- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784299013514
作品紹介・あらすじ
北宇治高校三年、中川夏紀。
私は今日、吹奏楽部を引退した――。
『響け! ユーフォニアム』シリーズの人気キャラ・中川夏紀の視点で、
傘木希美、鎧塚みぞれ、そして吉川優子をみた物語。
エモさ全開の青春エンターテインメント。
感想・レビュー・書評
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『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ作品との事です。
吹奏楽部副部長、中川夏紀視点で青春時代のエモさ甘酸っぱいさを味わいました。
青春時代の友達は、一緒にいるだけで何故か心強く優しくなれます。けれども優しいだけ人間は衝突を回避出来るので自己の意見さえ握り潰してしまえば、いい人を演じれます。そんな夏紀の葛藤も描かれてます。
自分の事を身勝手と回答するが、そんな自分も嫌いじゃないと前向きに青春時代を振り返ります。
青春時代の友達は一緒にいる事に理由があるのだと思いました。
本作を未読な私にも楽しめました。
京都弁のセリフもリアルがあって良かったです。
2023年夏にアニメ劇場上映との事です。
京都弁の実写版があったらクールな夏紀役の女優が誰が適任か妄想しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
>足を伸ばした拍子に、夏紀の黒の革靴がみぞれの白のブーツにぶつかった。汚れてしまったかと慌てたが、その表面には跡すらついていなかった。
一言で言って「公式が最大手」に尽きる一冊。
響け!ユーフォニアム最新作、夏紀から見た優子・みぞれ・希美の3人を描いた「卒業」ワンテーマでの中篇集。+初版特典の小冊子として希美が見た夏紀の掌編。
これ以上ないほどに入れ込んだ部活を引退し、卒業、進学を控えて何者でもなくなってしまった自分と友人たちを捉えようとするお話。
4人以外の登場人物は影のように淡く表れるだけなところが「リズと青い鳥」の描き方にそっくりです。
そしてセンテンスの端々に暗喩隠喩が散りばめられていて、息をひそめるようにページをめくってしまいます。
複雑で繊細でとらえどころのない、そのくせ単純一途な気持ちの揺れ動きを微に入り細を穿って書き連ねていくこの感覚はなかなか他では味わえない気がします。今までの文庫12冊・アニメ2クール・映画4作の積み重ねが無ければこういう、事件無しで1冊という本は難しいでしょう。分厚いコンテキストを持った文章は本当にいいものです。
ところで、買っていないのですけど「「響け!ユーフォニアム」5th Anniversary Discきらめきパッセージ」特典の「吉川優子からの手紙」って、今作の劇中の手紙なのでしょうか。検索しても訓練されたツイッタラーばっかりでネタバレしないので分かりません…。偉い。 -
「家から一番近い本屋には置いてなさそうだな…。」
そんなことを思いつつ本屋に入って、奇跡的にラスト一冊をゲット。
特にやることもなくて、なんとなくで読み始めて1日で一気に本を読み終えたのは、とても久々だった。
読み終えた今、とても心が穏やかである。
武田綾乃さんの言葉選びは自分に合っているというか、好きだ。
たまらなく良かった。
ユーフォの原作を読んだ上で、
「のぞみぞいいな」
とか
「なかよし川いいな」
とか色んな妄想を積み重ねていたけど、
これを読んで、自分の中で考えた彼女たちの関係は甘かったなって思った。
これまで彼女たちに関する様々な二次創作を見てきたけれど、やっぱ公式って強いわ。
(消費する側としてはどんな創作物もありがたやありがたやって感じだけど)
のぞみぞは私が思っていたよりももっと重くてめんどくさくて、繊細で。
なかよし川は私が思っていたよりももっと深いところで信頼し合い、繋がっていた。
きっと彼女たちは、この先一人一人がどの道を進んでいたとしても、お互いが記憶に残り続ける。
たとえ
『人間は、理由もなく一緒にいない』としても、
『代替品がそこらじゅうにあふれてる』としても。
彼女たちは
「声が聞きたいから聞くし、会いたいから会う」
それ以上でもそれ以下でもなく、自らの意思で、お互いを選び合う。
学校や部活を始めとした「わざわざ考えなくても会える理由」が無いにも関わらず会える人は、自分自身にどれだけいるのだろう。
両親、兄弟、幼馴染、学生時代の友人、先輩、後輩…
私は自己肯定感が低い故まだ「ただ会いたいから会う」なんてことはできなくて、会う理由を探してしまうのだけれど、
いつかはそんな難しいことなんて考えずに「会いたいから会う!」って胸を張って言えるような人間になれたらいいな、と思える本。
…って感じで締めておこうかね。
あ〜〜〜〜〜〜!!!!!
南中カルテット最高〜〜〜〜〜〜!!!! -
夏紀視点のスピンオフ。
クールな夏紀の内面が知れて満足。
一生懸命な他人を見て、一生懸命になれなかった過去の自分を悔いている。
夏紀の魅力は、そういう自分の感情に正直に生きている一方、正直だけど、自己満足的な感情で他人を傷つけるのは我慢できる冷静さ、繊細さもあるところだと感じた。
なんにせよ、優子とのコンビは最高ですね。 -
夏紀先輩視点の総集編で、これまでこのシリーズを読んできた読者へのご褒美のようなお話。良かった以外の感想が浮かびようもない。素晴らしい。そして終わってしまうことが寂しい。
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夏紀先輩目線の部活引退後~卒業までのお話。
高校生の時期って大人と子供のちょうど中間という感じで、感情の処理に困ることがよくあったように思う。
自分で思っている自分と、周りが思っている自分のギャップ。それが許せなくて悶々と悩む。
今考えると、それが大人になるためのステップだったのかもしれない。
夏紀、優子、希美、みぞれ、それぞれに悩みを抱えつつも、折り合いをつけて成長していく姿は本当に微笑ましい。
あぁ、このころが懐かしいなぁ。
みんな元気かな。 -
響け、の登場人物の魅力がさらに深まり、シリーズを読み返したくなりました。
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夏紀目線からの話が面白かった。
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滝先生が来る前の夏紀達が1年生だった吹部のいざこざ、久美子達が知らない北宇治が強豪校となる前の底堕落な仲良し吹部。離れていったメンバーや、残ったメンバー。その中でも夏紀は意外と自分の立ち位置を把握している存在だったと思います。
相変わらず強かなあすかに呆れつつも、あえて従う夏紀。夏紀から見た久美子の存在。クールに見えてとても面倒見の良い夏紀の裏側が垣間見れました。
希美とみぞれの歪な関係や、意外と認め合っている優子と夏紀。色々な面が夏紀視点で見れて新鮮でした。