囚われの島

著者 :
  • 河出書房新社
2.62
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本棚登録 : 135
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025773

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な吸引力がある。

    文字を読んでいるという感覚が薄れ、代わりに耳を澄ませ、そこにあるものに目を奪われる。

    襟元で、ちり、と鳴る鈴の音、ゆっくり外されるサングラス、剥き出しの瞼。思わずどぎまぎしてしまう。

    過去か幻想か、暗闇の中で無限の記憶を再生し、やがて訪れる死は新しい命なのだろうか。

    美しかった。でもやはり悲しくて自分の内に怒りを発見する。

  • 新聞記者の女性が主人公。バーでピアノを弾いていた盲目の調律師と知り合ったことから、彼女の人生が大きく動いていく。三部構成で、一部と三部は同じ時代・登場人物、二部は時代も登場人物も異なるが、一部と三部に関わる重要な話である。が、読後にそうだったのかと気づく程度で、読んでいるときはこの二部の意味がよくわからなかった。さらに三部では、登場人物の状況が大きく変化していて戸惑う。全編を通じて養蚕、神話がモチーフとして取り上げられているが、最後はファンタジー寄りになってしまっているようで、一部との違いに違和感を感じた。

  • 読みにくかった。著者は谷崎信奉者なのかしら?

  • 2018.3.3市立図書館
    読みはじめて、ちょっとおもしろくなってきたところで返却期限…気になる。

  • ううーん、蚕の妖しさは伝わるけど、ストーリーは全然伝わってこない。特に後半はクエスチョンマークが頭の中で踊りまくってた。

  • 蚕・養蚕をキーワードに話が展開する。
    「一代雑種」という言葉ははじめて聞いて興味深かった。

    ストーリーは、奇怪だ。
    謎めいた登場人物によって、一見普通な登場人物があらぬ世界に引き込まれていく。
    引き込まれないためには、良い意味で無視することが重要だと言いたいのか。

  • 閉塞感漂う村、忌むべき因習。
    全体を覆うどんよりした雰囲気。
    現実と幻想の境が曖昧な物語。
    特に後半の想念だだ漏れ続きは辛い。

  • 初出 2016年「文藝」

    「徳田は何者なのだ?」 みんなそう思うだろう。

    1(章)では新聞記者の由良が盲目の調律師徳田と出会って惹かれ、月夜に舟で島へ行く(女が舟で島に来る)という昔から見ていた互いの夢が繋がっていたことを知る。由良は養蚕の取材を進めていたが、徳田は部屋で蚕を飼っていた。

    2(章)は由良川沿いの蚕都と呼ばれた村(綾部?)での養蚕の盛衰が描かれ、河口沖の神島の社に妊婦が舟で「お許し参り」に行く習慣があり、村の養蚕を廃業する時には、一番の飼い手みすずの幼女すずなが神(洪水を防ぐために社に閉じ込められた盲目の男の子)への供え物として送り込まれた。

    3(章)で1(章)と2(章)が繋がる。
    由良は失踪して徳田の部屋に住み、徳田はいなくなる。盲目となった由良の意識は、彼女から抜け出し時空を越えてすずなが自分で、蚕に体を食われるという奇怪な真相にたどり着く。

    十分怖い物語だが、緑内障のために薬で遅らせても徐々に視野が欠けつつある私には、見えなくなる恐怖も味わった。

  • 千早茜の「夜に啼く鳥は」を思い出した。ストーリーは全然違うけど。
    由良の目が見えなくなって徳田(名乗ってないが多分)の目が開いたのはどういうことなんだ。

  • 後半の引力が凄かった。
    読後感は微妙。

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著者プロフィール

1978年福井県生まれ。「舞い落ちる村」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「囚われの島」で野間文芸新人賞候補。「鏡のなかのアジア」で芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

「2019年 『文学2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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