いつか深い穴に落ちるまで

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 713
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309027616

感想・レビュー・書評

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  • 小説だからこそ表現できる非現実感を凝縮したような作品でした。衝撃のラストでした。まんまとやられました。

  • これって史実?って思ってしまっても損はない、なんとも愉快な人生劇場。

    鈴木氏の人間の良さが滲み出ている。
    水泳がこんなところに繋がるとは(笑)

    こんな展開久しぶり、ちょっと元気になれたかも。

  • 非現実的な話が現実的な話と混ざり合って独特な雰囲気の作品でした。

  • 日本からブラジルまで直通の穴を掘る事業の広報部・鈴木一夫の物語り。

    壮大な事業の割に特に問題もなく、そこに焦点はあまり当ててなくて、中心は鈴木の心情。彼の人間性が毒っ気がなくて、何だかほのぼのします。掘り当てちゃった温泉で色々な人と会話をする彼、特に大きな仕事が任されていない広報部の彼、微妙な恋心が描かれる彼、どこを切り取っても嫌いになれないし好感です。行われている事業の大きさと余りにも掛け離れてて笑
    しかも事業のきっかけは「近道だから」

    ラストはシュール、こんなオチなの!?

    正直なところ読み終えた直後はイマイチだったなぁ〜って感想でしたが、ジワジワときますね。振り返ってみたら面白くなってくる一冊でした。
    他の作品も読んでみたい作家さんでした。


    きっかけはあまりに単純で
    掘ってる穴は壮大なのに脱力系

  • 日本とブラジルをつなぐ穴を掘る! 戦後より続く秘密プロジェクト。戦後、焼き鳥屋で穴を開けることを思いついた官僚・山本。対外的には極秘であり、温泉を掘る技術で進められる。その仕事、意思を引き継いだのがサラリーマン・鈴木。広報係としてこのプロジェクトの公表に備えて、資料集めをする毎日。外国からの諜報員・作業員、ブラジルの広報係とのやりとり、そんな交流をしつつ時は流れ、ついに穴は完成する。
    この小説は何と言っても、大真面目にとんでもないことを進めていくユーモアさだ。串を抜いた後の肉の穴を見て思いついたり、「だって、近道じゃありませんか」で続けられていたプロジェクト。技術的な問題を出さないところがいい。そして、水着。なんだろな、発想が面白い。戦後の出来事、鈴木のほのかな恋心も加わり、夢物語の世界、ユーモア、味わえました。

  • 戦時下を生き延び、戦後に若手官僚となって大事業を発案する山本清晴。
    彼の遺志を受け継ぐように、建設会社の社員として事業の推移を記録する鈴木一夫。
    地球の裏側まで穴を掘るという壮大な営みが、勤め人の地道な日常によって支えられている。
    戦後史を貫いて事業は進み、ついに驚くべき結末へと猛スピードで突進する。

  • 最初から最後まで、ほぼ主人公の鈴木さんの視点で淡々と物語が進む。架空の国家事業の進捗と現実の出来事が並走しているので、夢と現実が行き来するような不思議な感覚になる。全150ページで一気に読めた。

  • 鈴木はどんな思いで穴を通っていったのか、気になって仕方がない。せめて希望を持ち続けたままであったことを祈る。

    仕事小説を読んでいていつも思うが、人生をかけて取り組む仕事を私自身していきたい

  • 日本-ブラジル間・直線ルート極秘開発プロジェクトを描いた文芸賞受賞作。ネットで見ても絶賛に近い評価を受けている作品です。
    「地球には灼熱のマグマも無く、ブラジルでは地上から空に向かって重力が働いているらしい。(中略)この作品の『呆気にとられる』ほどの可笑しさを楽しむことといたしましょう。」そんな書評を見て興味を持ちました。
    しかし、私は全くダメでした。
    三崎亜記さんや栗田有起さんのような突拍子もない設定の作品は大好きなんですけどね。なぜでしょう。
    地球の構造や重力などの物理法則を無視するだけでなく、色んなエピソード、例えば広報するあてもなく、プロジェクトの中身を見せてもらえない広報係、そんな広報係に接触する海外の要人やスパイ、そういったもの全て必然性が無く。まあ、それがこの本の特長である「真顔のユーモア」「壮大なホラ話」なんでしょうけど。「なんで??」ばかりに頭が行って、笑えませんでした。やっぱり私は基本理系頭なんですかね。

    ちなみに、この本を借りた時に「これは私が読まなきゃいけない本でしょう」と家内にタイトルを見せたら爆笑してました。常々家内が言うのです。「あなたは私が堀った(結婚と言う)深い穴に落ちゃったんだから観念しなさい。」と。

  • 個人的にはそこまでハマらなかった。穴を開けて日本からブラジルに飛ばすところの発想力はめっちゃ面白いと思ったけど、終わり方を含めてスカッとしなかったかなあ

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著者プロフィール

1975年、福島県生まれ。宮城県育ち。東京大学文学部独文科卒業、同大学院修士課程修了。2018年、「いつか深い穴に落ちるまで」で第55 回文藝賞を受賞。他の発表作に「孤島の飛来人」「恐竜時代が終わらない」などがある。

「2023年 『こんとんの居場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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