「国の借金は問題ない」って本当ですか?〜森永先生!経済ど素人の私に、MMTの基本を教えてください。

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  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784297130107

作品紹介・あらすじ

増えつづける国の借金、増大する税の負担、円安に伴うインフレ懸念などなど。「日本はこれからどうなってしまうんだろう?」「日本は財政破綻してしまうのではないか?」そんな雰囲気が漂う昨今ですが、森永康平先生によると、次のような答えになります。「国の借金は問題ありません」「銀行がお金を生み出しているんです」「税金は国の財源ではありません」「ハイパーインフレは起きません」え? 本当なんでしょうか? 本書は、MMT(現代貨幣理論)と呼ばれる考え方を基本として、経済アナリストである森永康平先生がこれらの疑問に答えてくれる本です。お金や銀行の成り立ちから、税金やインフレのしくみまで。森永先生の丁寧な説明とやさしいイラストで、わかりやすく解説していきます。

感想・レビュー・書評

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  • この数年、新聞紙上でも賛否両論あって結局どうなんだと釈然としなかったMMT理論について、明確に間違いではないとの説明で、納得感あった。
    説明は基本的で最もシンプルな事例に落として簿記の仕訳も加えて為されていて分かり易かった。

    P.239の政府支出の伸び率が高い国ほど名目GDPの伸び率も高い事を示す相関グラフで、いずれの率も0%付近に位置する唯一の国が日本。
    この30年、GDPも消費者物価指数も人件費も多少の違いはあれいずれの国も伸びているのに対して日本だけが横バイで成長の無かった国。様々な世界ランクが下がるのも当然の成り行き。

    P.262で国債発行、政府支出について、問題ない事が明確なのに日本はなぜやらないのかの問いに対して「(日本政府は)これ以上借金を膨らませたら、日本は財政破綻してしまうと本気で思っているから。そして、そういう政治家を国民が支持しているから」との説明に同感も、このままで良い筈はなく、どげんかせんといかんです。

  • Chapter01「国の借金は問題ないって本当ですか?」
    Section1そもそも”国の借金”ってなんですか?
    Section02”国の借金”は返さなくていいんですか?
    Section03日本の財政破綻はあり得るの?
    Section04”国の借金”は無限に借りられるの?

    Chapter2「銀行がお金を生み出している」って本当ですか?
    Section01お金はどうやって生まれるんですか?
    Section02なぜ銀行はお金を作れるんですか?
    Section03信用創造を”国の借金”で考えるとどうなるんですか?
    Section04そもそも「お金」ってなんですか?
    Section05お金を生むのに制限はないんですか?

    Chapter3「税金は国の財源ではない」って本当ですか?
    Section01税金を集めて支出しているんじゃないんですか?
    Section02財源以外の税金の役割ってなんですか?
    Section03そもそも「税金」ってなんですか?

    Chapter4「ハイパーインフレはおきない」って本当ですか?
    Section01インフレ/デフレってなんですか?
    Section02インフレ/デフレはどうやって測るんですか?
    Section03今の日本はデフレなんですか?
    Section04ハイパーインフレが起こってしまうのでは?
    Section05金利が急騰してしまうのでは?

    Chapter5お金とMMTにまつわるQ&A集
    Section01「消費税は平等な税制」って本当ですか?
    Section02「消費税は預かり金である」って本当ですか?
    Section03「少子高齢化で経済成長できない」って本当ですか?
    Section04「日本経済は成熟しきったから成長できない」って本当ですか?
    Section05「終身雇用制度が経済成長を鈍化させた」って本当ですか?
    Section06「公共事業は税金の無駄遣い」って本当ですか?
    Section07「中小企業の生産性が低い」って本当ですか?
    Section08これからの日本経済はどうすればいいんですか?

  • 今まで読んだMMT理論の本の中では最も分かりやすい。今まで何を理解していたのかと一瞬思考停止するほど。理解の主眼は二つ。MMTは無尽蔵な国債発行を前提にはしていない事。もう一つは、国の破綻とは外貨建て国債の債務不履行のことであって、借金の問題ではないという事。国の借金は国債と国庫短期証券。その13.6%が海外から借りているもの。大した比率ではない。そして、これを返せる限り、日本は破綻しない。

    では、経済破綻した国はどのような理由だったのか。自国通貨発行権を持たないギリシャは、公務員比率の高さ等の内的問題もあり、ユーロ圏での債務不履行に陥った。レバノンはギリシャと違い、自国通貨レバノンポンドを発行していたが、モノやサービスの生産能力がなかったため、生活必需品をほとんど輸入に頼らざるを得ず、輸入するためにドルを調達する必要があったが、その為の外貨建て国債の債務不履行が破綻を招いた。

    日本はレバノンのように外貨建ての国債を発行していない。そのため債務不履行が起こる事はまずない。外貨建て国債を発行しなくても、外貨準備と対外純資産を持っているため、エネルギーや食料の輸入に対しては、現状は支払う外貨が保有できている。海外から稼ぎ、その外貨で買物ができているのだ。

    ロシアも1998年に財政破綻。至近もウクライナ侵攻により外貨資産が凍結され、ロシアの主要銀行が国際銀行間通信協会スウィフトから排除。それによりドル建て国債が債務不履行へ。

    国の借金の上限はインフレ率で決まる。現在の日本の約1200兆円の借金が急に2000兆円になるとインフレ率2%を大きく超えてしまう。現在の日本のGDPは約530兆円。1530兆円分のモノやサービスを生産する能力は無いため、この辺が借金の限界だ。

    こうした議論を経て、終盤に、消費税の意味や何故日本の賃金が上がらないのかという解説に繋がっていく。案外、MMTもプラグマティックな理論だった。勉強になる。

  • MMT入門書として面白く読めた。個人的には理論としてのMMTはアリと考えている。しかし利益供与型で選挙に当選した日本の政治家が、生産能力やインフレをモニタリングしながら適切な予算策定ができるわけがなく、結局MMTは独裁国家でしか成立しないのではないかと思う。
    あとMMT推しの人達みんな肩書が弱い。世論形成目指すのであれば学歴でも職歴でもバリバリの味方探すべき。

  • そも経済(学)とは、といった論点をそこまで筆者に求めているわけでもないため
    MMTやその周縁の事象についてのまとまりとしてはこの本が包括的にまとめられていて導入としては必要十分に感じられる。

  • わかりやすい。
    諸悪の根源はやっぱり財務省じゃん、てわかる。
    あとマスコミって本当、勉強不足なんだともわかる。

    一回読んだだけでは、腑に落ちない部分もあったので、もう一回読む予定

  • めちゃくちゃ勉強になった。

    今までニュース観ても漠然としていた経済、国債、税制がわかるうえに、お金の価値観が変わったように感じた。
    そして、今日本が置かれている状況とどうしていくべきかを簡単に把握することができる。
    ものすごく優しく描いてるけど内容は結構難しい。極限まで優しくわかりやくすかいてくれたのだろうと思う。

  • 説明は分かりやすいような気もするのだけれど、結局どういうことなのかいまいち掴みきれなかった(多分読解力不足)。どうやら「国の借金は問題ないらしいぞ」ってことは分かったような。MMTの本は読んでみたい。物語の中のことだけれど、大学の先生と学生という間柄だから仕方がないのかもしれないけれど、質問者中村くんに対してもう少しリスペクト多めでもよいのでは?と思ったのでした。

  • 日本の国債は60年償還ルールがある。10年国債とは10年後から償還が始まる国債。
    日銀は資本金1億円で政府が55%を所有。
    レバノンは外貨建て国債で破綻した。国債で外貨を調達して輸入した。自国で生産するものがない。
    民間は寿命があるため借金を返す必要があるが、政府にはない。
    ロシア1998年、レバノン2020年、アルゼンチン2001年など、ギリシャ2002年など破綻している。いずれもドル建て、ユーロ建て国債。

    借金が増えて困るのはインフレだけ。制限はインフレ率。
    世界初の銀行はイタリアのサンジョルジュ銀行だが、信用創造はしなかった。
    お金は物々交換から生まれたわけではない。信用貨幣論=信用から生まれた。
    貸借関係であること=誰かの借金は誰かの資産。通貨単位。譲渡性がある。税金の支払いができる。
    税金を取るのは政策目的を果たすため。貨幣価値を担保するため。
    沖縄のB円は、納税を強制したために普及した。
    モズラーの名刺。
    南スーダンは2011年に独立した。南スーダンポンドがT流通している。

    ペントアップディマンド=繰り越し需要。抑えられていた消費が爆発すること。アメリカは給付金でこれがおきた。日本は給付金が少ないのでどれほどあるか。
    経済とはお金を使ったモノやサービスの流通全体を言う。
    国の借金を国民一人当たり、と計算するのは意味がない。
    ディマンドプルインフレとコストプッシュインフレの違い。デフレスパイラルという病が恐ろしい。
    有効需要が生産力以下であればインフレにはならない。

    インフレを測る物差し
    CPI、コアCPI、コアコアCPI。前年同月比の変化率を算出している。消費税はすべて上昇する。
    GDPギャップ=潜在GDPとの差を潜在GDPで割ったもの。マイナスなら需要が弱い。平均概念のGDPを使う。
    GDPデフレーター=名目GDP/実質GDP。コストプッシュインフレだとマイナスになることがある。

    ジンバブエは最近でもインフレ率が高い。=生産できない。
    ベネズエラ=2018年にハイパーインフレを起こした。国有化と物価統制で生産力が落ちた。
    日本の戦後は、戦争中の国債発行ではなく生産力がないところに需要が起こったために起きた。

    国債が増えても、日銀が金利をコントロールできるから金利の暴騰は起きない。
    誰かの支出は誰かの所得。
    中小企業の生産性は低い=中小企業白書=労働生産性が低い=一人当たりの利益が少ない、と同義。
    中小企業がないと大企業の利益は成り立たない。部品を全部トヨタが作ったら、大きな利益は出ない。

    MMTの議論の余地があるのは就業補償プログラム。
    インフレを察知したときに政府支出を止めるまたは税金を上げることができるか。

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著者プロフィール

経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。その後、2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、AIベンチャーのCFOも兼任するなど、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など著書多数。
日本証券アナリスト協会検定会員。YouTube番組「森永康平のビズアップチャンネル」を運営。

「2022年 『大値上がり時代のスゴイお金戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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