二癖もある動物たちが繰り広げるオフビートな物語。『ハリネズミの願い』の著者が贈る、自由で喜びに満ちたユートピア。」
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デザインの可愛さに惹かれて手に取りました。便利な時代になり、本当にお手紙を書くことが少なくなった気がします。久々にお手紙を書きたいという気持ちになりました。とにかく可愛らしい物語です。
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森の動物や昆虫たちが交わすお手紙。アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」を思い出させる。著者紹介に詩人とあり(医者で作家でもありますが)納得した。
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あんまりよくわからなかったけど、みんな楽しそうで何より。
変に風刺とかになりがちなんだけど、そうなってないのは素敵。 -
2020.07.08
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20200607 メルヘンと言って良いのだと思うが、空想して情景が浮かぶうちは大丈夫なのだと思うことにしている。アリさんとゾウ君熊さん、リスをめぐる動物たちとの手紙でのやりとり。誰からでもどこにでも届けてくれる風さんがいるからの物語。息抜きに良い本。
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メール、SNSのやりとりがどれだけあっても、手紙で伝え合うのは代え難いものがありますね。動物たちの力を借りて、早速文字をしたためてみたくなりました。誰に送ろうかな。