合唱 岬洋介の帰還 (『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299004185

作品紹介・あらすじ

12ヵ月連続刊行4冊目は、累計127万部突破の大人気「音楽ミステリー」シリーズ最新刊です! 天才ピアニスト・岬洋介が旧友の危機を救うため、地球の裏側から急遽駆けつける。そして悪徳弁護士や熱血刑事、死体好きな法医学者たちと相まみえ……。フジテレビ系連続ドラマ「悪魔の弁護士 御子柴礼司」や連続ドラマW「ヒポクラテスの誓い」などドラマ化もされた人気キャラクターたちが集結! “どんでん返しの帝王”中山七里が長年温めていた作品、ついに刊行です。『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。

2020年は中山七里作家生活10周年です! 記念に、出版社横断で前代未聞の12ヵ月連続刊行に加えて“あなたが小説のキャラクターになる+オリジナル書き下ろし小説プレゼント”キャンペーンを実施中!詳しくは本に挟み込まれているチラシをご確認ください。

感想・レビュー・書評

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  • 岬洋介シリーズ第6弾。前作の天生高春が検事として、検事調べをしていると急な眠気に襲われ、気が付いた時には被疑者が銃殺されていた…。硝煙反応が検出されたスーツと、拳銃の指紋、また犯行時刻室内には天生高春と被疑者の2人だけ…天生高春はその場で逮捕、検事から被疑者になってしまう…。窮地に立たされた天生高春のもとに、「約束を果たしに来ました」と岬洋介が現れる…。前作では天生高春と岬洋介は司法修習生の同期、天生高春が容疑者となったときは地球の裏側からでも駆けつけ助ける約束をしていた…。
    今作では、ピアノ演奏の描写は少なかったけれど、面白かったです。犯人はなんとなくわかっていたけれど、それを明らかにする過程がよかったし、すごいとしか言いようがない感じです!私はまだ、岬洋介シリーズしか読んでいないので、他のシリーズからの弁護士、刑事、法医学者は初めましてでした。文庫本には中山七里先生の作品のキャラ相関図ついているんですよねぇ…。そう考えると、手元にこの作品の文庫本版を置きたくなり、そして他の作品も読みたくなりますよねぇ…などと悩んでしまっております(^-^;

  • 読んでいる間ずっと、わくわくし続けだった。

    前作の『もういちどベートーヴェン』の最後のシーンで
    岬洋介が天生(あもう)高春に ひと言 残して去って行った。
    今回は「約束を果たしに来ました」と、洋介が現われる。
    登場のしかたが、カッコ良過ぎません?!
    自らにかかる不利益をすべて受け入れ、
    大切に思う友人のために奔走する洋介。
    「たいていのものは本人の努力で手に入りますが、
    友人はそうはいきません」とは、胸キュンな台詞。

    また、様々な要素が 物語の面白さを深めている。
    冤罪の残酷さ。
    刑法にある 心神喪失による無罪判決 の矛盾。
    無罪の可能性が強い案件は起訴しないという検察の体質。
    自分が信じることだけを拠り所に生きる ”癖のある人物” たち。
    そして、直接対決という形で語られる 洋介と父親との確執。

    タイトルの『合唱』にも意味があるようで
    他のシリーズで出てくる人物がほとんど登場する、らしい。
    「御子柴礼司シリーズ」も「刑事犬飼隼人シリーズ」も
    まだ読んでいないので…。
    ただ、ほかのシリーズを読んでいなくても
    キャラの強い登場人物にはそれなりの歴史を感じる。

    今作の最後のシーン。
    洋介がまた事件に巻き込まれるかも、という含みを持って終わる。
    そして巻末には こう記してある。
    <次回、『おわかれはモーツァルト』(仮題)をお楽しみに>
    またひとつ楽しみが増えた。

  • えーまさかの岬洋介の帰還。
    天生高春検事、おぼえてるよぅ〜
    まさかまさかの岬検事、天生高春検事

    そして岬洋介!なんと予感はあったが岬洋介は救えない。ピアニストだもの。
    御子柴登場。
    ちょっと役者揃い過ぎじゃない。出来過ぎ。

    岬洋介が登場しただだけで
    空気が変わる。
    (初版2020年5月)

    落ち着いたらこの系統「音楽ミステリー」というらしいを順番で読みたいかな
    さよならドビュッシー
    おやすみラフマニノフ
    さよならドビュッシー前奏曲
    いつまでもショパン
    どこかでベートーベン
    もういちどベートーベン
    合唱
    順不同。

    本文よりー岬洋介は言う。

    「大抵の物は本人が努力すれば手に入る
    友人はいくら頑張っても作れません
    自然発生する物だからー」
    「約束を果たしに来ました。」
    うーしびれる。ブタペストからドバイで乗り換えて18時間。
    素晴らしい、なんとカッコいい!
    中山七里は悪人を作るので
    その対角線上の最高の善ー岬洋介をここまでにしていく。本人は自然体で」

    えー渡瀬刑事に、古手川
    そして犬飼刑事まで〜
    まだまだ法医学の光崎教授もそのメンバーも
    こうなると
    最終回にみんな出すみたいな安っぽい。ちょっといや!
    減点。まあ仕方ないか!事件が絡んでるから。
    それにここまで彼の作品を読ませていただくと
    もう手法もわかってきたし〜「鈍感な自分にも少しはね。」
    星三つかな。岬洋介に免じて星⭐️4でいいか。

    呉越同舟
    隔靴掻痒

    • raindropsさん
      「約束を果たしに来ました。」は痺れましたね。
      「約束を果たしに来ました。」は痺れましたね。
      2021/01/25
    • トミーさん
      raindropsさん
      ありがとうございます。
      痺れました。
      そんなことがサッと言えるのが
      岬洋介なんでしょうね。
      たまらん!
      raindropsさん
      ありがとうございます。
      痺れました。
      そんなことがサッと言えるのが
      岬洋介なんでしょうね。
      たまらん!
      2021/01/26
  • 岬さんの司法修習生時代同期の天生検事が、幼稚園で5人殺した容疑者を検事調べ中に意識を失い、気づいたら容疑者銃殺されてて、殺害容疑で逮捕されちゃう。
    知らせを聞いた岬さんが昔した約束通り、天生検事を助けに来たお話。

    のっけから犯人逮捕に渡瀬刑事と古手川刑事、その事件を担当する天生検事。天生検事の事件を担当するのが岬さんのお父さん、ほんでもって犬養刑事に御子柴先生...って他作品の方達がまだまだ盛りだくさんに登場!

    天生検事が犯人でしかあり得ない状況をどのようにひっくり返すのか⁉︎
    結構あっさり笑(^_^;)

    あたしはすっごく楽しく読めましたが、七里先生の作品初読だと楽しいのかしら?(ー ー;)
    今回ピアノ演奏描写なしでしたぁ

  • タイトルにも名前が入っているし、メインの探偵役(?)も岬洋介ではある。

    が、シリーズキャラクター総出演で、岬洋介シリーズというより、筆者によるファン感謝デー的作品といった感じ。

    オールスターキャストが登場し、それぞれのシリーズを読んでいる読者としては、楽しい。

    意識を失っている間に、被疑者が銃殺され、覚えがないのに逮捕されてしまう。
    恐ろしい状況だったわりに、解決はややあっさり。

  • 岬洋介シリーズ 第6 (10周年記念作品)

    洋介が、司法修習を途中で離脱してから、10年後。
    同じグループにいた天生高春は、さいたま地方検察庁 刑事部一級検事として、上昇志向を持ち、有望株と目されていた。

    今回、天生が担当する事件は、有名幼稚園に乱入し、幼児三人と教員二人を惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した《平成最後の凶悪犯》仙街不比等事件であった。

    「心神喪失という理由だけで、何の咎めもなく法の軛から逃れられる。そんな理不尽があって堪るものか」
    天生は、刑法第39条によって、仙街に無罪判決が下ることを恐れ、検事調べで仙街の殺意が立証できないかと苦慮する。

    しかし、取り調べ中に突如意識を失い、目を覚ました時、目の前には仙街の銃殺死体があった。
    指紋や硝煙反応が検出され、仙街は、殺害容疑で逮捕されてしまう。

    事件は、上位庁である東京高検が捜査することになり、岬次席検事が、異例中の異例、捜査担当・公判担当に任命された。
    しかも、「身内に甘い」「隠蔽体質」と謗りを受けない為に、天生には、より厳しい態度で臨むように要求された。

    天生は無実を訴え、弁護士を探すが、誰一人として、引き受ける弁護士はいない。
    四面楚歌の中、天生の前に、10年前に別れた、岬洋介が現れた。
    「約束を果たしに来ました」と。

    10年前、洋介は天生に「君が窮地に陥った時には、地球の裏側からでも助けに来る」と約束したのだった。
    全てのコンサートの予定をキャンセルし、18時間かけて、ブタペストから飛んできたと言う。

    10年ぶりに再会する親子。
    岬検事は、洋介に責める言葉ばかりを浴びせる。
    ・・違う、こんなことを話すつもりはない。息子を褒める言葉があるだろう・・
    だが、口をついて出たのは抗議の言葉だった。
    「億を下らない違約金を払ってまで、何故、邪魔をするのだ」
    と言う父親に
    「友人が苦境に陥っている時に何もせず鍵盤を叩いているだけだったら、僕は一生自分を許せなくなる」と答える。

    洋介は、悪名も、弁護士費用もべらぼうに高い御子柴を弁護士に雇い、裁判に向かうが、御子柴は、過去の判決に不満を持ったヤクザに襲撃され、大怪我を負い身動きが取れなくなった。

    御子柴は、刑事訴訟法第31条第2項を使い、洋介を特別弁護人として法廷に立つように言う。
    裁判所が洋介を特別弁護人に選任したのは一にも二にも司法修習生時代の成績が考慮されての結果らしかった。


    かくして、洋介、岬検事の親子対決が決定した。

    洋介は、法廷での親子対決では、完膚なきまでに、岬検事を叩きつけて、真犯人を特定し、天生の無実を勝ち取る。

    事件が解決した後、
    マネージャーからの連絡待ちで、しばらくは日本に、滞在する。と言う洋介。

    「また何かの事件に巻き込まれるかもしれんぞ」
    「ええ。縁起でもないのですが、僕もちょっとそんなきがしているんです」
    と言う会話。

    〈次回『おわかれはモーツァルト』(仮題)をおたのしみに〉

    これの伏線かなぁ。

    今回は、洋介の天生に対する気持ちに、所々、うるうるさせられた。

    今回は、ピアノ演奏は無かったけど、
    作品が、交響曲第九番 二短調作品125
    (合唱)の
    I 第一楽章
    アレグロ・マ・ノン・トロッポ〜ウン・ポーコ・マエストーソ
    Ⅱ モルト ヴィヴァーチェ
    Ⅲ 第三楽章
    アダージョモルト エ カンタービレ、アンダンテ モデラート
    Ⅳ 第四楽章
    プレスト〜アレグロ、アッサイ
    Ⅴ 第四楽章
    おお友よ このような音ではない
    と、交響曲第九番が進んで行くように、物語も進んでいく。

    とても離れがたい作品だった。
    何はともあれ、次作品が楽しみ。

  • 久しぶりの岬洋介シリーズ。
    冤罪で捕まったかつての友を助けるために。
    そして事件の真相を突き止めるまでのプロセス。
    面白くて一気読みしました。
    登場人物も中山作品ではお馴染みの面々。
    さながら中山オールスターズといったところで。
    真犯人は消去法でいけばこの人だろうなとは思ったけど。
    繋がりに関しては意外の連続で。
    中山作品を読んだ事ある人にはたまらない1冊になってます。
    滞在してると何かの事件に巻き込まれるって…コナンかよ 笑

  • 岬が日本に帰国。友を救うために。
    幼児らを殺害し、その後、覚醒剤を打っていた凶悪犯を担当することになった検事・天生。取り調べ中に天生は意識を失い、その間に犯人が銃殺されていた。天生は殺害容疑で逮捕される、そこに現れたのが岬であった。
    なんの情報も入れず、読み始めたけど。ここはもしかしてあの人が出てくるのかなと思ったら、その人が登場し、そんな連続。豪華出演陣、大サービスかな。作家生活10周年記念ということで先生自ら楽しみながら書いているのかなあ。親子対決やら弁護士対検事やらで見どころも満載。ただ、残念なところは、音楽に酔うシーンがなかったことかな。それがこのシリーズの一つの楽しみなんだけれど。真犯人については意外性はなし。なんといっても登場人物たちのやりとりが面白かった。親子のこれから、気になりますね。

  • デビュー10周年と言うことで、毎月新作が発刊されているが、今作に至っては全ての作品の集大成と言う位置づけなのか、これまでのシリーズの主役たちが惜しみもなく登場する、ファンには堪らない1冊。
    シリーズは一応「岬洋介シリーズ」だが、まず渡瀬&古手川ペアが登場し、幼稚園に侵入し、5人を殺害した犯人を逮捕。覚せい剤を使用していたことにより、憲法第39条の適用を心配しつつも、無事起訴し、舞台は検察へ。
    担当するのは、岬の司法修習生時代の同期の天生。
    しかし、事情聴取の最中に意識を失い、気が付いた時には目の前で被疑者が死亡していた。
    完全な密室で起きた事件であり、検察官が被疑者を殺害したと言うことで、天生は逮捕され、事件は高検の岬の父親の元へ。
    その親友のピンチに世界を回っていた岬が帰国。
    弁護士の選定に悩んでいた友人の為に見つけた弁護士が御子柴。
    初めての岬と御子柴のタッグで、事件は再び埼玉県警の二人の元へ。
    そこから事件の再捜査が始まり、解剖医の光崎、警視庁の犬養へと繋がっていく。
    天生の事件については、関係者がかなり限られているので、犯人についての予測はかなり容易。
    しかし、その動機を明らかにしていく過程での岬の立ち回りがお見事の一言。
    期待するほどのどんでん返しはないが、幼稚園に侵入して、何人も殺害する事件は昨年の川崎のスクールバスの通り魔事件を思い出させるし、事件の根底にはやはり、昨年起きた大きな社会問題となった事柄が含まれていて、どちらの事件も曖昧なままなことに問題提起をしたいのかなぁ、と作者の意図を勝手に想像してしまった。
    まさしく「合唱」と言うタイトルにふさわしい1冊。
    くしくも、ここまでシリーズを全て読んでいるのに、発売をピアニストの清塚さんのTwitterで知ると言うことに、ちょっと反省…

  • 前作『もういちどベートーヴェン』で予告された本書ゆえ、文庫化は待っておられず!
    前作の最終頁で、天生は、「ひょっとしたらおれも何かの弾みで被告人にならないとも限らない。その時は君が弁護士になってくれ」と岬に約束させる。
    それに対し岬は、「僕でよければ地球の裏側からでも駆けつけますよ」と、答える。本当に、彼は被疑者となった天生のために、地球の裏側から駆けつける。
    現役検事が犯人?しかも密室殺人!しかし、前作での主人公的天生が犯人ではありえない。2-2=1と、真犯人は当初から想像がつく。
    友の冤罪を晴らすためにとの、岬洋介の活躍ぶりに、読む手が止まらない。
    さらに、他の作品の主人公たちオールキャスト登場という著者のサービス精神満載に、読まずにはいられない。
    埼玉県警の古手川刑事に渡瀬から始まり、東京高検の岬恭平、弁護士御子柴礼司、浦和医大法医学教室の光崎教授、警視庁刑事の犬養隼人と、次々に登場。
    題名の『合唱』とは、そういう意味か。
    読者サービスの一方で、著者は刑法39条の問題点をしっかり提示している。
    得意のどんでん返しはないが、事件の裏に隠された真相に著者の緻密な仕掛けがあり、十二分に楽しめた。
    最終頁での天生と洋介との会話から、またも次の作品の予告らしきものが。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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