ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299033895

作品紹介・あらすじ

「いちごの名前が盗まれた!
生み出す者、守る者、奪う者。
三者三様の熱き戦いに涙。」--永沼よう子(弁理士)

第20回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家、受賞後第一作は「いちごの名前」が題材です!
特許権を盾に企業から巨額の賠償金をふんだくっていた凄腕の女性弁理士・大鳳未来。今は「特許権などの侵害を警告された企業を守る」ことを専門に東奔西走している。
宮城県の久郷いちご園では、久郷出身の大学研究員・初田優希が、新品種“絆姫(きずなひめ)”の開発に成功。さらに世界的なパティスリー「カリス」に気に入られ、クリスマスケーキに使用されることになった。しかし出荷前日、大手商社の田中山物産より「『絆姫』という名称は当社が持つ商標権を侵害している」との警告書が届いたのだ。カリスからは、名称変更せずに速やかに解決すること。もしくは全被害額を支払うよう宣告される。いったいどの段階で名称が漏れたのか--。
分が悪すぎる状況のなか、クリスマスは刻々と迫り、大量のいちごは出荷できない--。
追い詰められた未来は驚天動地の勝負に出る!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2冊目だったのを気づかずに読んでしまった。。。

    ちょうどドラマで「それってパクりじゃないですか」を見ていたので知財に馴染みがあったのが良かった。それにしても知財は恐ろしい。

    ミスルトウの事務所指針ゼロ、話の流れも重なって体が震えるほどじんときた。

  • 弁理士・大鳳未来シリーズ第2弾。

    商標登録について勉強になりました。前作同様、法律の部分は難しいですが、話のテンポは早く面白いです。

    そして、思いもつかない方法で巨悪を追い詰めるのは痛快。エンタメとしてとても面白いです。

    とても美味しそうな描写で、イチゴ狩りに行きたくなりました。

    シャインマスカット問題は知らなかったです。

  • 弁理士・大鳳未来が活躍するシリーズ第2弾は、岩手のイチゴ園が新開発した極上のイチゴを出荷しようとしたところ、大手商社から商標権侵害で警告を受けてしまった、という知財事件。

    商標権の先取り(横取り)ビジネスで儲けようと企んだ商社は、イチゴ農家達に知られないよう密かに商標権を取得していた。なんと悪どい! 対抗手段がない中で未来が考え出した奇策とは…。

    あっと驚く結末で、前作よりも面白かったな。

  • このミス大賞「弁理士・大鳳未来」の続編。
    前作ではVtuberを題材にしていたが、本作はイチゴ。
    たかがイチゴかと思うが、近年イチゴやブドウなどの商標権が海外で勝手に使用されていることが問題になっている。
    今作では東日本大震災で被災した宮城の架空の街・久郷で作られた新種のイチゴ「絆姫」の商標権が、大手商社により取得され、出荷間際に警告書が届き、大事なイチゴの出荷が出来なことにより、イチゴ農家さんたちが追い詰められていく様子が描かれていく。
    せっかく、心をこめて作り、震災で散り散りになった人たちの絆を取り戻したいと願う農家の人々の願いを金儲けの為だけに商標権を囲いこもうとする企業との対比が見事に描かれていたと思う。
    商標権を無効にするのは、かなり難しいと思われたが、今回もあっと驚く方法でクライアントを救った未来にあっぱれ!
    多分、モデルになった宮城県の亘町辺りを走っていると、新しいビニールハウスが目に付く。
    震災前は気付かなかったが、昔からイチゴの生産を行っていたのだろう。
    あまおうやとちおとめが流通のほとんどを占めていて、なかなか宮城産のイチゴに出会うことはないが、今シーズンは見つけたら、絶対買おうと思えたぐらい、イチゴの描写も絶妙。
    そして、国内だけでなく、外国で横行する商標権問題が解決し、一人でも多くの農家さんが救われますように・・・

    あまり比較してはいけないと思うけど、同じ「このミス大賞受賞」であれば、2期続けてテレビドラマ化された作家さんより、こちらの作家さんの方がよっぽど面白いし、為になる。
    シリーズ化期待しています!

  • 庭でイチゴを育てていてもうすぐ収穫が始まるので、ウキウキしていたところ表紙のイチゴにみとれてしまい読むことに❗
    まず、弁理士と言う資格知らなかったです…本を読むことによって知らない世界を体験出来たり色々知ることが出来て、やっぱり読書って良いなって思えました。
    南原詠さんの作品は初めて。どうやら本作はシリーズものの2作目みたいです。1作目読もうかな。いちご農家を守るために大鳳未来のとった策は、痛快でそうきたかーっとかっこよさと優しさに溢れていました!映像化したら面白そうだし、色々勉強にもなりそうだなーっと思えた作品でした。

  •  知的財産権に関わる業務全般に通じたスペシャリスト。それが弁理士だ。
     その弁理士の活躍を描いたお仕事サスペンス。シリーズ2作目。

     特許権侵害を盾にひと儲けを企む悪辣なパテントトロールからクライアントを守るのは、元パテントトロールの大鳳未来と姚愁林。2人が共同で立ち上げたのが、ミスルトウ特許法律事務所だ。
     ミスルトウには今日も難しい依頼が持ち込まれ、未来たちの東奔西走の日々が始まる。
             ◇
     今回、未来が受けたのは、宮城県久郷村のいちご園からの依頼。

     東日本大震災の被害からようやく立ち直り、新品種のいちご「絆姫」の開発に成功した久郷村。「絆姫」は世界的にも有名なパティスリー「カリス」のクリスマスケーキに使われることも決まり、初出荷を待つだけになっていた。

     だが、出荷直前になって大手商社の田中山物産より「絆姫」という名称は商標権侵害だとの警告書が届いた。
     出荷すれば商標権侵害で訴えられ、出荷できなければカリスから違約金を請求される。

     計画的な商標ビジネスを仕掛けてきた田中山物産の戦略に隙はなく、さすがの未来も万事休すかと思われたが……。

     本編5章とプロローグおよびエピローグからなる。

         * * * * *

     2作目もとてもおもしろかった。お仕事小説としてもサスペンスミステリーとしても、実によくできた作品でした。

     しかし、使いもしないのにかたっぱしから商標登録しておいて金儲けを企む連中って、良心が痛んだりしないくだらない人間なんだろうな。転売ヤーと同じく人のフンドシで相撲を取るような、生きている価値もない屑どもだと腹を立てながら読みました。
     本作の田中山物産の面々も憎々しげに描かれていて、まるで時代劇に出てくる悪党みたい。

     だから、未来が田中山物産の悪者たちに引導を渡すクライマックス。これも定番時代劇のようですっきりしました。

     ただし未来には将軍や前の副将軍のような地位や権力がない。持っているのは知識と頭脳のみ。それだけに今回の離れ業には見事と言うしかなく、ほとほと感心しました。

     作者の南原さんは本職が弁理士だけあって、そのあたりの筋立てはさすがで、思わず嘆息したほど。知的財産権や弁理士の仕事についての説明も端的でわかりやすかった。素直にリスペクトします。

     続編にも大いに期待していますが、姚さんの活躍もぜひ描いて欲しい。未来以上に゙敵に容赦なさそうな姚さんを見てみたい。

  • 夫が発明を趣味にしていて、多少は聞きかじり程度の知識は持っているつもりだ。便宜上、私名義で特許申請された商品もあるので、弁理士が主人公となるお仕事小説に興味を抱いた。韓国や中国に日本のイチゴやシャインマスカットの種苗が流出して、損害を被った話をニュースなどで知っていたが、本作で説明された程の詳しい専門的なことまでは理解できていなかった。難しくつまらない部分はすっ飛ばして、どんな手腕で未来がこの急場を凌ぐのかという一点だけで読了。
    結末は「えっ!?」
    主人公・大鳳未来の人柄は前作にたぶん書き込まれていたのだろうけど、本作を読んだだけではいちご大好きしか伝わって来なかった。19回”このミス大賞”を受賞した新川帆立さんの『元彼の遺言状』で活躍した剣持麗子、『倒産続きの彼女』の玉子のキャラは伝わってきた。お仕事小説であっても、魅力ある主人公でなければ面白さが半減する。残念ながら、私が共感できる未来ではなかったということだろう。
    それにしても、特許に関して日本の作る側の脇の甘さには驚く。製品や商品開発には惜しみない努力と研鑽を注ぐのに・・・。歯がみしたくなる。日本の名だたる学者や研究者たちが日本を去っていくのも分るよなぁ~。マインドだけでは戦えないのに。

  • 前作に引き続き面白かった!弁理士は身近ではないけれど分かりやすく、スピード感もあり一気に読みました。解決策もなるほど〜と感心!

    田中山物産もコソコソと権利を盗み取るような真似はしないで、正々堂々と商標を海外から守るビジネスをすればいいのにと思ってしまいましたが、そんなにうまくいかないからこうなったのかな…?


  • 弁理士 大鳳未来 第二弾

    イチゴ『絆姫』をめぐった
    弁理士 大鳳未来の奮闘話。

    前作の『特許破りの女王』では、
    才気溢れる型破りな弁理士・未来の
    華麗な活躍とスーパーウーマンぶりが
    爽快な印象のお話でした。

    今回は未来の思いがけない可愛らしさや、
    戦い方に悩む人間らしい一面が見えて
    主人公に愛着を感じさせられました。

    完璧ではない法律。
    その隙間を縫って利益を得ようとする人間から、
    努力を重ね苦労の末にやっと見出した成果を
    守ってくれるものが法であり、
    先生と呼ばれる業に就く人であってほしい
    そんな風に感じました。




  • 新川帆立さんを読んでから急に法律ミステリーに興味を持ち始めました。そこからこの本を読んだのですが、とても勉強になるとともに、結末はわかってるのにスカッとした気分になりました。
    ブランド化が当たり前となった現代ではモノを作ったと同時に名前についても慎重にならなくてはならないのだと思いました。
    最近、うちの会社ではコロッケの定義について揉めたことがあります。中身の配合によってコロッケと名乗ることができないので、結局のところ商品案は没になりました。
    本書では絆姫というワードについて論争が起こっています。それにあたり、商標権と品種登録にはどんな違いがあるのか、何を持って名称を獲得してるのか知ることができました。

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