箱の中の天皇

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 165
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309027753

作品紹介・あらすじ

本物の箱は、右? 左? 
マッカーサーから本物を奪還し、
平成天皇に退位の真意を問う。
マリとアメリカの戦いがいま始まる!

感想・レビュー・書評

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  • 天皇退位を問う、マリの物語。「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の二編。
    現在とマリの幻想で物語は流れつつ、象徴としての天皇を考察している。元号が変わるにあたり、華やかな面しか見えていなかったけれど、この本により色々気づきがありました。タイトルの箱というのもそういう意味なのねと。日本人の行方を問う、天皇が変わるまさに今読む、今の本。天皇についてこれだけ書ける小説もないかなあ。

  • 相変わらずつかみどころのない夢幻の連鎖は、難読なだけで感銘を覚えない。

  • 【箱の中の天皇】
    赤坂真理

    「箱の中の天皇」と「大津波のあと」の2つの短編小説が収録されている。前者は現・上皇様の退位に関する「お言葉」の話も絡め、主人公のマリが戦後間もない頃の日本でマッカーサーと関わっていく幻想に入り込んでいく話。天皇制という制度に関する在り方を一人の人間を見つめる目線で投げ掛けている。

    後者は東日本大震災の四年後の福島を舞台に新聞記者の主人公がやはり幻想に入り込んでいき、震災当日の感覚を体験する。後半はほぼ全編が詩で書かれたような不思議な世界観だ。そしてどちらの話も、かつてうまく向き合えていなかった父の存在が根底にある。

    流し読みをしてしまったので雰囲気を味わったくらいなのが正直なところだが、特に後者の話はかなり幻想的に、生と死の狭間で人が見るであろう風景を悲惨な中にも美しく描いていたと感じた。

  • 今書いた勇気。まずそこでしょうね。

  • 中編2編
    表題作はさらっと読めるが,内容は結構深いところをえぐっている.
    「大津波のあと」は流行りの震災ものとはまた切り口が違って,アメリカの黒人の生きづらさなどにも触れている.エレキギターのテレキャスターが核にあるが,これも電気がないとならないという皮肉.でも,全体につまらなかった.

  • 「象徴は、象徴するものが必要です。象徴する統合された国民のかたちが必要です。」という文章があって、平成から令和に改元するときが、こんなに歓迎される雰囲気なのは、これがいま象徴したいことなのかなと、国民のかたちなのかなと、後追いで考えてみたいと思います。

  • 「箱の中の天皇」
    「東京プリズン」の時も思ったけど、攻めるなぁと。
    こういう小説は赤坂真理さんにしか書けないのではないか。
    ちゃんと読めたかどうか全く自信はない。自信がないのでネットで書評を読もうと思ったが、数が少ない上にあまりピンとこない。中島京子さんの読みたいのに何行かしか読ませてもらえない。
    小説の感想にはならないが、この小説を読むことによって、天皇についていろいろ考えた。
    今の天皇が誰にもよくわからない「象徴」という意味を考え、行動、実践されてきたことに対し、敬意を改めて持てた。誰にでもできることではないと思う。
    本来なら私など「天皇制反対」みたいな方に行きそうなのだが、あのお二人を見ていると、全くそうは思えない。よくいてくださった、と思う。
    昭和天皇の戦争責任、という問題ももっともっと議論され続けても良さそうなのに、あのお二人のお姿を見て、なんだか緩んでしまってると思うのは私だけか。
    そして、天皇というのは代替わりをするとモードが変わる、という指摘にそうだよなと思った。
    天皇の「お言葉」を引用しながら天皇の小説を書くって、やっぱりやることがすごい。


    「大津波のあと」
    こちらもちゃんと読めたか全く自信がない。感想難しい。

    2作品とも現実世界と虚構の世界が混じり合って、だからこそ描ける大問題が迫力を持って迫って来る。このままでいいのか!考えろ!立て!と迫って来る。

  • 東京プリズンも個人的には?だったけれど、これは更に???
    感性があわないのかも知れないけれど、登場人物がみんなキチ○イだとしか思えない。

  • うーん、良かったのだけど頭になんか入って来なかった。
    どー感じたら良いのか正直戸惑う。
    でも、なんとなく天皇というものを理解できるもいうか日本人にとっての天皇という物がどういうものなのかが、ぼんやりとわかる気がする

  • 天皇論。今上帝が退位されるこの時期、なんとなく思っていた事を文章で読み、思ってもいなかった事を指摘され、読み終わる頃には、頬を叩かれ目を覚ませと言われたような気分でした。あと一遍は、3.11に関する物語。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。作家。95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙』『ミューズ/コーリング』(共に河出文庫)、『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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