あなたを愛しているつもりで、私は――。娘は発達障害でした

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299019868

作品紹介・あらすじ

【第8回ネット小説大賞受賞作】深町夕子の娘、七緒は発達障害――自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断された。最初は、大人しくて賢い子なのだと思っていたけれど、だんだんと七緒は、奇妙なこだわりが強く、他者に興味を持たずコミュニケーションが苦手だということがわかってきた。「発達障害」だという診断を受けて、夕子は七緒を障害児も受け入れる幼稚園のプレクラスへと通わせることに。しかし七緒は周囲と馴染めず、問題が続いていき……。「七緒はどうしたら“普通”になることができますか……」娘との関係、夫との関係、ママ友との関係、自分の母との関係。“普通”とは違う娘を抱えながら悩み抜いた、母親の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 人と違う事で、個性だと言ったり、障害だと言ったり‥普通とはなんだろうと最近考えます。
    親になると、子どもが人並みになんでも出来て欲しいと願ってしまい、無意識に型にはめているのかもしれない。
    共感できる部分も多々あった。

  • 発達障害の娘の子育てエッセイかと思って読み進めていたんだけど、なんだか違和感を感じてよくよく確認したら小説ということだったので驚いた。
    タイトルで完全にエッセイだと思い込んでいた。

    ストーリーは、娘の七緒が保育園や幼稚園という集団生活でのトラブルを経て、自閉スペクトラム症および注意欠如・多動症と診断されてからの、母親の苦悩と葛藤が書かれている。
    大変だな、ということは分かったけど、似たようなやりとりや心痛の描写ばかりが何度も繰り返されるのでページをめくる手はあんまり進まなかった。
    ラストに向けては、七緒の成長や未来というよりは、母親である夕子自身が妹と比較され親の顔色を窺いながら育った過去を振り返り、どう折り合いをつけるかのような展開になっている。せっかく小説というフィクションを通して書いているんだから、このストーリーだったら何かもうちょっと明るい解決があれば良かったかもしれない。

    園でトラブルが起きたときの、〈七緒が被害者と聞いてどこかほっとしている自分がいた。自分の娘が意地悪されていたと聞いたはずなのに迷惑をかけるよりはましだと思っている。……ひどい母親だ。〉という夕子の感覚は、どんぴしゃで自己肯定感が低い母親あるあるだと思った。私も未だにそう。

  • 障害は悪いことなのか、人と違うのはいけないことかを考えることができた。
    障害者やその親のことを学ぶときは、ぜひ読んで欲しい本。
    私も自己肯定感が低いので、母親の考えが自分に当てはまりすぎて、胸が痛くなり、途中で読むのをやめようと思った。しかし、読み進めていくうちに母親が子供の頃の自分の思い込みを自覚し、妹との確執も解消し、親の感情に振り回されないようにと思う姿をみた。心の霧が晴れたように清々しい気持ちになった。
    親の存在が子供の自己肯定感に多大な影響を及ぼすことを痛いほど身に染みた。

    本を読んで学んだこと
    ・障害は、著しく不便だと考える
    ・いつだって、多数派が優先される
    ・子育てをする事で、子供を通して自分自身の子供の頃を思い出す
    ・子供は、親を求めありのままの自分を受け止めてほしいと願っている。親が子供を受け入れ、愛を注ぐ事で、子供は自分は満たされた存在だと認識し、他の人にも愛を与えられる人間になる
    ・子供は、無力だから毒親だろうと頼らないと生きていけない。親はそのことを自覚する
    ・子供を自分の正しい道に導こうと躍起になるのが行き過ぎると、気付かぬうちに子供の気持ちを無視してしまう
    ・子供は、自分で道を切り開いていくから、親は見守り、支える



  • ASDやADHDのような情緒障害は、他者とのコミュニケーションに問題が生じます。と、言葉で言っても分かりにくいですよね。この本を読めば、どんな問題があるのかよく分かります。世の中の全てに人に知って欲しい。

    誰もが、我慢したり、自分を偽ったりしなくてもいいように、ありのままをお互いに受け入れ合える世の中になって欲しい。夢みたいな話ですが、願わずにはいられません。

    本文中の療育センターの指導員の言葉がとても分かりやすかったので、簡単に紹介します。
    ・障害は不便と言い換えれば分かりやすい。
    ・世の中は多数派が快適なように出来ているから、少数派は不便。
    ・発達障害は目に見えない。まずはどこに不便があるかを見つけて、次にどうすればその不便が解消できるか考えましょう。

  • 自身の糧になる本をちょくちょく読むようにしている。
    本書もそのうちの一冊。
    発達障害の娘や周囲との関係を描いた母親視点の話。

    中学生くらいになると
    ある程度大人になる子が増えて
    その子にあった対応ができるようになる。
    (まだ幼く、できない子もいるが…)

    でも未就学児や小学生はより残酷で、
    皆と違うと奇異な目で見てしまう。
    いや、でもこの本にも描かれていたように
    親の問題も大きいのかもしれない。

    「普通」という言葉の定義が
    いい意味で無くなっている現代。

    中学生だって反抗期の子がいたり
    悪いことしてしまう子がいたり
    そこになびいてしまう子がいたり。
    親御さんだって様々だ。

    夕子のように
    もう少し本人と噛み合ったらいいのになと
    思うこともあるけど
    愛情がない親なんていない。と信じている。

    障害があろうがなかろうが
    子どもの味方であるために、
    強くいることが大事だと感じた。
    それは甘やかすという意味ではなく、
    子どもの言葉に耳を傾け、
    変に自信や自分の子どもを卑下せず
    正々堂々とできる強さを。

    子どもとの関係に悩んでいる方が
    読んだらいいなと思った本でした。

  • 娘さんより母親が主役?の話。
    母親の何事も穏便に済ませ、悪いのは自分、でもそれが結局は消化出来ずに子供に向かってしまう。父親の逃げるな、バカ謝るなの言葉がとても響いた。

  • 2023.6.23 読了
    ふとタイトルに引かれ、初めて入った白山の図書館で手に取った。保育者としての発達障害の子との関わりを学んでいる私にとって、読まなければならない気がした。
    若林さんの本も一緒に借りたが一旦そっちは諦めることにした。月曜日返そう。
    今1番思うことは、やっと読み終わった、、ということだ。かなりしんどかった。それほど重い話だった。ただ特徴について学ぶ授業とは全く違い、発達障害を持った子を育てる辛さ、歯がゆさ、苦しみが大量に書かれており、新鮮だった。

  • 胸が締め付けられる。
    でも最後まで読まねばいけないと思える作品だった。

    ノンフィクションの様なタイトルだが発達障害の娘を持つ母親の苦悩と葛藤をとことん描き切った物語だ。

    発達障害についてはある程度知っているつもりだった。
    だが本作を読んで知っているつもりと本当に理解している事の差を歴然と感じ自分の無知に呆れてしまう。

    外見からでは分からない障害ゆえ、周りの人達の対応は冷酷だ。

    発達障害と分かっていながら辛辣な言葉を投げるママ友。
    明らかないじめ。

    人間の悪意に悲しくなる。

    理解を深める為にも多くの人に手に取って欲しい一冊。

  • 発達障害である子どもはもちろんだが、その親の苦しみや辛さがすごく伝わった。
    保育所の担任や、千秋にかなりイライラした。
    夕子に同情もしたが、そこまで苦しむのかと驚いた。
    この本を読んで、発達障害の親の支援も必要であると感じた。
    普通とは何か、みんな同じが良いのかと考えた。欠けているところを補っていくよりも、得意な部分を伸ばしてあげる方が良いのではないかと感じた。
    毒親の子どもの苦しさも描写されていて、アダルトチルドレンや機能不全家族であるなと感じた。毒親に育てられた子どもは大人になっても苦しみ、自分で気づかない限り親に支配されたままであると考えた。

  • この本を読んで、子育てって親も育てられるよなあと実感しました。
    自分が親の立場になって分かること、自分の親のこと、子どもの頃のこと、色々繋がりますね。

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