- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309022574
感想・レビュー・書評
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古井由吉のあの身体感覚を細密に言語化した文章はどこから出てくるのだろうと、『沓子』以来、気になっていた。それは、作者自身登山を好み、よく体を動かすからだろうと踏んでいたが、本書を読んでまた、頸椎や眼など体をよく壊したからだろうとも気づいた。じっと、一所に無理から留まることで見えて来ることがある。
幼い頃に空襲から逃げ惑った記憶と、後年の入院。この、いわば動と静の、両極端の経験を、時を隔てているとはいえひとりの人間がすることには、どこか狂気を招き寄せるようなところがある。しかしこの経験は、作者のみならず多くの同年代の人々がしているはず。長命であるはずの身内が次から次へと亡くなってゆくうちに、ひょっとして作者は、自分ひとりは何とか死に傾くところを堪えて、死者を代弁せねばという使命感すら感じはじめたのではないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古井氏のそのものずばりの自叙伝.半は要らないのでは?その時々の世相と共に作品の成り立ちや病気のことや家族との何やかやが,スッキリした簡潔な文章で述べられていて,その時々の感じたことどもも含めてしみじみとさせられました.
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古井由吉氏「半自叙伝」、2014.3発行です。半自叙伝と創作ノートから成ってます。半自叙伝は先日読んだ「人生の色気」(2009.11)とほぼ重なっています。著者のこの本の重点は後者に置かれたものと思います。著者の創作に関する日記、思い出が縷々記されてますが、私の心にはあまり響かなかったです。相性がよくない作家さんだと感じます。これでお別れにしたいと思います。
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古井由吉さんについては競馬のエッセーと「円陣を組む女たち」という短編集、「楽天記」という長編を買って読んだぐらいです。
ドイツ語の先生から作家へ転身したとありずいぶん高尚な人なのだろうと思って作品を読むときは余計に身構えていました。この本を読んで古井由吉さんの作品をもっと気軽に読めるようになったと思います。それだけでも収穫になりましたね。(にゃ) -
前半の「半自叙伝」は「自撰作品」の月報、後半の「創作ノート」は「古井由吉作品」の巻末に書かれたもの。
「自撰作品」を読まずに帰ってきてしまった。地元の図書館にはナイ…ちなみに安部公房全集もナイ。嗚呼。