希望のかたわれ

  • 河出書房新社
3.69
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本棚登録 : 60
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309206813

感想・レビュー・書評

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  • 文学

  • 辛すぎて途中でやめたくなったが、この辛さから早く抜け出したくて半日で読んでしまった、いや読めてしまったのは、自分たちの日常に起きている、良く知っている出来事が描かれていたためかもしれない。
    「すべてはコントロールされている」(128ページ)この1行が目に入った時は本当に悪い夢を見ているかと思った。この物語は私たちの未来の姿を描いている。

  • ミステリー作品かどうか関係なく面白い。精緻に組み立てられたストーリーが素晴らしい。

    チェルノブイリ原発事故、人身売買等最初から最後まで暗いトーンではあるが、事故後の人々の暮らしなどは取材を元に描かれており貴重に思う。

    翻訳本にありがちな読みにくさはなく、苦手な人にもおすすめ。

  • 福島の原発事故をきっかけに書かれた、チェルノブイリが題材のミステリー(?)。
    この「?」部分、ミステリーを好まないからでもあるが、行方不明の少女を巡る謎解きが面白くないしおよそ予想は付く(ミステリーリテラシー低し)どうしたことか、ガイブン専門家の私にして、人名がさっぱり頭に入らない。
    母親の手記が、チェルノブイリの実際の状況を元にしていると思われ、原発事故の恐ろしさ、住む場所を追われた人々の苦しみ等読む価値があった。また、本当にチェルノブルイザとして貧困に苦しみ身を落とした人たちも少なからずいたのかもしれないと思った。
    しかし小説としては、娘に手紙を書くという設定からしても、少女が逃亡して男のところに駆け込み…もどうも説明的すぎる。
    チェルノブイリの悲劇を知るならアレクシェーヴィチの「チェルノブイリの祈り」のほうがお勧めできる。

  • ミスリーリングに悉く引っかかった私、はミステリーのよい読者だ、と言っておこう、ちぇっ。
    3つの現在進行形の話とそのうち一人の過去語りが混乱なく入ってくるのはナラティブの技の高さだね。
    ステイ先でのバイト斡旋付きの留学を装った人身売買がメインの話。語学留学したがる女子大生が風俗で上玉のタイプとは思えないけど…なんていうと語弊があるかもしれないけど、まあ、スラブ系の若い娘はおしなべてドイツ男性には魅力的なのかもしらん。

  • ウクライナの原発の街で暮らし、チェルノブイリ原発事故以前の豊かな生活と事故後の悲惨な生活を、ツフリッヒ、ゾーン、デュッセルドルフという3つの箇所で同時に絶妙に展開し、どうなっていくのかワクワクしながら読むことができました!
    チェルノブイリ原発事故直後に発せられた「すべてはコントロールされている」。どこかで聞いたことのあるようなフレーズですが…

  • 福島の原発事故をきっかけに執筆された作品。
    チェルノブイリ原発事故で被害にあった女性の回顧シーン、誰も信じられないウクライナの社会・警察、チェルノブイルザの東欧女性の人身売買…
    3つ4つの物語がバラバラに進むようでいて徐々に連関を持ち始め、気づいたら飛ぶように次頁を繰っていた。
    ミステリといってもこういう、社会の暗部を背景にしたミステリもあるんだな。
    非常に面白かった!

  • 何を読んで、買おうと思ったのか忘れた。

    チェルノブイリ原発事故の後、ゾーンと呼ばれる立入制限区域で済む母親。
    その娘は、留学と称し風俗斡旋組織に連れ去られてしまう。

    二つの、趣が違う事件が展開されてゆくのだけれど、根っこにあるものは変わらない。
    見えない驚異は時間を超えて多くの人を蝕む。
    それはチェルノブイリに関する人だけではなく、もっともっと沢山の人を巻き込んでいる大きな流れがあるんだと分かった。

    小説ではあるけれど、よく描かれ過ぎている。

  • チェルノブイリ原発の立入禁止区域に住む女性ヴァレンティナは、行方不明の娘を待ち続ける。戦争と原発の暗い記憶を描く人間ミステリー。ドイツ語圏の推理作家協会賞最終候補。

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著者プロフィール

1960年独ケルン生まれ。セラピスト、レストラン経営など様々な職を経てから作家活動に入る。『沈黙を破る者』でドイツ・ミステリー大賞受賞。ほかに『ヴァイオリニスト』など。ドイツ語圏注目の女性作家。

「2015年 『希望のかたわれ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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