- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309029191
作品紹介・あらすじ
どんどこ血が脈打ってくる。――北上次郎(「本の雑誌」2021年1月号)まず、この世界を壊せ。話はそこからだ、と作者は言う。――杉江松恋シスターフッド文学をあらゆる意味で刷新するシスターバイオレンスアクション!――鴻巣友季子もう一気に読了して最後はナルホド! と唸った。――大槻ケンヂ友情でも愛情でも性愛でもない、ただ深いところで結ばれたこの関係に、名前など付けられない。――宇垣美里(フリーアナウンサー)
感想・レビュー・書評
-
さらっと読めた。
最後に勘違いしていたことにも気づかされ、楽しく読めました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大矢博子さんがラジオで紹介してたので長いあいだ気にはなっていたのですが、辛口の〇〇さんも「星5つ」の評価をしてたので手に取ってみました。
一言、余分なものを一切排除した超スリムなバイオレンス小説。 -
文藝2020年秋季号掲載のものを2020年10月河出書房新社から刊行。魅力的な登場人物たちと良くできた世界観と卓越したストーリー構成の傑作。ぶっ飛ぶほどのインパクトがあり、どんでん返し的な展開も用意されていて、ハッピーエンドではないものの読後感は爽快。堪能しました。本年度ベスト級の作品です。
-
10人単位のヤクザ相手でも喧嘩では一歩も引かず対抗出来る才能の持ち主、新道依子。冒頭から大太刀周りを演じた末暴力団会長の邸宅に拉致される。報復されるかと思いきや何故か会長の一人娘、尚子のボディーガードを務める羽目に。粗野な姐さんと生意気な箱入り少女の間に生まれる友情物語だと思っていたらそれだけではない関係が生まれ、女である事で起きる理不尽さに喧嘩を吹っ掛ける展開になって痛快。力に力で対抗するシンプルさが疾走感を加速させてあっという間に読めてしまった。話の仕掛けにもきっちりはまってしまった。力が足りなくても、からこそ心にババヤガを棲まわせたい。
-
ババヤガといえば ムソルグスキー『展覧会の絵』の第9曲
鶏足の人喰い鬼婆が闇から姿をあらわす。
https://www.youtube.com/watch?v=tO5p-gNyVlo
暴力ヒロイン新道依子 は まさにババヤガの転生。チャグムを守って旅をするバルサにインスピレーションを得ているような気もするが、バルサよりも本能的で野蛮の極み。
けれども なんの罪もない犬は殺せないという母性も宿す。
その依子が大暴れしまくる........だけの話ではなく、これは尚子の自我の覚醒の話。
異形のフェミニズムですなぁ。
背景には ある種の男どもの思い上がった嗜虐性が描かれる。自覚のないタチの悪い 優性意識の醜さが 舞台照明のように鮮やか。
ストーリーよりも 依子と尚子の揺るがない魂を その誇りを その強さを 堪能する作品。
一気読みできちゃうライトノベルだが なるほど評判になるわけですね! -
良い! 最近、自分の本選びセンサーがビンビンだわ〜。平山夢明『ダイナー』以降、ぶっ飛びバイオレンスの中毒症状が続いていて、この間ライアン・ギャティス『血まみれ鉄拳ハイスクール』があんまりだったので中毒症状に手が震えていました。
昨日の夜、カフェで残業した帰りに買ってから止まらなかった!一気読みで読了。
アクションはもちろんよく描けているし、テンポも密度もハイレベル。守られるヤクザの組長の娘と格闘家女子の関係性が瑞々しくてソウルフル。周りの下衆男達との対比で生き抜く魂の美しさが際立ってとても清々しい読書感。無用なエロを絡ませてくる菊池秀行や夢枕獏なんかの国産バイオレンスより私は断然こちらが好み。
そしてそして、二段階ロケットかよ!のストーリー展開は完全に予想外だった。
口、開いたわ。
すんげー面白かったし、泣いてもーた。 -
依子と尚子。
暴力と孤独が引き合わせた二人の関係は、最後まで名前がない。
名づけてしまえば取りこぼしてしまうものをそのままに物語にしたことが(それはめちゃくちゃ難しいことだと思う)、この作品を唯一無二にしている一つの理由だと思った。
二人を思うと胸が締めつけられる。
一切ネタバレなしで読んでほしい…!