- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309025940
作品紹介・あらすじ
日航機123便墜落事故原因に迫る新事実!
この事故は「事件」だったのか!?
1985年8月12日。日航ジャンボ機123便は、なぜ御巣鷹の尾根に墜落しなければならなかったのか──。
「この出来事を風化させてはならない。」三十三回忌を前に、その情熱が生んだ、真相究明に一石を投じる渾身のノンフィクション!
当時、生存者の一人である日航客室乗務員落合由美さんの同僚であった著者は、この「事故」に今なお疑問を抱き、数々の目撃者の証言をもとに真相に迫っていく。
前著からさらに探査の精度が深まり、頁をめくるごとに次々と新事実が明らかになっていく迫真の展開力で一気読み必至!
感想・レビュー・書評
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【感想】
書いてある内容は、陰謀論の域を出ない。
本書では、日本航空123便墜落事故が「事故ではなく事件だった」と仮定し検証を行う。
羽田空港から離陸した123便に対して、相模湾内で軍事演習をしていた際の対空誘導ミサイルが誤ってジャンボジェットを追尾、そのままぶつかって上野村周辺で墜落。ボーイング社からは「圧力隔壁の修理ミスによる事故」と発表されたものの、これは日米軍のミスによる人災を隠蔽するための報道だった、という内容だ。
同じような陰謀論は事故当時から繰り返し見られ、特に原因が判明するまでの間は根も葉もない憶測が飛び交ったが、事故調では後部隔壁付近で内部から破壊されたと報告がある。また、相模湾を通過する高度でミサイルが直撃したのであれば、機体が御巣鷹山に不時着するまで持たない(ミサイルの衝撃から空中でバラバラになる)。そもそもミサイルで撃墜したのなら、それを隠蔽してアメリカのボーイング社に罪をなすりつける理由が不明であるなど、多くの状況証拠が「ミサイルはあり得ない」と示している。検証そのものは面白いが、本気にしないように注意しよう。
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【まとめ】
1 123便墜落は本当に事故だったのか?
日本航空123便墜落事故は、圧力隔壁修理ミスが事故原因だと公式発表されている。しかし、他の類似する航空機事故の事故原因と比較検討をしても、辻褄の合わない部分が多く、専門家の間でも多くの疑問が生じている。
いまだに遺族や関係者の中で「後部圧力隔壁修理ミス」という事故原因に納得をしていない人がいることに、私たちは向き合わなければならない。そして日々操縦桿を握り世界中の空を飛んでいるパイロットたちによる日本乗員組合連絡会議(ALPAJapan)でも、そのホームページで事故調査報告書と説明書の多くの矛盾点を指摘し、政治的決着を優先することに対して意見していることを知らなければならない。
2 当時の機内状況(筆者の推定)
123便の乗客数は509名(日本人487名、外国人22名)、そのうち日本人は大人が432名、子どもが43名、幼児が12名で、ビジネスマンやお盆の帰省客でほぼ満席状態であった。
123便は定刻よりも12分遅れて、18時12分に羽田空港を飛び立った。シートベルトサインがオフになる頃、56H・Kに座っていた小川哲さんの娘の知佐子さん(10歳)と妻の昌子さん(41歳)が、窓の外に何か変なものが見えると言っている。妻と娘が指差す方向を見ると、何やらオレンジ色のような物体が近づいてくるように見えたので、哲さんは写真を撮った。
18時24分35秒に、ドドーンドンという衝撃音と、Eコンパートメントで「パーン」という高めの音がした。非番で乗り合わせていた客室乗務員の落合ASは、ピストルを撃ったように響く音だったと証言している。その後「緊急降下中」というアナウンスとともに酸素マスクが降りてきた。
18時30分を過ぎた頃から徐々に降下してきた飛行機は、ゆっくりと左右に大きく旋回しているような動きとなった。スローな動き方で左右に大きく傾く。右側に大きく傾いた時、R4担当の波多野SSと、同じクルーシートに座る宮道令子ASは、窓の外に高速道路や新幹線の路が見えるほど低い高度であることに気付いた。「まもなくどこかに着陸するのかもしれない」と、二人は顔を見合わせた。担当区域の乗客に対して、ライフベストの着用を開始するよう指示した。
次第に揺れが大きくなって急降下する中、安全姿勢をとるようにスチュワーデスたちが次々と叫び始めた。「足首つかんで、頭を膝の中に入れる!全身緊張!頭を下げて衝撃に備える!頭を下げて、頭を下げて、全身緊張!」それぞれの客室乗務員が発する大声が、機内に響きわたる。
18時56分26秒、墜落。
機首から尾根に激突した機体は、下に向かってひっくり返って4つに分断され、生存者がいた最後尾Eコンパートメントだけが、乗客の背中側から後ろ向きに山の斜面を滑落していった。
3 事故ではなく事件――新証言の数々
・9月7日の時点では、墜落原因が「後部圧力隔壁の修理ミス」と報道され、ボーイング社も修理ミスを認めていた。にもかかわらず、当時日航社長の高木氏が、「中曽根総理に会ったら殺される」と怯えていた。
・日航が、身元確認が終わっていない遺体をさっさと荼毘に付そうとしていた。
・警察から「事故原因を追求したら(アメリカと)戦争になる」という言葉が出てきた。
・事故原因を米国側が意図的に先出しした。
・1月22日に、ボーイング社、日航、運輸省関係者全員が不起訴処分となった。
・当時の社内関係者の間では、事故原因が公式発表と異なると噂されていた。音がした後の機内を写した写真を見ると、事故の原因である「急減圧」があったようには見えない。また、写真には窓の外に航空機(もしくはミサイル)と思しきオレンジ色の物体が写っている。
・事故当日、首相を飛び越えて、防衛省が勝手に米軍とやり取りをしていた疑惑が持ち上がっている。
・地上から123便を目撃した人物が、「超低空飛行をしていた」「機体に真っ赤な跡があった」「ジャンボジェットのすぐ後をファントム二機が追いかけていった」と証言している。
・群馬県の上野小・中学校の生徒達の多くが、「墜落前に二機のジェット機を見た」「墜落前に稲光のような閃光と大きな音を見聞きした」「飛行機が追いかけっこをしていた」と証言している。
・墜落場所は上野村と特定できていたにもかかわらず、テレビやラジオでは場所不明または他の地名を放送し続けていた。
・すぐ救助に迎えるようスタンバイしていた第一空挺団が、翌朝まで待機するよう命令された。
・遺体が炭化するほど激しく燃えていたが、ジェット燃料のケロシンは灯油と同じ成分であり、燃焼力は強くない。長時間燃えるような物質はガソリンとタールを混ぜて作ったゲル状燃料であるが、これは軍用の武器に使われている。
・この事件を担当した山口悠介前橋地検検事正自身が、「圧力隔壁の修理ミスによる事故かどうかは疑わしい」と見解している。
4 真相究明に向けて
32年間、墜落に関する新聞記事等の膨大な資料を、現在から墜落時まで時系列にさかのぼって読み込んでいくと、これは未解決事件であるということが見えてくる。後から次々と重要なことが判明しても再調査はしない、無視をする、という方針を持ち続ける運輸安全委員会の姿勢もさることながら、何かを隠し通すことが美徳であるという勘違いによって、嘘が突き通されている。
墜落現場がわかっていたにもかかわらず、人命救助をせずに一晩中隠蔽工作を行った理由。それは人命救助よりも大切な何かがあったからだ。
真相には、ジャンボ機の腹部左側に付着した円形状の赤い物体が関わっている。これは、ミサイルなのではないか。赤い破片(ミサイルの痕跡)を消すことを再優先にして人命救助を後回しにしたのではないか。
高浜機長はミサイルが当たった垂直尾翼の状況を知って、横田基地に着陸することは非常に困難だと判断したのかもしれない。横田基地は軍の施設であるから、巨大な輸送機も着陸可能なように滑走路が長い。万が一の場合もケロシン用の消防車や航空関係の医療設備もあり、あらゆる対応が可能である。しかしその選択を妨げる理由があったと考えるほうが、筋が通るのではないか。
早稲田大学の学生は、当事件へのレポートを次のように記している。
「(略)アメリカ側の異例な対応の早さは、何か重大な過失がアメリカ側にあるのではないかと疑うことができる。(略)これら日米両国の対応に疑惑が生じる。アメリカ側の不可解な行動、外からの強力な衝撃、事故時に自衛隊が海上にいたこと。これらを考えると、日米軍の軍事訓練中における、ミサイルなどの試運転中に、それが飛行中のジャンボジェット機123便の垂直尾翼に命中し、墜落事故となってしまったとは考えられはしないだろうか。(略)」
そして、もしこれが事実であるならば、「日米の関係が崩れることを恐れて墜落原因の真相を闇に葬ってよいわけはなく、日米両政府は真実を知りたい人々の気持ちを絶対に裏切ってはいけない、真相を語らないのであれば国民が国家を裁いていく必要性もあるのではないか」と述べている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今まで何の疑いもなく信じていた事故原因や当時の救助状況などに対して、なんと自分は薄っぺらな情報を鵜呑みにしていたのか、心の奥底がかき乱されました。
世界最大の犠牲者を出した日航123便墜落事故。当時のことはよく覚えています。墜落現場からも離れており、事故に逢ってしまった方々とも何の関わりのない、ただの中学生だったわたしにも、その事故のニュースは衝撃的で悲しいものでした。
ヘリで救助された女の子の様子。飛行機の中で残した家族への言葉を書き記した震える文字。最後まで乗客を守るために仕事を全うした乗務員たち。飛行機の残骸が散らばる御巣鷹の尾根。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
元日本航空客室乗務員の青山透子さんは、最期までスチュワーデスとしてのプライドをもって仕事を全うした先輩方のために、あの日の真実へ辿り着こうとされています。どうして死ななければいけなかったのか。永遠に答えの出ない問いがどれだけ辛いことか……先日、そんなことを考えていたことが蘇ってきました。
内容はとても衝撃的でした。当時の首相の態度をはじめ、自衛隊や米軍そしてメディアの対応など。何かがおかしい。何かを隠蔽しようとしている。本当はもっと沢山の命が助かったのではないだろうか。これは決して事故ではない、事件だ。そう思えてきます。もちろん、これが本当に真実なのか、それはわたしにはわかりません。けれど、この本には青山さんの執念と青山さんの見つけた真実があることは確かです。
真実は必ず存在して、たった1つしかないはずで、その真実を知る人が本当は必ずいるのです。それが表に出てこない理由の陰には、大きな力が働いているのではないか。青山さんは目撃証言を集めた結果から、衝撃的な事実へと迫っていきます。沢山の目撃証言をコツコツと集められ、内容を精査し、事実を積み重ねていきます。事実を突き止めていくと、そこには亡くなった方々の無念、残された方々の悲しみ、乗客を救うために望みを捨てずに行動したであろう機長をはじめ乗務員たちの責任感。そんな心揺さぶられる感情が、わたしには見えてきて、何度も涙が出てしまいました。
この事件の真実を語ってほしい。それが亡くなった人々への償いになり、そして残された人々への未来へと繋がる……そう思えるのです。 -
これは もぅ一級の資料です。
都市伝説 云々 言われる事が多い事件ですが いずれ真実が明らかになるように 風化させてはいけないですね。 -
1985年8月12日。
日本航空ジャンボ機123便が、東京羽田空港を離陸して大阪伊丹空港へ向かう途中、突発的非常事態に陥り、群馬県多野郡上野村の山中に墜落。
乗員乗客524名のうち生存者はわずか4名。
史上最大の航空機事故となってしまった。
この事故当時、私はまだ高校生。
その後、「沈まぬ太陽」(山崎豊子著)や「クライマーズ・ハイ」(横山秀夫著)を読んでの断片的知識はあった。
友人が感想を投稿し、また是非にとすすめられたこともあり手に取った。
そして、事の本質について何もわかっていなかったことを思い知った。
著者は日本航空の元客室乗務員。
この事故で、多くの同僚を失っていた。
「圧力隔壁修理ミス」が事故原因だと公式には発表されていたが、本当にそうなのだろうか。
陰謀論や憶測も渦巻く中、その原因にはつじつまの合わない部分が多い。
「私は当時を知る客室乗務員として、また、単独機として世界最大の航空機事故を起こした日本航空の関係者として、不明な点を明らかにしなければいけない、という責任感にかられた」
綿密な取材、わかりやすい記述、そして真相を明らかにしようという執念が、「隠されていた真実」に迫っていく。
突然の出来事に、無念の中で愛する家族への思いを綴った乗客。
自身が生命の危険にさらされる中、最後の最後までプロとしての職務をまっとうした乗務員。
地元の小中学生たちの事故を目撃した当日の文集。
その中で、明らかになる日航機を追尾していた2機のファントム機の存在。
機体の左腹部にみえた赤い物体。
その目撃者は機体から発せられた悲鳴にも近い「キャーン、キャーン」という高音が忘れられないと語る。
「助けてほしい」という心の声を聞いた気がする、と。
「これは事故ではなく520名が亡くなるという事件であった可能性が非常に高い」(巻末の「謝辞」より)
この「事件」の33回忌に「天空の星たち」に捧げられたこの書が、一人でも多くの方の手に取られますよう。
そして著者の、関係するすべての方々の努力が実り、真実が明らかになることを祈ります。 -
【星:3.5】
520人の被害者を出したあの大事故について、著者独自の調査から真の事故原因はミサイルによる追撃ではないかとの見立てを示す。
あれだけの事故の公式な原因究明についてこれほどまでに疑義が残っているということに驚いた。
これらの疑義から出す著者の見立てがどれほど正しいのかは分からない。
ただ、あの大事故について調べ尽くされていないということを感じざるを得ない。 -
2019年102冊目。満足度★★★★☆ 事故原因は公式発表されたものと違うことは明らかとの心証を得た。続編も読むつもり。
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法律家でいうアナザーストーリーが書かれている。
ある程度固い証拠に基づいて論じているが、事件の特定までは至らない。
少し感情的なところが見受けられるのがたまにキズ。 -
墜落事故当時はまだ生まれていなかったので特集や特番などでないと知ることができない世代です。
元スチュワーデスからの見解というか意見を知ることができました。
ただこの人は外的要因を元に語るばかりのようでつまらないな、と思いました。
もちろんその可能性を否定するつもりはありません。