なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか 〝ゆるい職場〟時代の人材育成の科学
- 日経BP 日本経済新聞出版 (2023年11月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296115037
作品紹介・あらすじ
「職場がゆるくて、成長実感がないから辞めます」こんな社員が登場するようになった「ゆるい職場」時代、若手社員の育成はますます困難になりつつあります。 本書では独自調査とヒアリングから、Z世代の価値観の「二層化」、その不安と焦りを浮き彫りにしたうえで、心理的安全性とともに今、職場に求められる「キャリア安全性」の重要性を示唆し、若手を活躍させることのできるマネージャーに必要な9つのポイントを紹介。 人材育成に悩む現場マネージャーにとって、今日から使える実践的な情報を提供します。
感想・レビュー・書評
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今の若者は。それは若者だけのせいではない。様々な労働に関する法改正により管理職層が部下をしっかりと注意できないことで、部下が働くことに物足りなさを感じている。
離職率の低さ、定着率が高い職場が良い職場ではない。
どのようにモチベーションを高め働くことができるか、そんな事が書いてある本詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若手は、きつい職場だから辞めるだけでなく、ゆるい職場でも辞めます、「心理的安全性」はもちろん、「キャリア安全性」もないと辞めちゃうんですよーということが書かれている本。
そして、キャリア安全性を感じさせるには、どのようなことをしたらよいか、について書かれている本。 -
キャリア安全性を重視する必要があることを認識した。
データを根拠にしていることから説得力があった。
また、今の若者だけではなく、昔からキャリア安全性については重視すべきであり、私自身を振り返っても成長できる企業に就職したいと考えて就職先を選択したことを思い出した。
今は、転職が容易にできる環境なので、会社としては個人の成長を考慮すると共に転職ありきの運営をする必要があると思った。 -
定時退社、心理的安全性も高い、給与面も充実、その環境でなぜ若手は離職したり仕事で成長しないのか?
現代のマネージャーや管理者が気になる疑問をデータと共に解説。組織のリーダーだけでなく若手も読んで欲しい充実の内容となっています。 -
Z世代の特徴を数字を元に紐解き、キャリア安全性の高め方を提案してくれます。
これからの社会は、量的負荷を抑え、質的負荷を高めるという前例のない成果が求められる傾向を前提に、ハイパーメンバーシップ型組織を提唱しています。
気になる方は読んでみてください。
飛ばさず丁寧に読んでも3~4時間くらいで読み切れると思います。 -
私的な理由ではあるがあと半年、または1年早く読んでおくべきだった。最後の提案は役職を持ってないと受け入れ難いが、ここで述べられているような、先入観を取り除いて組織と自分自身が変化することが必要だろう。
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30代前半、管理職手前になり気になって読んでみた。今の若手(自分もだが)が何を考えているのか、というよりもどのような環境に置かれているのかということをよく理解した。自身の反省も踏まえ、本に書いてあることで、早速やってみたいことを書いて残しておく。
1.どんなバックボーンがあるかよく聞く
2.外部講習や自己啓発は、自発性に任せきりにしないで、キッカケや言い訳を与える
3.褒める褒めないよりもフィードバックをする
4.自分が育てられてきたことと同じは通用しないと認識する。(自分も会社から成長機会を与えられていたのだから。) -
「世代」の枠で一括りにしない、データによる変化の有無を見る。多様化と二極化。
人材育成の解像度を上げる。
・可視化された自分の情報のコントロールに関する部分は10代が高いが、他の部分は30代・40代とそれほど大きな差はない。
・大企業とベンチャーとも就職したい人が多い。
※ただしスナップショットでは、いつの時代もある年代による傾向の可能性あり。
・若者雇用促進法の開示の義務により、職場環境を改善するために努力するインセンティブが企業に生まれた。
・自身のキャリアを安定させようと思ったら、自分に経験や知識、ネットワークを蓄積するよりほかないという環境に背中を押される形で成長を求める。
◯心理的安全性とキャリア安全性
・キャリア安全性:以下の逆数
①時間視座:「このまま所属する会社で仕事をしていても成長できないかも…」
②市場視座:「このまま職場の仕事をしていると転職できないかも…」
③比較視座:「まわりの同年代と比べて自分は大丈夫だろうか…」
◯若手育成と管理職の成功実感率
・若年齢管理職、転職経験ありほど高い
・Off-JTの教育訓練機会 -
現代の若手育成の難点についてデータをベースにして紐解いた1冊。データに見える事実と筆者の論調がフィットしていて納得感を持って最後まで読める内容だった。人材育成という観点だけだなく、自身がキャリアを形作っていくにあたってもハッとさせられるポイントの多い本。
まず、「若者」という世代を括って捉えることが筋違いであるという前提に始まり、これだけ多様化する社会の中で個々人を括る動きの不自然さに気付かされる。
また、現代の離職の裏には職場の心理的安全性だけでなく、キャリア安全性が大きく関わっているとし、キャリア安全性を時間視座・市場視座・比較視座の3要素で捉えているのも面白い。
最後に、ハイパフォーマーほど自社を見切るタイミングが早い一方で、彼らを囲おうとするとキャリア安全性の低下につながるというジレンマを取り上げている。これに対する筆者の提案が現実的かどうかはさておき、このジレンマの構造を理解しておくことこそが、若手育成、ひいては自分のキャリア設計に有効だと感じた。 -
こちら(↓)で書評を書きました。
https://www.rinen-mg.co.jp/web-rinentokeiei/entry-5649.html
著者はリクルートワークス研究所の主任研究員。
大反響を呼んだ前著『ゆるい職場』の続編ともいうべき1冊だ。
今回も独自調査とヒアリングを踏まえ、若手社員の育成をめぐる目からウロコの知見が、矢継ぎ早に繰り出される。
会社で人材育成に当たる立場の人は必読だろう。