UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296110179

作品紹介・あらすじ

UX業務のWhy、How、Whatを、組織に浸透させるための
アフターデジタル実践書、UXグロースモデル

すべてがオンラインになる「アフターデジタル」の世界では、産業構造が大きく変わり、従来支配的な地位にあった企業がそうではなくなってしまいます。大企業にとっては大きな変革の必要を迫られる危機であり、同時に新たなステージに上がる機会とも言えます。著者の前著『アフターデジタル』『アフターデジタル2』にはビジョンや思想が語られていますが、実践するには具体的な方法論が必要です。それが本書で解説する「UXグロースモデル」です。

「アフターデジタル」という言葉を打ち出したビービット社内で使われている手法をまとめたもので、前著を読んで「危機感を抱いたが、どのようにすればいいのか分からなかった」という読者にとっては待望の本といえます。

中心にあるのは「UX」です。本書でいう「UX」とはデザインやアプリの使いやすさに留まらず、価値やビジョンをどのような体験で包括的に具現化するのかという意味であり、方法論の名称に使われるほど重要です。

また、方法論の前提として、「新たなユーザー理解」が説明されています。これは、人の購買行動などを理解する考え方を指し、「従来の考え方は間違っていたのではないか」と主張しています。これまで疑問を抱くことなく採用されていた「心理探究型」を「メカニズム解明型」に変えるべきであるという主張ですが、ただの主張ではなく論理的な説明になっているため、ここだけでも本書を読む価値があります。

アフターデジタル「初の実践書」である本書が多くの企業でバイブルのように使われたなら、デジタルビジネスで出遅れた日本企業の立ち位置が変わるかもしれない。そんな期待を抱かせる1冊です。

-著者代表 藤井保文のコメント-
『アフターデジタル』を出版してから2年半。
コロナ禍によるデジタル化の強制力を受けながら、DXのあるべき論は「DXの目的は新たなUXの提供である」「UXや体験価値を中心に置くべき」というコンセンサスが
緩やかに生まれつつあるように見えています。

今や思想や考え方よりも、この馴染みがなく実態がつかめない「UX」を理解し、UX業務のWhy、How、Whatを、如何に組織に浸透させられるかの重要度が高まっているのではないでしょうか。

これを受け、私のいるビービットの最前線で戦うメンバーと共に、私たちがUX型DXにおいて使っている方法論を余すことなく公開する形で、この状況を改善しようと考えて編纂したのがこの「UXグロースモデル」。
アフターデジタルに対応したいと考える傍らに置き、日々使ってもらいたい最新の方法論です。

感想・レビュー・書評

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  • グロースがミッションだけど何をしていいのか…?ってなってる人にはぜひ一読をおすすめしたい。
    具体的に何をすべきか行動ベースで書かれててるところと、専門用語が少なく簡単な言葉で書かれてるところがおすすめポイント。
    手元に置いておきたい。

  • DXにはUXとEX。
    業界という括りがUX視点だと不要なのがアフターデジタルの世界と理解。
    シリーズ3冊目で過去2冊読んでいると納得度が高い。
    機能ではなく期待で選ぶことをペインポイントのゲインの位置に置くことは認知心理学の視点で必要なのだろう。
    人は納得度で動くので人間中心設計のブレをいかにみえる化するかの工夫が見えるバリュージャーニーの形。

    プラットフォーマーの時代になっているのは明らかでDXにおいてはこの本の考えがボトムにもトップにも欠かせないと感じた。

  • アフターデジタルに共感するものとして、実装文脈の書籍である有用書と期待して読書。プロセスを丁寧に紐解き、プロセスごとの留意点まで丁寧に解説した良著。
    人の心理、属性ベースではなく、デジタルを活用した状況ベースで分類・検証を勧めていこうという発想がおもしろかった。なるほどと。

    メモ
    ・UX型のDXを実現するために必要な2つのこと
     トップダウン型 バリュージャーニー型への転換と更新
     ボトムアップ型 顧客体験を継続的に成長させて行く体制の構築と発展

    ・バリューチェーンからバリュージャーニーへ。 
     いつでもどこでも顧客とつながりを持てるようになり、企業は顧客が大きな成功に至るまでの行動フローをジャーニー横断的に支援できるように。

    ・プラットフォーマーは集客・プロモーションを代替する存在
     連携することで機能提供者は良質な機能提供に特化可能

    ・デジタル先進企業のDXはユーザーの生活視点、日本企業は企業の活動起点

    ・ジャーニーコンセプトが抜本的に転換されていないとデジタルをおまけと扱うままであるため失敗する。リアルはおまけと考えるくらいの発想。

    ・獲得すべきUX企画力
     新たなUXをゼロから想像具体化する能力
     既存のUXをスピーディーに改善する能力

    ・利用文脈ごとのUX改善を積み重ねる

    ・トップダウン型UXグロースチーム。全社変革を推進するチーム。事業変革を推進するチーム。

    ・ボトムアップ型UXグロースチーム
     高速改善のUX企画チーム。抜本改善のUX企画チーム

    ・WHYを訪ねて人間心理を探求するのではなく、事実を集めてメカニズムを解明する。

    ・抜本改善のUX企画プロセス 
      行動フロー特定→ペインポイント抽出・構造化→ペインポイント発生メカニズム理解→UX企画立案→UX企画の評価選別→UX企画の総合ジャーニー設計

    ・高速改善のUX企画のコア
      UX改善テーマの設定→現状UX理解→UX改善案の企画

    ・シーケンス分析により、行動を軸に仮設を構築できる
      現状のUX理解に絶対の正解を求めない。肌感、想像につなげれば十分
      客観裏付け必要な際は切り口をずらしてシーケンス発生量を算出
      新たにUX改善業務構築せず、現行業務にあてはめる。要因分析改善企画に活用

    ・想定行動の言語化、施策や機能の意図を書き出す。想定する行動の流れを書き出す

    ・構造改善のUX企画チームに必要な7つのスキル
     UX改善テーマ設定力
      データ定義力・データ抽出力
     現状UX理解力
      ユーザー憑依力・メカニズム分析力
     UX改善案企画力
      シナリオ構築力・ソリューション構築力・具現化力

    ・UX起点で事業戦略を立案し、バリュージャーニー全体構想を設計した上でトップダウンで実行に移していく

    ・事業部レベルのバリュージャーニー全体構想を設計する方法論
     ターゲット行動フロー特定→ペインポイント調査実施→フォーカスするペインポイント特定→ペインポイント発生メカニズム理解→UX企画立案→UX企画評価選別→UX企画の統合ジャーニー設計

    ・人間ユーザーでなく、シーン・行動フローに対してターゲティングを定める

    ・全社変革チームの活動
     全社DXコンセプトの定義
     全社バリュージャーニーの企画
     全社への落とし込み

    ・全社UX型DXを推進する際に決めるべきこと
     実現したいライフスタイル
     全社DXコンセプト
     各事業が提供する体験の仮設定

  • 現場から経営レベルまで網羅したUX→DX,マーケティングの実践書。

  • UX検定基礎の学習推奨図書なので購入しました。
    アフターデジタルの3冊目です。前作を読んでいると理解がしやすいと思います。
    UXグロースの基本的な考え方と具体的な実施方法が書いてあります。各種のUXグロースについて実践方法が解説されていて、大変参考になりました。

  • 第三章
    人間は機能という客観的な事実ではなく、期待という主観・認知状態に基づいて意思決定をするという主張が勉強になった。何かを選んで欲しい時、機能を理解してもらうという考え方ではなく、期待を持ってもらうという考え方で伝えると良いのかもしれない。
    期待形成プロセスで認知バイアスが発生することから、行動経済学を学ぶことが重要。





  • 第一章

    売り手よし、買い手よし、世間良しの三方良しで考えると

    〜買い手よし〜
    バリューチェーン型よりバリュージャーニー型の方がユーザーに価値を提供できる。だからデジタル社会ではバリュージャーニー型のビジネスにすることで顧客満足度を高めて勝てる。

    〜売り手よし〜
    それコストかかるよね
    →それはファネル型の構造で収益性をみてるから。そうではなくてジャーニーによってオンボーディング後の金落としとか、高価版ジャーニーに参加してもらうことで新しく収益がとれる。そしてジャーニー参加企業からも使用料をとれる。

    (世間良し、はアフデジ2の内容かな)

    アフターデジタル時代では企業間の競争はいかにいい体験、いいジャーニーを立てれるかにかかる。だから自社サービスのUXを継続的に改善することが必要


    第二章
    では企業をバリュージャーニー型にするにはどうしたらいいか?方法は二つ
    ①トップダウン型
    ②ボトムアップ型
    この二つ。

    ①トップダウン型
    ジャーニーコンセプト策定&カスタマージャーニー作成→新接点作成→接点改善。の三段階に分けて変革する

    ②ボトムアップ型
    既存接点を改善→そうして見えてきたできることをジャーニーコンセプトとする。

    この二種の方法をサイクルさせながら改善する。つまりトップダウンで現場にやってもらう接点を決めて、現場が改善した結果見えてきたものからコンセプトを捉え直し、それを元にまた指針を変えて実行して、また現場の改善結果をみる・・・といったサイクルを回すことでジャーニー型に転換していく。


    第三章

    マーケティングにおけるUXの捉え方は
    心理根拠型の論理
    状況根拠型の論理
    がある。今までは心理根拠型の論理で考えられてきた。しかし実際にはユーザーの行動は価値観や信念だけでなく、状況によっても大きく異なる。そのため状況理解型の論理で考えなければならない。
     
    状況根拠型でユーザー理解しようとするとどうなるか?
    それが行動フローからペインを出す手法である。ユーザーの目的と行動フローを把握ことでユーザーがどんな状況や文脈で何を期待しているのかがわかる。そうしてペインポイントがわかり、UX改善の施策が立てれる。この方法なら論理的に説得力あり、実際に効くUX企画が自然と割り出せる。


    四章
    UXデザインの方法論
    ①行動フロー特定
    ②ペインポイント抽出
    ③ペインポイントのメカニズム理解
    ④UX企画立案
    ⑤企画の評価と選別
    ⑥企画の統合・ジャーニー設計


    ④UX企画立案
    ペインポイントをゼロにするだけでなく、ゲイン化するところまで考えて、その施策を作る。ここでゲイン化するソリューションが先に思いついたなら、そのソリューションによるゲイン状態はどんなものかを考えてゲインポイントを特定し、他の施策も考えるという逆算手順でも構わない
    ここでポイントは
    ・過去の先進事例をよく知ってること
    ・ブログなどで自ら工夫してペインを解消してるユーザーをみること

    ⑥企画の統合・ジャーニー設計
    立てた企画のうち、既存のサービスと組み合わせたりしながらジャーニーを組み立てる。ゲイン化された行動フローを立てて、各フェーズを実現する体験をまとめていく。④で出した企画はストーリー作成の「ネタ帳」のイメージでいるのがいい。また、作ろうとしている体験を手書きで書き起こすといい。


    以上によってUX企画が作れたら次はユーザー調査を行い、改善のサイクルを回す。ユーザー調査は
    ①プロトタイプ作成
    ②ユーザー調査
    ③調査結果の分析と解釈
    ④企画の改善
    となる

    ①プロトタイプ作成
    コンセプトシート(画面イメージと機能を記述したシート)を作成する。このとき、画面イメージよりもどんな状況でどんな体験が得られるのかがわかることが重要。そのため、「このサービスを利用すると自分の生活がこんなふうに豊かになりそうだ」というイメージを与えることが大事である。

    ②ユーザー調査
    Whyを聴くのではなく、メカニズム探求型に沿って理解する。そのため
    ・これによって、どんなシーンでどんな成功(どんな使い方)が得られそうか
    ・これによって、今のどんな困りごとを解消できそうか
    ・これによって今の生活がどう豊かになりそうか
    ・その困りごとの解消にあたり、ほかにどんな手段があるか
    ・その手段と比較してこの企画はどこが優れてどこが劣っているか
    を聴くといい。こうすることでなぜこのプロトタイプが有効(無効)なのかをメカニズムから把握できる

    ③調査結果の分析と解釈
    調査の結果、ユーザーごとに刺さる刺さらないがでてくる。そのメカニックを把握する


    第五章

    グロース業務について

    ユーザーの行動データを追うシーケンス分析が有効である。シーケンス分析の手順は
    ①文脈設定
    ②調査準備
    ③ペインの分析
    ④ソリューション立案

    ①文脈設定
    一気にUXの全てを改善するのは難しいため、まず今回改善するユーザーの利用文脈を定める

    ②調査準備
    ・想定シナリオの作成
    ペインポイントを割り出すには想定と現実のギャップ見ることになる。そのため現実(行動データ)を見る前に想定シナリオを言語化させておくことで、比較対象を作る。

    ③ペインの割り出し
    想定したシナリオと異なる想定外の行動とその行動理由を推察してメモする。この推察のために憑依を行う。
    →その後、画面遷移の順番と滞在時間を再現して追っていく
    このとき、「ーーしたい(期待)が、ーーだと感じた(反応)」に合わせて書いていく。


    ④ソリューション立案
    施策管理シートに先の内容を埋めて書き込んでいく。そして改善の優先順位をつけて実装していく。このとき、改善案が思いつかなかったら
    ・ユーザーになりきって操作してみる
    ・他社のサイトを見てみる
    ・product huntなどを見てみる
    などがいい


    第六章

    事業部レベルでの施策の出し方
    四章の内容をスケールアップした時の話。新サービスの作成のやり方(ほとんど四章と同じ)

    手順は
    ①ターゲット行動フローの特定
    ②ペインポイント調査
    ③フォーカスするペインの特定
    ④ペインの発生メカニズム調査
    ⑤UX企画立案
    ⑥UX企画選別
    ⑦企画統合・ジャーニー設計

    ①ターゲット行動フローの特定
    どんなシーンをターゲットとするかを決める(誰をターゲットにするかではないことに注意!)。ここで、ターゲットが決まらないときは既存プロダクトから逆算するか、事業部の戦略資料から掘り下げるのがいい

    ②ペインポイント調査
    ユーザーインタビューを通して、行動フローを詳細化しつつペインポイントを出していく(たくさんでてくるはず)

    ③フォーカスするペインの特定
    今回は規模が大きいため、ペインがたくさんでてくるからフォーカス先を特定する必要がある。方法は
    (1)エクスペリエンスマップの作成
    (2)ペインポイント間の因果・主従関係の把握
    がある。(1)エクスペリエンスマップによって底となるペインに着目し、(2)によりクリティカルペインを割り出す。

    ⑦企画統合・ジャーニー設計
    これまで出したUX企画と既存サービス、全社コンセプトや事業部のミッションから、とりうるコンセプトを抽出していく。
    コンセプトが決まったらUX企画をネタ帳としてジャーニーを作成する。
    ここで、具体的なジャーニーが引けない時はジャーニーコンセプトについて、①の現行行動フロー特定、からやりなおしてゲインポイント化プロセスを踏み直して作成する。


    第七章

    本章の話は大企業の経営層向けの話で自分には理解ができないレベルの話である。そのためここはあまり着目しない
    第六章は事業部ごとの話。ここでは全社レベルの話
    基本的にやることは変わらず、新しくジャーニーを引くだけ。そうして新しく UX 企画を作りつつ、ボトムアップ型と相互作用しながら新しい形を模索していく。

    まず新しく引くジャーニーのコンセプトだが、これには「企菜の系譜」と「環境の変化」の二つを考慮しなくてはいけない。
    「企業の系譜」とは当去の話であり、自社が今まで頭容にどんな価値を提供してきたか、という話。
    「環境の変化」はその時代の社会的な価値観や人々のライフスタイルの変化の話

    話を戻して、トップダウン型でUXグロースするには
    ①自社のコンセプトの仮定
    ②コンセプトを「企業の系譜」と「環境の変化」から見直してアップデート
    ③コンセプトやそれによる理想のライフスタイルがなぜ実現できないのか、ペインポイントの抽出
    ④ペインのゲイン化アイデアの作成
    ⑤アイデアを事業部のコンセプトと繋げて、事業部でジャーニーを引く
    ⑥ジャーニーの詳細化
    となる。(⑤、⑥は第六章の話)

    この流れで変革するにあたり、実行には様々な困難があるが、これはもう教科書的には不可能。強いてポイントを挙げるなら、
    ・現在のビジネスを否定しないこと
    ・経営者からオーソライズされる
    ・UX推進組織に権限を与える
    などがあるかな



  • 良かった。
    ユーザーの内側にニーズを求める考え方に「でも人間の好みなんて瞬間ごとに変わるじゃん」と思っていたものが、言語化されていてスッキリした。
    たっぷり時間をもらって、自社商品を端から端までシーケンス分析したい。

  • 本書のキモは、『単品機能の提供ではなく、ユーザの体験にフォーカスし、体験をひとつの流れとして全体を提供する。』ことにある。UXを設計して、APIを通じて関連する仕組みを組み上げて、流れをつくる。わかる、そのとおり、だが、この方法では費用が合わない。どうする、、、、← いまここ

  • 誰をどうしたいの?という問いを最近よく言ってるのですが、ここで書かれてるUXってそう言う事なのかなと思います

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