世界一ありふれた答え

著者 :
  • 河出書房新社
3.37
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本棚登録 : 176
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025094

感想・レビュー・書評

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  • 「みんな同じなのよ。特別じゃなくていいの。それを感じることができればあなたは自由になれる。」(157ページ)

    怒りと失望で、己の価値を見失った主人公。
    人と自分に真剣に向き合うことで、
    前進しようと足掻く物語り。

  • 2冊目の谷川直子さん。
    人が「治る」ってこういうことなんだなぁと。
    世界が外に開く瞬間みたいなものが丁寧に描かれている。
    この人の書く文章はなんだか独特。
    何が独特なのかわからないけど。
    なんだろうぁ、この感覚。

  • もしかしたら、読んだことあるかもしれないなーって思いながら最後まで読んだ。
    ハッピーエンドである。
    まあ、良かったね。
    誰も死なない誰も死んでない小説はつまらないな。

  • 劣等感と戦ってた私にとってベストタイミングで出会えた本。

  • 同じだからこそ人は違いにこだわるけれど、すべての人の共通点は生きているという事で、違いなどない。人は皆、同じなのだと理解し、自分が取るに足りない存在であることを認めた上で、人と違う事をし個性を発揮する。それが重要なのではないか。
    世界一ありふれた答えはとてもわかりやすいのだけれど、忘れてしまう時もある事。才能や権力、何かしら人と違うものを持っていると自覚している人は余計に。

    ありふれた答えに辿り着くためには、セリナとカノンの存在は不可欠だったと思えるので、二人の登場はもっと早いか、もしくは多くても良かったのでは。

    人生はいつからでもやり直せるという。絶望を乗り越える事が出来たらその先に幸せや希望があるのだと。理屈や頭で理解している事と心は別だから、それにはまず今の自分を受け入れなくては。

  • 薄い本だった。
    本自体もページ数が少なくて薄いし、文字が大きくて子供でも読めるくらい。
    内容はそれ以上に薄くてふわついているイメージの本だった。

    主人公は政治家の夫と別れ、それがもとでうつ病になった女性。
    彼女は心療科か精神科に通っていて、そこでピアニストの男性と出会う。
    彼もうつ病でピアノが弾けなくなっていた。

    私はうつ病になった事はないし、精神科や診療科にかかった事もないのでよく分からないけど、主人公のかかっているカウンセラーってどうなん?と思った。
    患者さんに自分の意見をバンバン言うし、それもダメだしばかり。
    これじゃ、良くなるどころか悪化するんじゃないかと思う。
    しかも、「~べき」なんて言葉を軽く使うあたり。
    主人公はカウンセラーの対応に落ち込みながらも通い、その口調をまねてピアニストの男性と会話したりしているけど、そういうのに「うーん・・・」となった。
    そして、後半のとってつけたような出会い。
    貯金がなくなるのが不安で働かないと・・・と言うと、ピアニストの男性がここでバイトしてくれと言ったり・・・。
    設定がとってつけたような感じで、私からするととにかく現実味の薄い話だった。
    この本を読む前に、ずっしりした本を読んだので余計にその印象が大きかった。

  • 議員の夫のために生きてきたのに、離婚することになって裏切られた気持ちの元妻、ジストニアという病でピアノが弾けなくなった天才ピアニスト。ともにうつ病と診断され、苦しい日々の中に答えを見つけようともがいている。自分がカウンセリングを受けているような気持ちになりながら、答えは自分の中にあるんだと改めて感じた。
    終盤の母子の登場から物語が一気に加速して、とても温かい気持ちで読み終えた。

  • ジャケ買いだったし
    どうしても読みたいわけでもなかった。
    でも読み始めたら最後まで読み終えるのに
    時間はかからなかった。

    心の中のもやもやは
    病名がつく、つかないに関係なく
    いつも自分を支配し続ける。

    傷を舐めあいたいわけじゃない。
    知った気になんかなってほしくない。

    誰かのしあわせを願う気持ちの
    なんと尊いことか。
    自分以外の誰かのための時間。祈り。

    生きようとするとき、そのエネルギーの源は
    『誰かへの想い』なのかもしれない。

  • 丁寧に書かれたレポートを読んでいるっていう印象。

  • 同じ病の苦しみを持った二人のお話なんだけど、とても静かな、色でいうと水色の時間がずっと流れていた。
    まゆこのアラベスクの曲のイメージだからかな。
    読みながら、頭にアラベスクが流れていた。
    ピアノを練習し、少しずつ氷が溶けていくように変わっていくさまが良い。ずっと平坦に進む感じが、親娘との出会いで流れが速くなる。
    最後のセリナのアラベスクは良かったな。
    ずっと重い小説を読んだ後だけに、少し気持ちが軽くなれた。

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著者プロフィール

1960年、神戸市生まれ。2012年『おしかくさま』で第49回文藝賞を受賞。他の著書に、小説『断貧サロン』『四月は少しつめたくて』、エッセイ『競馬の国のアリス』『お洋服はうれしい』などがある。

「2016年 『世界一ありふれた答え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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