ジョン・レノンに恋して

  • 河出書房新社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309204758

感想・レビュー・書評

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  • シンシアは強い、夏目漱石の妻の鏡子に通ずる。

    彼女のジョンとの出会いからハンブルク巡業あたりまでは、
    なんだかすごく自分の学生時代をそのまま見ているようでもあって、
    結局変わり者の恋人を選ぶのは、私の特徴なんだなとも思った。
    でも当時のジョンの気持ちもとてもよくわかるのでそれもそれでつらい。

    人間としてジョンがどんな人であったか、
    よく観察し忠実に表現したシンシアのおかげでよく分かる。
    常識なんてものからは外れに外れまくっているが魅力がすごい。
    私はやっぱりジョンが一番好きだ。

    2017.9.1

  • シンシア・レノンという女性は完全に受け身・内助の功タイプの女性で、「リバプールの学生バンド」のメンバーだったジョン・レノンにとっては間違いなくベストパートナーだったのだと思います。
    しかし、「世界的大スターのジョン・レノン」にとっては、凡庸で退屈なパートナーであったのではないかと(シンシア主観の本書を読んでもなお)思わずにはいられません。

    リバプール時代からスターダムにのし上がるまでの、まるでおとぎ話のような恋愛物語はロマンチックで、夢のように可愛らしいです。

    ですがビートルズが上り詰めたHELP!の頃になると、ジョンは非常にストレスを抱えており、楽曲だったり体型的な問題だったり、SOSを発していたらしい事が関係者から色々語られているのですが、シンシアはあくまで「私は裏方なので…」的なポーズをとって、彼の苦痛やストレスに向き合おうとしてないんですね。
    (もちろん彼女自身もワンオペ子育て中なのもあったのでしょうが…)

    それどころかシンシアは、ロンドンでの派手な生活やお洒落や整形や、贅沢な暮らしに溺れていく。
    シンシア自身の主観ですらこのように感じてしまうので、第三子視点では彼らの結婚生活は良好ではなかった…との評価になってしまうのではないかと思いました。

    ですが…そんなシンシアの態度をもってしても、「ここまで酷いことされる謂れはないやろ」と思ってしまうジョンとヨーコとの不倫スキャンダルの顛末には、一気にシンシアに同情せざるを得ないパワーがあります。
    旅行帰りのシンシアに自宅でのヨーコとの不貞関係を見せつけた瞬間こそが、ジョンの60年代後半における狂気の始まりだったと思わずにはいられません。

    後の泥沼の親族関係も含め、ジュリアンに対しては本当に気の毒に思ってしまいました。

  • 『#ジョン・レノンに恋して』

    ほぼ日書評 Day371

    ジョンの最初の妻、シンシア(愛称、シン)による自伝。
    ハッピーエンドではない結末を知りながら、残りページ数が僅かになってくると、それでも幸せになってほしいという思いを抱く、なんとも切ない本。
    それでも、ジョンとの関係ということだけ見れば、我々の知っている結末だが、それ以外のところも含めて、彼女なりの幸せを見つけられたところで完結、ほっとする。

    にしても、旧刊のため今買おうと思うとプレミアがついて12,000円を越えているみたいでビックリだ。

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  • とかく神格化されがちなジョン・レノンを一人の人間として、改めて捉えられるし、オノ・ヨーコが語るジョン・レノン像と合わせることによって、より立体的に見ることが出来る。
    何事も一方の視点からでは見えないのだなぁということを強く感じた。

    ジョン・レノンというとラヴ&ピースの人というのが多くの人のイメージだろう。
    そして、オノ・ヨーコを熱烈に愛した。

    本書の主人公=シンシアは多くのビートルズ・ヒストリーに於いて端役扱いだ。
    実際はジュリアンという一子を授かり、ジョンが最初に愛した女性であり、デビューから世界のアイドルとなった時代に一番近くにいた人でもある。

    シンシアのジョンへの愛情、ジョンの心が離れていった瞬間の不安、ジョンへの怒りなどが本書には率直に綴られている。飾ることなく一人の女性としてシンシアは語っているのだ。

    <blockquote>ジョン・レノンという人は、やはりかなり特別な存在だった。才能にあふれ、心に深い傷を負った、創造の天才。愛についての歌を、聴くものが心を焦がすほど情熱的に歌い、でもその一方で、愛すべき自分のいちばん身近な物たちの心を、まるで鋭利な刃物でえぐるように傷つける。</blockquote>

  • この本で、ビートルズの活動の感じがよく分かった。かなり内部のことが分かった。シンシアは、かわいそうだったなぁと思った。ジュリアンも。ジョンが突然変貌したのは、ドラッグの影響もあったと思う。

  • リバプールの不良少年と付き合う平凡な女の子が、ロックスターの恋人から妻となる。
    異常ともいえる体験を、率直に語っている。
    極めて普通の感性の持ち主の著者と、鋭く尖って、時に人を傷つけずにはいられない才能の持ち主ジョンとはいずれにせよ別れが来ただろう。
    ジョンの無名時代の様子、家族、親族のこと、スターになってからの苦しみなど、彼女だから語れることも多く、興味深かった。
    まあ不倫のときは必ずそうだけど、夫より女(小野洋子)の方が憎いのよね。
    ヨーコのことをこれでもかというくらいに冷酷で慾深で吝嗇な独裁者と書いてあり、きっと死ぬまで彼女に対する憎しみは変わらないんだろうな。

    冷徹な管理者であるミミおばさんに育てられたジョンが、結局同じような性格のヨーコに安心と懐かしさを見出したのだという分析には「なるほど」と思ってしまった。

    ジョンが生きていればヨーコとずっと夫婦でいたかどうかわからない。

    死後伝説化されてしまったジョンを偉人としてでなく、一人の弱さを持った人間として描いているところに共感した。

  • 特定の視点から語られる歴史には様々な検証が必要だと思う。
    そういう事を差し引いて考えても、非常に価値があり、かつ読書欲を満たしてくれる良著であった。

    特に、ビートルズ前夜~ブレイクに至るまでの過程をこの様な視野から語る事は、ジョン・レノンというキーパーソンとプライベートを共に過ごす事ができる関係(家族ではなく)にあった著者でしか成しえないことであるし、成功以前のビートルズのアーカイブとしての価値は大変高いと思う。

    そういう意味では音楽やビートルズに少なからず繋がりを感じる人間であれば、誰もが興味深く読める一冊だと言える。

  • この横顔、なかなかいいでしょう?

    12月8日は、ニイタカヤマノボレの実行日であり、鞍馬天狗のアラカンこと嵐寛寿郎の生誕106年であり、そして、ジョン・レノンの命日です。

    先っきから、ジョンの曲をずっと聞いていて、気がつけば食事のときもお風呂に入る時も途切れさせずに、すでに10時間以上もジョン漬けの時間を過ごしています。

    余計なことですが、平和・反戦活動はともかく、共に音楽シーンでも一緒だったオノ・ヨーコの、声も汚く耳触りでせっかくの楽曲をぶち壊しにしている、その部分だけはとても好きになれず、オリジナル・アルバムでは聞かざるを得ないので、すべて彼女の音を削除した音源を集めた、あるいはデュエット曲では彼女の声だけ消して独自のジョン・レノン全曲集を作って聞いています。

    著者のシンシアは、南沙織の愛称でクリスチャン名じゃなくて、ジョン・レノンの前妻で、1958年高校生のときに出会って4年後に結婚して1968年に離婚した人。

    今まで知らなかった、初期ジョン・レノンとでもいう違った一面に出会えることが大きな喜びです。

  • これはビートルズ、ジョン・レノンのファンに必読の本としてお薦めしたいと思います。

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