あなたに安全な人

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309029979

感想・レビュー・書評

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  • 人に言えない秘密を抱えた女と男。

    息をひそめるように誰とも会話せずに生きている妙。
    便利屋の忍にバイトを頼んでから、困りごとのたびに彼を呼び…
    いつしか、家に泊め、だが感染を恐れるため距離をとる。
    気配をうっすら感じる距離感。
    微妙な空気感。
    息をしているようで、生を感じられない2人の生活。
    どう表現していいのかわからない、もやっとした感じがいつまでも残る。

  • 救いのないような過去をもつ2人の男女が、お互いの過去を見つめ合って、奇妙な共同生活を送る普遍的なお話です。家主である妙の徹底した共同生活の
    ルールには、コロナ禍で生きる人たちの葛藤が感じられました。もしも自分が感染してしまったら、周りの人たちに、どんな目線で見られるのだろうか。
    地域にとっての「感染1号」は、どんな意味を持つのか、コロナ禍での生きづらさを上手く描いている
    と感じました。

  • [著者来店]「あなたに安全な人」木村紅美さん…寄る辺ない人への共感 : 著者来店 : 本よみうり堂 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/raiten/20211122-OYT8T50086/

    尾崎世界観が読む、人生に影を抱えた二人の物語。木村紅美『あなたに安全な人』|Web河出
    https://web.kawade.co.jp/bungei/24872/

    あなたに安全な人 :木村 紅美|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309029979/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      他人との交流さえリスクに 逃げ場ない緊張感で爆発寸前 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
      https://www.book...
      他人との交流さえリスクに 逃げ場ない緊張感で爆発寸前 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
      https://www.bookbang.jp/review/article/719901
      2021/12/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      人を「死なせてしまったのかもしれない」という2人の主人公…木村紅美の最新小説〈週刊朝日〉 | AERA dot. (アエラドット)
      http...
      人を「死なせてしまったのかもしれない」という2人の主人公…木村紅美の最新小説〈週刊朝日〉 | AERA dot. (アエラドット)
      https://dot.asahi.com/wa/2021122300075.html?page=1
      2022/01/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      訳ありげな気配漂うものの…男女のささやかな絆を描く物語『あなたに安全な人』 | ananニュース – マガジンハウス
      https://ana...
      訳ありげな気配漂うものの…男女のささやかな絆を描く物語『あなたに安全な人』 | ananニュース – マガジンハウス
      https://ananweb.jp/news/390359/
      2022/01/10
  • 身近にいた人間の死に、もしかしたら自分が関わっていた「かもしれない」。判然としない過去の事件の記憶に囚われ、他人との関わりと遮断してひっそりと暮らしていた2人の男女が出会い、顔を合わせずに一緒に暮らすという奇妙な関係を育んでいく。
    読みにくい文章だなぁ…とずっとしかめ面で読んでいたように思う。すごく独特な文章。本を読んでいるというか、か細い囁きを聞いているような。男女が交互に語る形式で物語は進んでいくのだけれど、章に分かれているわけではないのと、2人のキャラクターが似ているのとで、あれ今どっちの話だっけ?と何度か戸惑うことになった。でも読み終わったとき、わたしはこの物語が、この静謐で奇妙な文章が、けっこう好きだと思った。誰かにとっては「危険」な人物でも、ある環境、ある人間関係においては相手に安心をもたらす存在になり得る、というテーマには大いに共感した。ちょっとこの作家さん、気になる。他の本も読んでみたい。

  • 第32回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
    自分のせいであの人が死んだわけではない。なのに他人は自分を「人殺し」呼ばわりする。そんな息苦しさを抱えて生きる、無職の独身中年女と便利屋の独身男。コロナ禍、ふたりはひょんなことから女の一軒家で同居をはじめる。

    割り当てられた仏間で過ごす男。二階の自室で過ごす女。顔も見ず、会話もしない。食事も別々に取り、互いの人生には無関心。同じ家にいながら、存在感を感じるのは生活音がするときだけ。

    だが自分を「人殺し」呼ばわりする心無い人より、赤の他人であっても何も言わず受け入れてくれる人のほうが「安全な人」にちがいない。

  • 誰も幸せそうに見えない
    こんな事って・・・

  • そうだ2020年ってこういう感じだった、と思いながら読んだ。
    田舎の閉塞感と新型コロナウイルスが合わさってものすごい息苦しさを感じた。

    妙も忍も誤解されて人殺しだと思われてしまうが、100%自分のせいではないとは言い切れなくて苦しい思いをしている。
    こうした誤解を解くのは難しい。

    本間さんに関しても東京から来たというだけでウイルスを持ち込むのではないかと思われて近所の人から酷い扱いを受けてしまう。
    きっと、2023年の今だったら対応はだいぶ違っただろう。
    引越しのご挨拶用のお煎餅のくだりは胸を締め付けられるような思いがした。

    辛くて救いようがないが現実にあることだと思った。

  • ふむ

  • 人を死なせたかもしれないという傷を持つ元教師と元警備員。コロナ禍のもと、よそ者とみると露骨に蔑む田舎町の様子。一つ屋根の下で暮らすようになっても交流はしないし、互いに感情を押し殺しているからありきたりの展開にはならない。でも自分が罪に苛まれて発狂してしまわないために「安全な人」には側にいてほしいという気持ちはよくわかるのだった。

  • 図書館借り出し

    ロバート キャンベルがラジオ深夜便で紹介しててめちゃくちゃ気になってた
    もうとにかく暗い
    暗いのよ
    すごく冷え冷えする空気が伝わってきた

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著者プロフィール

1976年生まれ。2006年、『風化する女』で第102回文學界新人賞を受賞しデビュー。2022年、『あなたに安全な人』で第32回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。他の著書に、『月食の日』『夜の隅のアトリエ』『まっぷたつの先生』『雪子さんの足音』などがある。


「2023年 『夜のだれかの岸辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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