ル・クレジオ、映画を語る

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 76
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309205960

作品紹介・あらすじ

リュミエール兄弟、溝口健二、パゾリーニから、マフマルバフ、イチャンドンまで。ノーベル賞作家が、映画芸術への愛を熱く語る半自伝的エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • どんな映画が語られるか楽しみです。
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    「幼少時から映画に親しんだノーベル賞作家が、世界の傑作を紹介する半自伝的エッセイ。リュミエール兄弟、溝口健二、パゾリーニといった古典映画から、現在のイラン映画、韓国映画まで。」

  • ル・クレジオの書いたものを読むと、そのしなやかで懐の深い思考に唸らされる。思い起こせば『物質的恍惚』でも彼は日本映画の巨匠ミゾグチを出してシンパシーを綴っていなかっただろうか。若い頃からシネフィルであり、かつ一流の知性を備えた存在として別け隔てなく各国の映画に触れ、そこから何かを学び取ろうとするスタンスを感じる。だが、彼の鑑賞/読みはあくまで作家に徹し「書くこと」を突き詰めんとする姿勢から来るものであることもまた確かだ。ペンと紙で表現できる小説という媒体から学んだことを、彼は映画鑑賞に活かし批評を「書く」

  • ル・クレジオ、昔、フランス語の授業で、この人の小説を読んでいた。
    その時は、少し、読めたんだけどなー。
    今では、フランス語、ほとんど覚えていない。

  •  映写機の定位置であった「祖母の居室脇の廊下」で「世界に開かれた扉」を発見したル・クレジオ少年は、そこで初めて「美的感動」に出会い、長じて「映画とは時の流れのなかで未完成なものを見せること、移ろうもののなかに無限なるものを見せることだ」と考えるようになる。そんな著者が、古今東西の映画作品を、自伝的要素を加えながら論じているのが本書だ。
     ウォルター(『映画もまた編集である』みすず書房参照)が映画の送り手として傑出した職人だとすれば、著者はその受け手として理想的な観客だと言える。なぜなら、何気ない技術的なアプローチでさえ、自らの世界に通すことで、それを文学的な芸術性へと著者は純化してしまうのだから。
     『雨月物語』を見て、「映画が芸術であることを私は初めて理解した」と語る著者の、日本映画への大きな愛情が感動的。

  • 夜の闇のなかで明々と、太陽の周りを彷徨する月の光はわどこかよそからやって来る。

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著者プロフィール

(Jean-Marie Gustave Le Clézio)
1940年、南仏ニース生まれ。1963年のデビュー作『調書』でルノドー賞を受賞し、一躍時代の寵児となる。その後も話題作を次々と発表するかたわら、インディオの文化・神話研究など、文明の周縁に対する興味を深めていく。主な小説に、『大洪水』(1966)、『海を見たことがなかった少年』(1978)、『砂漠』(1980)、『黄金探索者』(1985)、『隔離の島』(1995)、『嵐』(2014)、『アルマ』(2017)など、評論・エッセイに、『物質的恍惚』(1967)、『地上の見知らぬ少年』(1978)、『ロドリゲス島への旅』(1986)、『ル・クレジオ、映画を語る』(2007)などがある。2008年、ノーベル文学賞受賞。

「2024年 『ブルターニュの歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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